( 241091 ) 2024/12/29 05:01:01 0 00 拡散されている寿司店でのワンシーン(Xより)
客単価5万円はくだらない港区・南麻布の高級店「鮨よし田」 は、2024年で最もバズった寿司店と言えるだろう。今年1月下旬に同店を訪れた女性・A子さんが“大将に殴られかけた”というトラブルについてX(旧Twitter)に投稿したところ、当該ポストは3億を超えるインプレッション(閲覧数)を集めた。
A子さんによると、大将がほかの客から差し入れされた白ワインを目の前に置いたため、「二日酔いで目の前に白ワインがあると気持ち悪くなってしまうので反対側に置いていただけますか?」と頼むと、大将が不機嫌な様子に。退店する際、「こんなお寿司屋さん初めて」とつい口にしてしまい、大将に殴られそうになったのだという。証拠として、険しい表情で身を乗り出す大将を弟子がしがみついて止めている写真も公開していた。
過去のX上でのポスト内容から、A子さんがラウンジで働く、いわゆる“港区女子”と思われた点もネットユーザーを刺激したようで、彼女を特定しようとする動きまで起こり、騒動はどんどん過熱していった。
当時、NEWSポストセブンが取材を進めるなかで、「料理以外の撮影は本来禁止されているにもかかわらず、A子さんと連れの男性が写真や動画をたくさん撮っていたのが発端だったそうです」という常連の証言も出てきた。大将である吉田安孝氏にも取材を試みたが、「弁護士さんと話しているので……」と憔悴した様子で答えるのみだった。
A子さんは3月、〈鮨よし田さんと和解をしました〉とXで報告。すっかり「鮨よし田」の常連となり、大将と良好な関係を築いているような投稿もしていた。世間に注目されたことで、グラビアデビューを果たすなど、A子さんの活動はますます華やかさを増したようだ。6月に公開したNEWSポストセブンのインタビューでは、「お金をためて自分で起業することも考えています」と将来の目標を語っていた。
あのトラブルから約11か月。NEWSポストセブン取材班は再び大将の吉田氏のもとを訪ねた。当時は強張った表情で、「話せない」の一点張りだった彼だが、時間を経たことで、今はある程度は穏やかに騒動を振り返ることができるようだ。「私が話すことでまた大事になるとイヤだし、この件に関してはこれで終わりにしたいんです」と苦笑いしながらも、質問に答えてくれた。
──トラブルになった女性と和解したと聞いた。
「和解ではないですよ。むこうが勝手に和解と言っているだけなので。店にいらっしゃったので、『もうそういう(迷惑行為)ことはしないでくださいね』と言って、謝罪は受け入れました。人は誰だって過ちはあります。だから1回は許しますし、出禁にもしません。だけど二度とそういうことはしないでくださいね、ということで落ち着いただけ。
でも向こうは、〈和解をしました〉とSNSで発信した。『和解した』というのは、こちらが言うことであって……。一方的に発信されたことで。うちは常連さんで成り立っている店なんですよ。そういう方たちはわかってくれているので、自分からはいっさい何も言いませんでした」(吉田氏、以下同)
──「和解した」という発信には違和感を覚えた?
「それが仕事なのか知らないですけど、謝罪に来たのもその場だけの対応だったのかなと思っちゃいますよ。でも僕も揉めたくないし、常連さんはわかってくれているので」
──騒動以降、客足に変化はあったか?
「離れたお客さんもいますよ。そりゃそうですよ、あんなふうに『和解した』と書かれたら、『なんであんな人と和解したの?』と言う方もいますよ。あの騒動のときも、僕は常連さんを守るために注意しただけ。ほかのお客さんに迷惑になることは許せないので」
──謝罪に来た際も、女性はお寿司を食べていたのか?
「食べてましたよ。それ以降も1、2回お店にいらっしゃいました。こちらも普通にお客として対応するだけで、出禁にしたわけでもありません」
──SNSで拡散され、その影響力には戸惑いもあった?
「びっくりしますよ。写真も強烈だったし。動画を撮るのはダメだと言ってたのに、その動画を切り抜いてアップした。
あのときは、ダメだって言ってるのに撮り続けていたので注意したんですよ。ほかのお客さんの音声も入るし、過去にもお客さん同士でトラブルになったことがありました。だからこそ、うちはほかのお客さんが映る写真撮影は控えてもらっています。
確かにお客さんが積極的に写真を撮るのを推奨するお店もあります。でもうちは常連さんのプライバシーを守りたいし、安心して来られるお店というのが売りなので、マナーは守っていただきたいんです」
──トラブルの際の写真を見ると、今にも大将がお客さんに掴みかかるようにも見えた。
「あれも弟子が止めに入っただけで……。わかる人はわかるので、自分からは何も発しませんでした」
──その後、女性はグラビアデビューした。
「そういう生き方なのかわからないけど、人それぞれなので。今日も早い時間帯にいらっしゃった常連さんが『いろいろあったけど、大将のこと信じてた。和解はしてないよね?』とおっしゃったので、『和解はしてません』と答えました」
──来年は心機一転、騒動なくやっていきたい?
「ただ、ああいう方たちはいるんですよ。トイレでタバコを吸うとか、常識外れな方はいます。1万歩譲って貸し切りならいいですけど、ほかのお客さんに迷惑をかけるのは許されない。それについては妥協しません。先日もハリウッドスターがいらっしゃったんですが、別のお客さんが動画を撮影していたので注意しました。
この金額を出せば、お寿司がおいしいなんて当たり前。ほかにもサービスや気配り、居心地の良さなど、食事以外も含めてお金をいただいているわけですから、そこは妥協できません。大声で話したり、下品な会話をしたり、非常識な行為があったら注意します」
──改めて和解というのは。
「和解は自分が言うことで、あちらは加害者ですからね。でもそれについて何か言うのも面倒くさいし、そこに労力をかけたくない。小さい店なので、ミリ単位の気配りをしたいですし、お店やお客さんに対して力を入れたいんですよ」
一抹の苦々しい感情を残しながら、これからも大将は寿司を握る。
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