( 229361 )  2024/11/02 16:42:07  
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財源の裏付けがない(国民民主の玉木雄一郎代表)/(C)日刊ゲンダイ 

 

【政官財スキャニング】#88 

 

政界通(以下=政) 自民・公明の与党が衆議院で過半数の議席を割り、石破政権は不足する議席を補える国民民主党を抱き込むため、国民民主が衆議院選で掲げた減税策を受け入れる動きをしたが、経済界の反応はどうだ? 

 

【写真】国民民主党に突然“モテ期”…玉木代表ハイテンション 

 

財界通(同=財) きわめて悪い。 

 

政 どうしてだ? 

 

官界通(同=官) 国民民主が公約した所得税と住民税の基礎控除の引き上げによる減税には、8兆円規模の財源が必要だ。それなのに財源の裏付けも示していないし、恩恵は収入が多い人ほど大きい。まさに説明不足、「ばらまき」に終わるとの批判か? 

 

財 それも大きいが、他にもある。国民民主の公約には、消費税率を5%へ下げる案もある。これの税収減も国だけで10兆円を超える。そんなに減れば、さまざまな歳出を削るか、国債という「借金」を大幅に増やすしかない。 

 

官 そうだ。医療や介護、教育など生活を守る歳出が激減すれば、国民民主が言う「手取りが増える」という分などあっという間に相殺されてしまう。 

 

政 そういう「欠点」を、なぜメディアは指摘しないのかね。 

 

官 一部の新聞は取り上げたが、テレビなどは「減税の恩恵」ばかり触れている。 

 

財 そこも、経済界に批判が強い点だ。ある経済人は「結局は聞こえのいいことだけを言って、税制や財政をよく知らない若い層の票を集めた」と言っていた。 

 

官 税収減は国債を発行して賄えばいいという議員もいるが、国債は借金。借金が増えれば財政破綻への懸念から長期金利が上がって住宅ローン金利も上がるし、企業の設備投資への借り入れも苦しくなる。 

 

財 日本の格付けが下がり、日本への投資資金も引き揚げかねない。 

 

政 そうなると、株価が心配だ。 

 

官 そんな状況から脱却するには、結局は増税しかない。 

 

財 そこが、経済界最大の懸念だ。何のための減税だったかとなるし、法人税を上げれば経済成長がさらに遠のき、消費税を上げれば景気は崩れる。 

 

政 減税策が、次の増税への「引き金」になるということか。 

 

(構成=竜孝裕/ジャーナリスト) 

 

 

 
 

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