( 239131 )  2024/12/25 07:01:06  
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信越放送 

 

長野県で2015年、男子中学生が車にはねられて死亡した事故で最高裁判所は2025年2月7日に判決を言い渡すことを決めました。 

 

2015年3月、中学3年だった和田樹生さんは佐久市の自宅前で車にはねられ死亡しました。 

 

運転していた52歳の被告の男の裁判は、両親の訴えなどもあり、過失運転致死やスピード違反などの罪をめぐり3度行われるという異例の経過をたどりました。 

 

2022年に行われた3度目の裁判で被告は、樹生さんの救護よりも前に、飲酒を隠すためにコンビニへ行き、口臭防止剤を買っていたなどとして、道路交通法の救護義務違反=「ひき逃げ」の罪に問われました。 

 

長野地裁の一審は懲役6か月の実刑判決。 

 

ところが2023年に東京高裁で開かれた二審では、逆転の無罪判決が言い渡されました。 

 

田村政喜裁判長は、被告はコンビニへ行ったものの、要した時間は1分余りで、離れた距離も50メートル程度に留まっていると指摘。 

 

その後、現場に戻っていることなどから、救護義務を果たす意思を持ち続けていたと認定しました。 

 

(父・善光さん) 

「ちょっと考えられないなぜ我々の思いが司法に届かなかったのか」 

(母・真理さん) 

「刑が確定するようなことがあればこんな国に産んでごめんねとしか言えない」 

 

検察側は納得せずさらに上の最高裁判所に上告しました。 

 

最高裁では必ず「弁論」が開かれる訳ではありません。 

 

最高裁が検討した結果、多くの場合は不受理つまり「門前払い」で、受理された場合のみ「弁論」が開かれます。 

 

2022年の1年間に上告された刑事事件が終局したのは1684件。 

 

このうち「弁論」が開かれ原判決が破棄されたのは、わずか8件で全体の1パーセント以下です。 

 

最高裁での審理は、これまでの裁判の手続きや判決に法令違反などの可能性がある場合にのみ行われるためです。 

 

最高裁は、2024年10月に検察側と被告側の双方の意見を聞く「弁論」を開きました。 

 

弁論で検察側は、無罪判決は法律の解釈適用の誤りで著しく正義に反するとし速やかに破棄すべきと主張しました。 

 

(検察側) 

「被告の身勝手な行動によって救護が遅れたことを過小評価した不合理な判決で、被害者が発見されない間に119番通報することが無意味であるかのような判断」 

 

一方、弁護側は改めて無罪を主張しました。 

 

(弁護側) 

「被告は直ちに被害者の捜索を開始した。救護義務と相容れない行動があったとしても、離れた時間や距離の程度やその後の行動が全体的に考察されていて、判決に法令違反はない」 

 

「弁論」が行われると次は判決です。 

 

最高裁判所はこの期日を2025年2月7日と決めました。 

 

判決では、審理の上、上告を棄却することもありますが、原判決を破棄する場合は最高裁自らが判断を下す「自判」となるケースと、東京高裁に差し戻すケースがあります。 

 

仮に、高裁に差し戻されると再び審理が行われ、判決が出ても上告が可能なため、裁判はまだ長く続くことになります。 

 

(善光さん) 

「事故を起こしたら直ちに救護しなければいけないのは当たり前のこと。当たり前の考えが再度周知されればいい」 

 

(真理)さん 

「できれば最高裁で救護義務違反を認める判決をしてもらいたい」 

 

信越放送 

 

 

 
 

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