( 239396 ) 2024/12/25 19:18:51 0 00 カラッと揚がったエビの天ぷら(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
天ぷらは、寿司と並んで外国人観光客からも人気の日本料理のひとつ。年末年始に食卓で楽しむ機会もあると思いますが、専門店のカウンター席で楽しむ天ぷらは格別です。しかし、家で食べるときとは異なり、うっかりマナー違反をしていることがあるかもしれません。いまさら聞けない、天ぷらを食べる際の作法を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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エビの天ぷらのシッポを食べるのがマナー違反ということはありません。天ぷら専門店の場合、尾まで食べられるように調理して、提供されることがあります。食事のマナーとは、周囲を不快にさせず、快適な環境で食事を楽しむための気遣いです。作る側の意向を汲むのも、マナーのひとつといえます。
スタッフの方から食べ方の説明があれば、それに沿って味わうのがおいしい食べ方です。食べ方に迷ったときは、スタッフに聞いて問題ありません。カラッと揚がって食べやすくなっていると思いますが、シッポが苦手であれば無理に食べなくても大丈夫です。残したものは、皿の端に目立たないように寄せておきましょう。
栄養面でいえば、エビのシッポには主にキチン、アスタキサンチン、カルシウムが含まれます。キチンは不溶性食物繊維の一種で腸内環境を整え、アスタキサンチンは高い抗酸化作用で免疫機能向上に役立ち、カルシウムは骨や歯を丈夫にするために欠かせない成分です。少量ながらも栄養メリットを摂取したい場合は、シッポも食べたほうが良いでしょう。
食べる際は、天つゆに天ぷらを浸しすぎないよう注意しましょう。素材本来の味や、衣のサクサク感が損なわれてしまいます。また、箸先から天つゆがポタポタ垂れる「涙箸」は、箸の典型的なNGです。天つゆの器を手に持って、さっとくぐらせる程度で食べます。
天ぷらを塩で楽しむ場合、小皿に塩が盛られて用意されることが多いでしょう。天ぷらを、小皿の塩に直接つけるのは好ましくありません。塩が汚れてしまうのと、塩のつき具合が一か所に偏ってしまうためです。
塩を親指と人差し指でつまんで、天ぷらの上から振りかけると良いでしょう。天ぷら全体にほど良く塩が行き渡り、おいしく食べられるうえに、小皿の塩も汚れません。
天ぷらは大小さまざまなものがありますが、ひとくちで食べ切れない場合、食べかけを器に戻さないようにしましょう。食べかけが器の上に見えてしまうのは好ましくありません。たとえばエビの場合、器に戻さず、箸で持ったままの状態で2~3口で食べ切ります。
カボチャやイモなどのやわらかい天ぷらの場合は、箸で小さく切り分けてから口に運ぶとスマートです。
自分で一品ずつ天ぷらを注文する場合、味が淡泊な素材のものから濃いものの順番にすると良いでしょう。味が濃いものから食べると、あとから淡泊な素材を食べたときに、繊細な味がわからなくなってしまうからです。白身魚やエビ、アスパラなどを先に注文し、アナゴやカボチャなど濃厚な味のものをあとにすると、天ぷらのおいしさを存分に楽しめます。
盛り合わせで提供された場合は、左手前から順番に食べ進めると良いでしょう。自分の好きな素材から食べたいと、奥から取って盛りつけを崩してしまうのは好ましくありません。一般的に天ぷらの盛りけは、味の薄いものが手前、濃いものが奥に配置されています。
天ぷらは、揚げたてを楽しむものです。おしゃべりや写真撮影に夢中で、食べ始めるのに時間がかかってしまうのはマナー違反になります。とくに、目の前で揚げてくれるカウンターで食べる場合は、料理人がおいしいタイミングを見計らって提供しているので、出てきたらできるだけすぐに味わいましょう。
Hint-Pot編集部
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