( 233806 )  2024/12/16 03:57:34  
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EV(画像:Pexels) 

 

 電気自動車(EV)オーナーはモテるのか? マッチングアプリ「Tinder」を活用した“実験”が注目を集めている。 

 

 かつて、男性の象徴的な嗜みとしてタバコが挙げられていた昭和時代。しかし、現在ではそのイメージは薄れ、社会的な認識も大きく変わってきた。同様に、 

 

・エコ 

・サステナブル 

 

といった概念も初めは疑問視されていたが、今では広く受け入れられ、価値観の変化を遂げている。 

 

 これからガソリン車は、喫煙者のように社会的な立場を変えるのだろうか。急激な変化は考えにくいものの、EVオーナーへの評価は着実に向上している。 

 

 英国の中古車販売業者「Big Motoring World」が行った調査によると、Tinderの利用者2000人を対象にした結果、ガソリン車オーナーよりもEVオーナーを「セクシー」と感じる人が多いことが明らかに。さらに、EVオーナーは 

 

「デートに誘われる確率が2倍以上高い」 

 

という調査結果も報告されており、EVオーナーの人気が高まっていることがわかる。 

 

ガソリン車(画像:Pexels) 

 

 この“実験”は、少々意図的に興味を引く形で行われた。 

 

「Big Motoring World」社の26歳男性社員ジェイがTinderに公開するふたつのプロフィールを作成したが、その唯一の違いは所有車の車種だった。 

 

 ひとつのプロフィールには、新車のテスラに乗ってハンドルを握るジェイの写真を使用した。調査の目的は、バレンタインデーに向けて、できるだけ多くのマッチングを成立させることだった。 

 

 Tinderでは、プロフィール写真を見て「いいね(Like)」と思えば右にスワイプ、そうでない場合は左にスワイプする仕組みとなっており、双方が「Like」を選択することでマッチングが成立し、メッセージの送受信が可能になる。 

 

 ジェイはそれぞれのプロフィールで1日500回スワイプを行い、6週間続けた結果、テスラの写真が使われたプロフィールでは61件のマッチングが成立した一方、もう一方のプロフィールでは25件にとどまった。 

 

 テスラのハンドルを握った写真だけで、ジェイのデートチャンスは2倍以上に増えたことが明らかになった。 

 

 

EV(画像:Pexels) 

 

 EVオーナーに対する印象に関する調査では、英国のTinderユーザーの36%が、EVを所有または運転している相手とのデートを検討する可能性が高いと回答した。 

 

 また、EVオーナーでない場合でも、43%の英国人は 

 

「相手が気候変動対策に熱心」 

 

であれば、付き合う可能性が高いと認めている。 

 

 地域別では、北アイルランドの首都ベルファストにおいて、Tinderの独身ユーザーの60%がEVオーナーとのデートを前向きに考えると答えた。ロンドン、ブリストル、グラスゴー、マンチェスターなども、環境やサステナビリティに関心が高い独身者に人気のある地域であることが明らかになった。 

 

 この結果は、環境に配慮した行動を示すことが将来のパートナーを引き寄せる有効な手段であることを示唆している。 

 

EV(画像:Pexels) 

 

 あるユーザーは、EVオーナーが好感を得る理由として、単にEVを所有しているからではなく、テスラが高級車であり、そのオーナーの経済力を象徴する存在だからだと指摘している。つまり、テスラは一種のステータスシンボルとして機能しているというのだ。 

 

 そこで調査チームは、テスラのジェイとマッチングした女性数人にインタビューを行い、テスラオーナーに対する印象を尋ねた。 

 

「正直に言うと、ピカピカのテスラを見るとすごく興奮しました。安くないですし、彼は本当に成功している男性に違いないと思いました」(24歳女性) 

 

 この女性はテスラオーナーの富に魅力を感じた一方、ジェイのプロフィールに記載されていた気候変動問題への高い関心にも注目しており、もしプロフィールが本物であれば 

 

「間違いなく彼とデートした」 

 

と語っている。EVはステータスシンボルとしての価値を持ちつつ、環境への配慮を示す点でも好印象を与えていることが伺える。 

 

 また、Googleの検索データによると、EVは現在の「バズワード」となっており、2023年1月には英国で8万5000人以上が「EV」を検索していることがわかっている。これに対して、2019年1月の「EV」検索人数はわずか3万9000人であり、4年間で検索数は2倍以上に増加している。 

 

 このように、EVはますます多くの人にとって魅力的な選択肢となっている。しかし、実際には「Big Motoring World」が指摘するように、長距離移動の際には充電スタンドの場所を事前に確認しておく必要があり、自宅や目的地での充電が可能な状況が理想的だが、現時点ではまだ難しいことが多い。 

 

 

「Electric vehicles are a hit in our ‘Tinder test!(EVは 「ティンダーテスト 」でヒットした!)」(画像:Big Motoring World) 

 

 しかし英国では、EV充電が可能な郊外型スーパーマーケットが増加しており、「Big Motoring World」の店舗でも充電ができるようになっている。 

 

 また、英国政府はEVの普及を促進するため、充電スタンドの設置を拡充する目的で地方自治体に数百万ドルを投資していると報じられている。 

 

「Big Motoring World」のマーケティングディレクターであるダレン・ミラー氏は、 

 

「英国にとって今、最優先事項は全国各地で充電ポイントの利用可能性を高め、すべての英国人がガソリン車と同じくらい便利にEVを利用できるようにすることです」 

 

と述べている。 

 

 一方、日本においてもEVインフラ整備が進んでおり、現在、全国には約5万4000の充電スポットが設置されている。政府は2030年までに30万の充電スタンド設置を目指しており、インフラの拡充が急務となっている。 

 

 EVでのドライブデートなどの利用が今後増えると予測されるなか、インフラ整備のさらなる加速が求められている。 

 

仲田しんじ(研究論文ウォッチャー) 

 

 

 
 

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