( 241256 ) 2024/12/29 15:40:34 0 00 松本人志氏の復帰への見通しは? Photo:AFLO
M-1の審査員で年内復帰するかという憶測も飛んでいたが、そうはならなかったダウンタウンの松本人志氏。このまま沈黙を貫くと思いきや、12月25日にネット上でインタビュー記事が突如掲載された。「クリスマスプレゼントだ」と受け取るファンもいるが、批判する人からは辛辣な声が上がっている。このインタビューは松本氏にとって、復帰への足がかりとなるのだろうか。(フリーライター 鎌田和歌)
● 松本氏の独占インタビュー記事 クリスマスに突如発表された“なぜ”
『週刊文春』を訴えた民事訴訟が、松本人志氏側が訴えを取り下げることで終結したと伝えられたのが11月8日。5億5000万円と訂正記事を求める高額な訴訟だっただけに、あっけない幕切れは意外なものだった。
これには、年末年始特番での復帰が画策されているのではと憶測も飛んだが、年末の大イベントである『M-1グランプリ』の審査員に結局、松本氏が復帰することはなかった(過去映像は流れた)。今のところ、年末年始の特番に出演する可能性は低そうだ。
そんな中で12月25日に突如発表されたのが、「松本人志が語る今の思い。そして見据える今後」というインタビュー記事だった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8364fe62c042b9bca84c2d0f00c8710cf5bcd7dd
中西正男記者による独占インタビューで、Yahoo!ニュースエキスパート(オーサー個人の執筆記事)で公開されている。インタビュー日時は書かれていないが、裁判が終わった後のものと考えられる。
久しぶりのインタビューとあって喜ぶファンも多いが、批判の声がかなり多いのは否めない事実だ。ファンたちはインタビューがアップされたこと自体を喜んでいるが、批判はインタビュー内容の詳細に立ち入り、具体的なものが多い。
たとえば、「何を聞いてもらってもいい」としながら、突っ込んだ質問(回答)はないこと。結局裁判内容については語れないとしているものの、「物的証拠はなかった」という自分側が有利に見える情報のみ語っていること。そもそも記事が一問一答形式ではなく、一人語りの構成であること(一人語りの構成が悪いわけではないが、記者がどのような質問をしたのかが、これではわからない)。
これらは確かに中途半端な姿勢に見える。記者会見を開くことはせず、面識があるであろう芸能記者と1対1でのインタビューで、松本氏の機嫌を損ねるような、批判的な質問がなされたとは考えづらい。予定調和にすら見える。
ただ、もともとファンであった人が今回のインタビューで失望を覚えたとすれば、それは別の箇所にありそうだ。
● 素人でも「すぐに終わる」と思わない 提訴は見込みが甘かったのでは?
訴えを取り下げた理由について、松本氏は裁判が思っていた様子と違っていたからだと語っている。「簡単に言うと、もう少し早く決着がつくと思っていましたし、証明したいことがもっと早く形にできると思っていたんです」(インタビューより)。
そうして、裁判が続くことにより、リアルに収入が減ることに「純粋にプライドをへし折られました」と語っている。
率直な語りぶりではあるが、本人も「裁判に関しては僕が勉強不足」と言っている通り、想定が甘かったとしか思えない。民事訴訟には平均で1年~1年半かかると言われるし、長い場合はもっとである。今回のように注目を集め、賠償額も大きな訴訟が、すぐに終わるとは素人でも思わない。
たとえすぐに終わると思っていたとしても、それは裁判前に弁護士などに確認しておくのが普通であろう。一歩間違えれば世間から信用を永遠に失う大事な局面だ。この見切り発車を止める人が周囲にいなかったというのも驚きだし、世間ズレしたものを感じる。
松本氏が5億5000万円もの大金を損害賠償として訴えると聞いて、そこまで言うなら勝算があるのだろうと感じた人は多いはずだ。しかし今回のインタビューからは、そうではないのではないかという様子がうかがえる。
昔から報道への憤り、正義感があり、「これはなんとかしなければいけない」と思ったと語っている。実際、人気タレントとして長年メディアに露出する中で、自分や仲間に対する報道に憤りを覚えたことは今回のみならずあるのだろう。
しかし松本氏が訴えた文春は、これまでも芸能人への報道で何度も訴訟沙汰となっている。中には文春が負けているケースもあるが、裁判が終わるまでテレビに出ないという選択肢が自分の首を絞めてしまうのであれば、それだけでも避けた方が良かったはずだ。
訴訟取り下げが報じられた際には、ネット上では「これは松本氏側の勝ちだ」と言う人まで現れたが、インタビューのトーンを見ても、そのようには受け取れない。訴訟取り下げ時と同じくインタビューでは「物的証拠がない」ことが強調されているが、そもそも明確な証拠があるならば刑事事件化している可能性が高いので、そこを今さら気にしている人は熱心なファン以外はいないのではないか。
● 『ダウンタウンチャンネル(仮)』 はファンの囲い込みに成功するか
今後の活動については、『ダウンタウンチャンネル(仮)』を立ち上げると説明している。「月にいくらか払っていただいて、プラットフォームも独自に作って、見たい人に見てもらいたいものを直接届ける」といい、これは有料課金の動画サイトを立ち上げるということなのだろうか。
松本氏はこの騒動の前から、コメントが切り取られることでの批判に辟易し、それが理由で『ワイドナショー』を降板している。週刊文春の報道以前から、ネット上での意見には耐えられなくなっていたのだろう。
有料課金の中で炎上はほとんど起こらないし、松本氏の姿を見たくないと思う人にとっても「ゾーニング」は意味がある。ただ、YouTubeはもちろん、有料課金のオンラインビジネスやファンクラブは、すでに多くの芸能人が始めている。個人からいかにして直接課金してもらうか、課金ユーザーを取り合う状況になっている。
松本氏ほどの有名人であれば課金する人はいるだろうし、今回の件での「同情票」もあるかもしれない。ただ、芸能人であればYouTubeの再生回数が回るかといえば、そう簡単なものではない。課金コンテンツが乱立する現代において、どれだけ新規性を出せるかが課題になってくるだろう。
● タイミングが悪い…… ほぼ同時に出た中居氏の報道
この松本氏のインタビューのタイミングが悪かったのは、ほぼ同時に中居正広氏への疑惑が報じられたことだろう。重大なトラブルで女性に9000万円近い解決金を支払ったと週刊誌で報道されており、テレビでは報道されていないものの、ネット上では大きな話題となっている。
人気番組『まつもtoなかい』が『だれかtoなかい』となって久しいが、これでは『だれかtoだれか』になってしまうとネット上ではささやかれている(同番組は来年3月で終了予定)。
BBCによるジャニー喜多川氏についての報道以降、芸能界でのこのような報道は相次いでいる。報道が事実であれば、個々のタレントの責任はもちろんあるが、世間の目は「芸能界の体質」にも向けられている。
女性を「上納」するようなシステムは本当にあるのか、ないのか。マスメディアの人々もその構造を把握しつつ、目をつぶってきたのではないのか。語りたいことだけ語ってもらうインタビュー記事もいいが、疑惑の追及も必要だ。
鎌田和歌
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