( 230414 )  2024/11/05 17:12:24  
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大分市で発生した車の危険運転致死事件に関する裁判が大分地裁で始まり、被告は危険運転について否定し、弁護側も危険運転の成立しない点を主張して争う構えを見せました。

検察側は高速での運転が危険であり、妨害行為があったと主張し、対立が明らかになっています。

被告が最高速度まで出してみたいと述べていることが報じられ、適用基準が明確でない危険運転のケースが問題視されています。

事件の判決は11月28日に予定されています。

(要約)

( 230416 )  2024/11/05 17:12:24  
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裁判所に入る遺族ら 5日午前10時前 

 

大分市の県道で3年前、時速194キロで車を運転し、対向車に衝突して男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われている当時19歳の男の裁判員裁判初公判が大分地裁で開かれ、危険運転について男は「そのようなことについてはわかりません」と述べ、弁護側が危険運転は成立しないと主張し、争う姿勢を示しました。 

 

【写真を見る】事故当時の現場、大破した2台の車 

 

起訴状によりますと、2021年2月、大分市大在の県道で当時19歳の男(23)が時速194キロで車を運転して右折中の対向車に衝突し、小柳憲さん(当時50歳)が死亡しました。 

 

大分地裁で5日から始まった裁判員裁判の初公判で、裁判長から危険運転について問われた被告の男は「そのようなことについてはわかりません」と述べました。このあと弁護側は、「制御困難な高速度に該当せず、妨害する目的もなく危険運転は成立しない」と主張し、争う姿勢を示しました。 

 

冒頭陳述で検察側は、「194キロでの走行は車体が大きく揺れる。ハンドルやブレーキの操作の回数が増えて少しのミスで操作を誤ることがある。夜間の194キロの走行は視野、視界が狭くなり、右折車に気づくのが困難」と主張。 

 

また、妨害については、「自分の運転で相手に急な退避行動を取らせ、自由で安全な運転を妨げることも妨害行為となる。現場の道路は、右折車があることを前提とした道路で、対向車への認識は当然ある。時速194キロの停止距離は265メートルで、衝突を回避できないほど常軌を逸した高速度で直進していた」と指摘し、危険運転にあたると述べました。 

 

一方、弁護側は「ハンドルがブレたり、制動ができなくなったり、そういったことはなかった。実際に衝突をするまで、意図した通り車を車線から逸脱することなく直進走行できた。自分自身の生命や身体の危険を冒してまで対向車線の右折車両に対して通行を妨害する目的を積極的に抱く動機はない」などと主張。 

 

また、「法律では、高速度だけでは危険運転にならない。夜間194キロの走行が視野の低下に繋がる科学的根拠はなく、検察は訴因変更した理由も明らかにしていない。法律に従い、『過失運転致死』によって被告人を処罰してほしい」と述べました。 

 

 

亡くなった小柳さん 

 

2022年7月、大分地検は当初、男に対し最長で懲役20年となる危険運転致死罪の適用を見送り、懲役7年以下となる過失運転致死の罪で在宅起訴しました。 

 

その後、小柳さんの遺族は危険運転致死罪への起訴内容の変更を求めて全国から集まったおよそ2万8000人分の署名を大分地検に提出しました。 

 

2022年12月、大分地検は再度、現場などを調べた結果、危険運転致死罪の類型にあたる『進行を制御することが困難な速度で車を走行』『小柳さんの車の通行を妨害する目的で交差点に進入し車を著しく接近させた』と判断。より刑罰の重い危険運転致死罪に訴因変更しました。 

 

また、捜査関係者によりますと、男は「何キロまで出るか試したかった」と供述しているということです。 

 

全国では危険運転の罪が適用されないケースが相次いでいます。適用要件の明確な基準がないことから現在、法務省の有識者検討会が見直しの議論を進めています。 

 

時速194キロでの死亡事故は、危険運転致死罪が適用されるのか――注目の判決は11月28日に言い渡されます。 

 

 

 
 

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