( 241714 )  2024/12/30 15:02:20  
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兵庫県の斎藤知事を巡る文書問題について、12月25日に開催された百条委員会では、文書の真偽や適切な処分方法について話し合われた。

斎藤知事や関係者が出頭し、公益通報についても専門家の意見がまとめられた。

兵庫県では公益通報調査が終了し、パワハラの確証は得られなかったが、対策を講じることが決定された。

また、2月中旬に報告される兵庫県議会の結論や、3月上旬の第三者委員会の報告が控えている。

斎藤知事や関係者の証言内容や、公益通報保護法について専門家の意見が相違しており、今後の公益通報者保護法の改正などに関する検討が進んでいる。

(要約)

( 241716 )  2024/12/30 15:02:20  
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MBSニュース 

 

 兵庫県の斎藤知事を巡る文書問題。12月25日に開かれた百条委員会では、斎藤知事、片山元副知事、専門の弁護士が出頭し、文書の中身は真実かデタラメか、処分のやり方は適切だったのかなどが話し合われました。そして専門家の間でも意見が分かれる公益通報についてまとめました。 

 

▼3/12 元県民局長が斎藤知事に関する疑惑を告発 

 

▼3/21~27 斎藤知事は“中身に問題”があるとして告発者捜しと処分 

 

▼6/14~ 百条委員会で調査 告発文書の中身自体について県議会で議論 

 

▼7/7 元県民局長が死亡 

 

▼9/19 県議会 斎藤知事に対して不信任決議 

 

▼9/30 斎藤知事 失職 

 

▼11/17 斎藤知事 知事選挙で再選 

 

▼12/25 斎藤知事 再選後初の百条委員会の証人尋問に出頭 

 

①兵庫県 公益通報担当 調査終了 

▷調査結果 

・パワハラがあったとの確証までは得られなかった 

・通報窓口を外部に設置 

・知事らに対しハラスメント防止研修実施 など 

 

②兵庫県議会 百条委員会 

来年2月中旬をめどに報告 

 

③外部 第三者委員会 

来年3月上旬をめどに報告 

 

百条委員会の目的は次の2つです 

 

・「7つの疑惑」の告発文の真偽調査 

・公益通報の県の取り扱いの検証 

 

 百条委員会は既に15回行われていて、斎藤知事が出頭するのは今回で3回目です。今回出頭した、斎藤知事、片山元副知事、専門家の発言を順番に見ていきます。 

(片山安孝元副知事:1983年に兵庫県庁に入庁した職員で、2021年の定年退職後に副知事に就任。百条委員会に3度目の出頭。元県民局長を直接事情聴取した人物) 

 

▼斎藤知事の発言 

 告発文については「客観的な証拠や供述も添付されていなかった。3月25日の元県民局長聴取でも『うわさ話を集めて作成した』と本人が言っているとして、外部通報の保護要件みたさないという見解した」と証言しました。 

 

▼片山安孝元副知事の発言 

 元県民局長のPCの中身について「いろんな言葉でクーデターとか、転覆とか『片山さんを早くやめさせ』とか並んでいた。誹謗中傷の紙をばらまいたなどと書かれていた。不正な目的があるので(公益通報は)問題外だと認識していた」と証言しました。 

 

▼公益通報者保護法に詳しい結城大輔弁護士 

 「公益通報に当たる当たらないにかかわらず、通報者を保護していくというのが非常に重要だというように理解しておくべきかと考えております」と証言 

 

 

 公益通報は3種類あります。その中には「内部通報」と「内部告発」があり、似ていますが公益通報保護法という法律上は分けて考えられています。内部通報というのは県が設置した窓口へ通報する「1号通報」は通報者が保護されます。 

 

 また、「内部告発」の中でも行政機関への通報は「2号通報」。マスコミなどへの通報を「3号通報」としていて、情報が外部に出る「2号通報」「3号通報」は条件つきで通報者は保護されることになっています。これは情報の流出を防ぐためだといいます。「2号通報」「3号通報」の通報者が守られる条件は“真実相当性”の有無だと定められています。 

 

 今回の騒動で3月12日に元県民局長がマスコミあてに送付した告発文は「3号通報」にあたります。そして論点になるのが真実相当性の有無についてです。 

 

 兵庫県の法律相談に乗る藤原正広弁護士は9月の百条委員会で以下のように発言しました。 

 

「(告発文書が)居酒屋でお酒を飲みながらの(話)ということになると真実性が担保されているかどうかは疑問を持たざるを得ない。真実相当性が認められないから不利益取り扱いは禁止されない懲戒処分は可能である」 

 

 また、斎藤知事も「真実相当性がなく誹謗中傷が高い文書だった」と主張。 

 

 これに対し、公益通報者保護制度に詳しい大森景一弁護士は「そもそも『ない』とも言い切れないので?そうなれば通報者は保護対象」だとしています。 

 

 大森弁護士によると『公益通報者保護法に基づく指針』には以下の方針が書かれているということです。 

 

●対応は通報に関する者を除外 

●通報者の探索を防ぐ 

●公益通報者を保護する体制の整備 

●不利益な取り扱いをした場合回復措置 

 

 指針はあくまでもガイドラインとなっていて今回の一連の騒動も、ガイドライン違反は起きているが、法律違反だとは言い切れないため専門家の間でも意見が分かれているといいます。 

 

 2024年12月現在、消費者庁は公益通報者保護法を改正を検討していて、12月24日の最終会合で内部通報者を解雇・懲役処分とした事業者に刑事罰を導入する案が出されています。 

 

 大森景一弁護士によりますと、「通報者のメリットが少なすぎる。アメリカでは通報して事業者が罰金払うような事態になった場合、10%~30%に通報者に入る報奨金制度や退職金の上乗せなどが行われている」ということで、公益通報者保護法のルールの改定の検討も必要になってきています。 

 

 

 
 

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