( 234151 ) 2024/12/16 18:53:20 0 00 画像はイメージです/Photo by iStock
2023年に中国を抜き、世界人口ランキング1位となったインド。同国は数年以内に日本経済を抜き、世界GDPランキング3位になることがほぼ確実視されている。いったいインド人はどのような働き方をしているのか。働く上で何か問題はないのか……。インドに赴任されて3年。総合商社の管理職として働いている34歳のM氏に、「インドの職場のリアルな実態」について話を聞いた。
聞き手:佐藤大輝(世界37ヶ国を旅したバックパッカー)
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ーー今回取材させていただくMさん(男性・34歳、仮名=以下同)は総合商社に勤めており、3年前からインドに赴任しました。現地では部長職として約100名の部下をまとめています。現在の年収は海外赴任手当を含め、手取りで約1200万円。誰もが羨む雇用条件ですが、Mさんは「赴任1週間で日本に帰りたかった」と嘆いており、こちらの内容をまとめた取材記事は、読者の方から大きな反響がありました。
その節はお世話になりました。本日はよろしくお願いします。
ーーまずはMさんの会社で働くインド人の「働き方」について教えてください。
ウチの会社は9時始業なのですが、みんなギリギリの時間に出社してきます。1分や2分の遅刻は当たり前です。
勤怠の入力はパソコンでします。勤怠時間を個人が自由に修正申請できるシステムのため、みんな自分勝手に「遅刻してない」ことにデータを書き換えてきます。なので1ヶ月間ほど修正されたデータを貯めて、あまりにもヤバイ人には「ちゃんと見てるからね」と定期的に注意してます。そうしないと職場の秩序が保てないので。ウチの会社で働いているインド人の99%は、ハッキリ言って、時間という概念があってないようなものです。
ーー帰る時間はどんな感じですか? 残業などはあるのでしょうか?
18時が定時なのですが、みんな5分前にはパソコンの電源を切って、今か今かと終業時間を待ち構えています。たぶん会社に拘束されている時間は、インド人からすると苦痛でたまらない時間なんでしょうね。残業はしてくれないです。やらなくてはならない仕事が終わってなくても、みんな終業時間ピッタリに帰っていきます。つい最近も部下が定時に帰ろうとしてたので、「提出期限が今日までの仕事終わったの?」と確認したら、「すみません。終わってないです」と返答がありました。
ーーやらなきゃいけない仕事が残っている状態でも、シレッと退勤しようとするんですか……。
日本のサラリーマンの感覚では理解も共感もできないでしょうが、これがインド人と一緒に働くということです。日本だと生活残業する社員っているじゃないですか。あの問題は、少なくとも僕が管轄している100名のインド人にはあり得ません。日系企業の皆様は痛感してると思いますが、インド人のマネジメントは本当に難しいです。
ーー日本人とインド人とでは、仕事への向き合い方が全然違うんですね。
インド人はまた、「かっこをつけたがる癖」もある気がしていて、ここも要注意です。僕から仕事をお願いした時、彼らは口では自信満々に「やります!」「やれます!」と言ってくれるんですけど……約束や納期を守らないのがデフォルトです。なので部下の進捗を逐一、確認する作業が欠かせません。
ーー日本の職場では考えられない光景ですね。
インドの職場を一言で表現するなら「お構いなし」の状態なんです。自分のやりたいことを、やりたい時にやる。アナタに対して何も言わない代わりに、私に対しても何も言わないでねってスタンスなんです。インド人って「寛容性」がものすごく高いんですよ。おそらく多民族国家で、人口が多いこともあり、人それぞれ思想が違うことを受け入れる文化なんでしょう。多様性を認める国民性は純粋にいいなって思いますが、組織として働くのには向かないのかなって。特に日系企業との相性はイマイチでしょうね。
ーーここ最近あった「お構いなし」のエピソードはありますか?
これは毎日の光景ですが、みんな仕事中にペチャクチャ話してばっかりで……「ちゃんと仕事してくれ」って内心イライラしてます。それからウチの職場は飲み物以外禁止なんですけど、僕が外出したり席を外している時間は、みんなモグモグしているそうです。僕は100人くらいの部下をまとめてますが、心から信頼を置いているのは2人だけ。日本人の管理職からすると、ちょっとインド人の働き方は物足りないと言うか……頭を抱えてしまう部分は多いかもしれません。
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本稿では日本人とインド人との働くうえでの「違い」を聞いてきたが、まだまだ興味は尽きない。後編記事〈34歳年収1200万円商社マンが「インド人の部下」を持って震えた…衝撃の「給料交渉術」と「転職戦略」〉では引き続きM氏に、「インド人の転職事情」や彼らの仕事上の強みなどについて聞いていく。
佐藤 大輝(ライター)
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