( 233726 ) 2024/12/16 02:30:53 0 00 チェックのシャツが着づらくなって…(イメージ)
推し活がすっかり世間に浸透して、かつてはネガティブに捉えられてきた“”オタク“という言葉もポジティブな意味合いで使われる機会も増えてきた。それでも依然として、ドラマや映画などでしばしば描かれる“ステレオタイプのオタク”は、決まってチェックのネルシャツ。さらにわかりやすい“オタクらしさ”を演出するものとして、黒縁メガネ、シャツをパンツにイン、リュック、ハチマキなどといった要素が加えられ、“ダサい”イメージが強調されることもある。しかし、今やこういった“オタクらしいオタク”は、ほとんど見かけない。
エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏は、いわゆる“オタク”がたくさん集まるコンサートやイベントに足を運ぶことも多い。そこで見る光景について、こう話す。
「女性アイドルのコンサートや、アニメファンが集まる声優のコンサートなどの現場にも行きますが、チェックのネルシャツをジーンズにインしているような“オタクファッション”の人はほとんど見ません。グッズのTシャツや自作の“推しTシャツ”などを着用して、大いに楽しんでいる人はいますが、“オタクファッション=チェックのシャツ”というのは、逆にリアリティーがないように思います」
一方で、オタク本人が“チェックのシャツ=オタク”というイメージに縛られてしまうケースもあるようだ。10年以上、ある女性アイドルグループのファンを続けているという会社員・Aさん(30代男性)は、あるときからチェックのシャツを着なくなったという。
「以前、学生時代の友人と飲む機会があって、そこで“最近は○○のコンサートに通っているよ”という近況を話していた時のこと。そのときたまたま僕はチェックのシャツを着ていて、『さすがアイドルオタクはチェックのシャツを着るんだね!』とイジられたんです。まさかそんなイジられ方をされるとは思ってもおらず、結構ショックでした。
実際自分はオタクなのでオタクだと思われることは別に構わないんだけど、ドラマなんかに出てくる、ステレオタイプのオタクみたいだと思われるのはイヤだという……。それ以来、チェックのシャツを着るのはやめ、基本的に洋服は全部無地です。Tシャツもシャツもセーターなんかも絶対に無地。色も黒や紺、グレーの地味なものが多いですね。そもそもファッションにもあまり興味がなく、下手に頑張ってしまうと逆に悪目立ちしてしまいそうで怖い。とにかく目立たないように、無難な服装を心がけています」
“くたびれたオタク”に見られないように努力をする人もいる。アニメ、マンガ、ゲームなどに造詣が深く、最近では女性声優のイベントなどにもよく行っているという自営業・Bさん(40代男性)は、自分なりの努力をしていると明かす。
「私は普段から私服で仕事をしていますし、服装にはそれなりに気を使っているつもりです。というのも、若ければ服装にかまわなくても別に気にならないんですけど、年齢を重ねて服装にかまわないでいると、単純に“だらしないおじさん”になってしまう気がして。
とはいえ無理に若いファッションをするのではなく、洋服は定番系で揃えて、小物類でこだわりを出す感じです。流行のスニーカーを履くとか、キャップを被るとか。あとは清潔感ですね」
本人は“ステレオタイプなオタク”のイメージを避けたくても、ちょっとしたズレを指摘されてしまうこともあるようだ。メーカー勤務のCさん(30代男性)は、「かばん」がおかしいと言われたことがある。何が変だったのか。
「学生時代からの友人何人かがいわゆるオタク友達で、よく一緒に女性アイドルグループのコンサートに行くんです。その中にファッション関係の仕事をしている友人がいて、格好について時々ダメ出ししてきます。
まずよく言われるのが、かばんが服装に合っていないということ。仕事で使っている黒いデイパックを背負ってライブに行くんですが、どうやら服と合っていない感が強くて、それだけでなんだかオタク臭く見えるんだそうです。他にバッグ類を持っていないから仕方ないんですけどね……。
あと、洋服のサイズ感が合っていないというのも言われます。あんまりダボダボだとだらしないかと思ってジャストサイズを着ていたら『いまは大きいシルエットの方がいい』って言われました。それで、大きめのサイズの服を買って着ていたら、今度は『大きすぎる』と言われたりもして……。ダサいとは思われたくないけど、ファッションも全然わからなくて困っています」
ファッションを気にしすぎて、密かに頭を悩ませているオタクたちは案外多いのかもしれない。
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