( 229871 )  2024/11/04 01:31:53  
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さすがに披露宴はスーツが定番だけれども… 

 

 コロナ禍を経てテレワークの導入やオフィスカジュアルの浸透もあり、スーツを着ない、あるいは着なくなったという社会人も多いだろう。とはいえ「いざ」という時にはスーツが必要という価値観はまだまだ根強い。たとえば結婚式や披露宴に参列するときは、男性の場合はスーツが定番だが、若年層からは「年に数回も着ないものを揃える意味が分からない」と不満の声も聞こえてくる。 

 

【写真】きちんとしたスーツ 

 

 製造業をしているYさん(20代男性/神奈川県在住)は、仕事中は作業服を着るため、スーツとは縁が無い生活を送っている。唯一持っていたリクルートスーツも体型の変化で着られなくなっているため、“有事”の際には誰かから借りている。 

 

「自分としては、披露宴は相手への気持ちこそが重要だから、着るものはなんでもいいと思っているんですけど、去年友人の披露宴に呼ばれた時に私服でもいいかと尋ねたら、『申し訳ないがスーツで来てくれ。俺は気にしないけど、親が気にするから』と言われ、叔父に借りました。『ユニクロでいいから一着スーツを買えば』ともよく言われるのですが、一生に何度も着ないようなものを改めて買うのもバカバカしくて」(Yさん) 

 

 プログラマーのUさん(30代男性/東京都在住)もスーツを着る機会は披露宴かお葬式のみ。仕事は基本的に在宅で、スーツの必要性を感じていない一人だが、披露宴に招待された時には「さすがに悩んだ」と明かす。 

 

「そもそも交友関係が広いわけでもないので、披露宴に招待されることも少ないのですが、昨年は新郎新婦両方が知り合いの披露宴に招待され、出席することに。普段着で行ったらいけないことぐらいはわかるのですが、かといってスーツらしいスーツも持っていません。 

 

 仕方なく体格が似ている父のものを借りましたが、足のサイズは合わず、黒いスニーカーで行こうとして親に止められました。結局数千円の安い黒い革靴を買いましたが、他に使うわけでもなく、安いとはいえムダが気になりますよね。ご祝儀を渡すのはいいんですけど、それ以上に格好のプレッシャーがかけられる披露宴にはもう呼ばれたくないです」(Uさん) 

 

 

 都内の自営業・Kさん(30代男性)は映像関係の仕事をしており、スーツを着る機会は基本的に披露宴か葬式しかない。冠婚葬祭用のスーツを持っていたが、最近捨てる羽目になったという。 

 

「僕は就活もしなかったのでスーツを着ることが全くなかったのですが、10年近く前、祖母が亡くなった時に親から『今後着る機会が増えるから、一着持っておけ』と言われて、黒いシンプルなスーツを買いました。その後5年以上着る機会がなく、今年久しぶりに披露宴に出席することになったので引っ張り出すと、うっすらカビが……。 

 

 なんとか見た目のカビは取り除くことができたのですが、サイズも微妙にキツくなっていて、そんな状態のものを、サイズが合わないまま着るのはかなりのストレス。結局その式が終わって捨てました」 

 

 Kさんは、「今後こういうことがあった時にはレンタルでいいと思っています」と言うが、悩ましさもある。 

 

「レンタルを調べると、男性用のスーツは一日7000円から1万数千円ぐらいするんですね。3回借りたら2万~3万円してしまう。ユニクロあたりの上下セットアップが2万円と考えると、数回着るなら買ってもいいと思えるのですが、その数回が数年おきかと思うと手を出しづらい」(Kさん) 

 

 普段は着なくなっても、正装であることに変わりはないのが「スーツ」。一着用意しておけばと考える人は多いが、その一着がその時にハマってくれるかは案外難しいのが現実のようだ。(了) 

 

 

 
 

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