( 236136 )  2024/12/20 01:18:37  
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事件現場の店舗外観 

 

北九州市小倉南区のマクドナルド店内で12月14日夜、塾帰りの中学生の男女2人が刃物で刺され死傷した事件があり、福岡県警捜査1課と小倉南署は12月19日、現場近くに住む40代の男を殺人未遂容疑で逮捕した。 

 

事件は12月14日午後8時25分ごろ、同区の「マクドナルド322徳力店」でレジに並んでいた中学3年の中島咲彩(さあや)さん(15)と同級生の男子生徒(15)が店内に入ってきた男にいきなり刺された。 

 

中島さんは腹を刺され、近くの病院に運ばれたが死亡、男子生徒も腰付近を刺され致命傷になりかねない深い傷を負った。 

 

男は刃物を持ったまま車で逃走、県警が緊急配備を敷いて行方を追っていたが、事件発生から5日目の19日、男子生徒に対する殺人未遂容疑で逮捕した。 

 

男は同区長尾の無職、平原政徳(ひらばる・まさのり)容疑者(43)。県警は動機などを追及し、中島さん殺害についても取り調べる。 

 

福岡県警担当記者が言う。 

 

「男子生徒は重傷を負ったものの意識がはっきりしており、刺した男について『面識のない、僕の知らない人です』と答えていました。 

 

中島さんと男との関係についてはまだわかりませんが、男は店内に入ってレジ待ちの列を通り過ぎ、最後尾に並んでいた中島さんら2人に無言でいきなり刃物を振りかざし、入ってきた出入り口から立ち去った。その間わずか約30秒。このため、個人的な怨恨というより無差別な対象に向けた通り魔的犯行という見方が支配的でした。 

 

また、サンダル履きでフラッと訪れ、慌てることなくそのまま徒歩で逃げたことから近所に住む土地鑑のある人物とみていました。実際には平原容疑者は現場の店に車で乗りつけ駐車場で15分ほど待機してから店内に入り、犯行後は再び車に乗り込んで逃走した。 

 

店内の防犯カメラには犯行や逃走の様子は映っていなかったものの、周辺住民から防犯カメラやドライブレコーダーの映像など捜査情報が続々と寄せられ、100件以上に上った。それらを繋ぎ合わせることで絞り込みが進み、早期解決につながったのです。調べに対し、平原容疑者は容疑を認めています」 

 

 

県警は逮捕直後の19日正午から捜査1課長らが記者会見を行い、中島さん殺害について再逮捕する方針などを示した。 

 

突然、中学生の男女相手に凶刃を振りかざした平原容疑者。住宅街の大きな一軒家に暮らす中年男は、その奇行や大声、異様な雰囲気で知られていた。近くに住む70代の男性は、こう証言した。 

 

「最後に見かけたのは先週の水曜日だったね。ゴミの収集車が持っていった後にゴミを出していたので、気になってゴミの中身を見たら大量の麦焼酎のワンカップが捨てられていました。 

 

本来なら注意すべきなんでしょうが、あの男には怖くてできませんでしたよね。なんというか普段から、完全に普通ではありませんでしたから。毎朝5時30分に起きて玄関のあたりでタバコを吸って、その後、車で出掛けて2、3時間で戻ってくるんです。おそらく朝ごはんをどこかに食べに行っているんだと思います」 

 

「朝食」のルーティーンから戻った男は、その後、決まってタクシーで出かけたという。男性が続ける。 

 

「午前10時ごろになると黒塗りのタクシーが迎えにきて、またどこかに行くんです。どこに行っていつ戻ってきてるのかはわかりませんでした。働いてはいなかったと思います。それに行動も普通ではありませんでした。ここ1年くらいが特にひどかったですが、家の中から大音量でカラオケをしたりしていました。 

 

また別の時にはそのカラオケのマイクを使って『おいコラッ』などと誰かを叱っているような怒声が響いていることもありました。夏頃には突然一階の窓から火のついた爆竹を投げて窓を閉めていなくなったり、駐車場でロケット花火をしたりしていました」 

 

さらにこんなこともあったという。 

 

「子供さんのいるご近所の方が『子供が怖がるから大声を出すのをやめてくれ』と注意しに行ったら『大声出して何が悪いんだ』と逆ギレしたらしいです。それでその方の相談を受けた警察が、一時期この辺を巡回していましたから。 

 

車は白色と黒色の2台を持っていて、普段は白に乗っていたんですが事件前にJAFがきてなんかイジっていました。バッテリーでも上がったんですかね。その後は黒い車に乗っていたと思います。 

 

車に乗る時も軍歌みたいな進軍ラッパを大音量で流していました。普段は一人暮らしと思いますが、週末だけは60代くらいの女性が家に来ていたこともあります。まあ、普段からおかしかったので、逮捕自体にはそこまでは意外性はないんですけど、近隣住民に手をあげるようなことはなかったんで、やったことに対しては驚いています」 

 

 

別の男性住民も似たような印象を持っていた。  

 

「えらい朝早い時間によく玄関の前でタバコを吸ってるのを見かけましたよ。他の人を見かけたことがなかったので、1人で暮らしていたと思いますよ。大音量で家から音楽が流れていたり見た目も怖いから、ご近所さんは『近寄りたくない』と思っていたはずです。こちらが近寄らない限り向こうからは絡んでこないから。 

 

服装はポロシャツとかが多くて髪を茶色に染めていました。一度近所の人が大声を出すのが怖いとかでトラブルになって、それまでも爆竹を家で鳴らしてたんだけど、そのトラブルの後に頻度が増えたりしてたからたぶんわざとやっていたんだと思う。そういうのもあってみんな関わりたくないってのが本音だったと思うよ」 

 

出前の配達に頻繁に訪れていたという飲食店の従業員男性にも、平原容疑者は「異様」に映った。 

 

「いや、普段よく出前を取られるんで家に伺っていましたが、普通ではないというかおかしな雰囲気はありましたよ。なんて言えばいいんですかね。ビール片手に出前を受け取りに現れたり、とにかく雰囲気はおかしかったです。頼んでいたのはゴボ天うどんとか色々ですが……。かと言って部屋の中がすごく汚いとかそういうことはありませんでしたね」 

 

15歳の女子中学生の未来を奪った身勝手な男は、何を考えていたのか。捜査本部の調べが待たれる。 

 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

集英社オンライン編集部ニュース班 

 

 

 
 

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