( 233196 )  2024/11/13 16:29:27  
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セブン-イレブンの看板 

 

(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスがMBO(経営陣が参加する買収)による非公開化を検討していることが分かった。創業家である伊藤家に加えて伊藤忠商事などが出資し、銀行融資と合わせて総額9兆円規模で全株式を買い取る。複数の関係者が13日までに明らかにした。 

 

セブン&アイはカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから総額7兆円に上る買収提案を受けている。匿名を条件に話した同関係者らによると、MBOはクシュタールが合意がないまま買収に踏み切った場合などへの防衛策として、創業家や伊藤忠、取引銀行などが具体的な協議に入っている。 

 

現在検討されている案では伊藤家と伊藤忠などが3兆円程度を出資。セブンの主力取引銀行である三井住友銀行を筆頭に、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクが総額6兆円規模の融資を実行する方向で協議している。 

 

売上高10兆円を超える企業の非公開化は前例がなく、実現すれば国内企業のMBOとしては過去最大となる。これまでは大正製薬ホールディングスが今年実施した7000億円規模が最高額だった。国内企業によるM&Aとしても過去最高だった武田薬品工業によるシャイアー買収の7兆円規模も上回る。 

 

セブン&アイの広報担当者にコメントを求めたが得られていない。三井住友銀と三菱UFJ銀、みずほ銀の広報担当者は個別の取り引きについてはコメントを控えるとした。伊藤忠の広報担当者は「決まった事実は何もない」とした。報道を受けて、セブン&アイ株は売買停止となった。 

 

実現にはハードル 

 

関係者の1人は、セブン&アイが子会社からの切り離しを検討しているイトーヨーカ堂などのスーパーマーケット事業も含めてグループ全体を買収し、非上場化後にスーパーマーケットなど非中核事業を売却し、企業価値の向上を図ると述べた。ファミリーマートを傘下に持つ伊藤忠がMBOに参画することで、相乗効果が見込める。 

 

 

ただ関係者によると、買収資金が巨額に上ることから、実現に向けたハードルも高い。クシュタールが提案を取り下げた場合は、MBOに至らない可能性もある。 

 

セブン&アイの半期報告書によると、創業家の資産管理団体である伊藤興業は筆頭株主で8.16%を保有する。ブルームバーグのデータによると、伊藤家出身の伊藤順朗副社長も個人名で0.37%を持つ。 

 

セブン&アイは1920年に東京・浅草で開業した洋品店「羊華堂」を源流とする。2023年に亡くなった伊藤雅俊氏が羊華堂を母体としてヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を創業し、コンビニや百貨店など経営の多角化を進めた。セブン&アイは05年に持ち株会社として設立され、現在に至る。 

 

--取材協力:吉田昂. 

 

(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Taro Fuse, Hideki Suzuki 

 

 

 
 

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