( 238011 ) 2024/12/23 05:20:37 0 00 全国各地で行われている自動運転の実証実験だが、これが市販車にそのまま生かされているケースは極めて稀だ。しかし、自動運転は用途がたとえ限られても今後必要になる技術に変わりない。今後の発展を引き続き見守りたい。
「ウチの町で、県内初の自動運転の実証実験が始まる」。そんなテレビニュースやネット情報を最近、見かけることが少なくない。それもそのはずで、国は2025年度に全国で約50カ所、そして2027年度には約100カ所で地域交通に関する自動運転の実用化を目指しているのだから。
背景には、人口減少、バス・トラックなど物流の2024年問題、高齢者の免許返納など、日本が直面しているさまざまな社会課題がある。
地域交通の自動運転が進めば、ドライバー不足の解消、交通の需要と供給バランスの適性化、街なか移動の静粛性や環境負荷の軽減などが、ポジティブな要因として挙げられる。
他方、自動運転の導入で課題となるのが「コスパ(コストパフォーマンス)」だ。ひと言で自動運転といっても、コストのかけ方によってさまざまな仕様がある。
もっとも廉価なのが、ゴルフカートを活用して地中に埋設した電磁誘導線を辿るタイプだ。その反対に、開発の初期投資が莫大なのが、いわゆる生成AIを活用したタイプ。アメリカではテスラやグーグル(親会社はアルファベット)から独立したウェイモなどの事例がある。
その中間として、車内にハンドルやペダル類などの運転操作系がなく、対面などで座るタイプのバンタイプで、自車センサーと道路側センサーを協調させるタイプがある。
このように、地域交通を対象とした公共的な自動運転では初期投資コストの差は大きいのが実情だ。さらに、遠隔操作やメンテナンスなどの維持費にも、自動運転の仕様によって差がある。
そこまでのコストをかけて、それぞれの地域で何を目指すのか? ここがキーポイントとなる。地方自治体などが「何を目指すのか?」を明確にした上で、それが実現できた場合、地域住民は満足するのか、という点だ。
自分自身ですぐに利用しなくても、家族が利用したり、または自身が高齢になったときに自動運転車を使うのかも気になるところだ。
そうした社会受容性に対して、かかるコストが高いのか、妥当なのか、安いのか? つまり、コスパが重要なのだ。
その上で、自動運転の実用化に向けた準備として行うのが、いわゆる実証実験だ。想定した運行が安全かつ着実に実施できるのか、カメラや各種センサーからのデータを検証などから、総合的に判断する。また、道路側のセンサーと自動運転車とのデータ連携についても検証が必要な場合もある。そして、利用者からのアンケート調査も、実証実験における大きな要因だ。
国や地方自治体の予算も活用して自動運転の実証実験が全国各地で行われている。地域住民の未来に向けて、有意義な内容となることを願う。
桃田健史
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