( 242106 )  2024/12/31 05:33:42  
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(写真:読売新聞) 

 

 【ニューヨーク=小林泰裕】韓国の務安(ムアン)国際空港で起きたチェジュ航空機の事故で、機体を製造した米ボーイングの先行きに懸念が強まっている。世界の航空機市場では欧州エアバスと並ぶ「2強」の一角だが、近年は相次ぐ事故によって業績低迷が続いている。 

 

(写真:読売新聞) 

 

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、今回の事故が起きた「737―800型」は1998年に納入が始まった。約4400機が運航中で、世界の約15%を占める人気機種となっている。最大座席数は189で、主に国内線など比較的短距離の移動に用いられる。 

 

 日本では2024年9月時点で日本航空グループが62機、ANAグループが39機を運航している。日本航空グループは「現時点で同型機の運航停止や特別な検査などは想定していない」としている。 

 

 ボーイングの機体を巡っては、18年10月と19年3月に主力機「737MAX―8」の墜落事故が起き、計346人が亡くなる惨事となった。自動飛行制御システムの欠陥が原因で、2年近くにわたって運航停止を余儀なくされた。 

 

 24年1月にも「737MAX―9」の機体の一部が飛行中に吹き飛ぶ事故が発生した。米メディアは、エアバスとの競争激化で機体の安全性よりもコスト削減を重視したことが相次ぐ事故の一因と報じている。 

 

 一連の事故を受けた受注減や生産停止によってボーイングの業績は悪化し、24年7~9月期まで9四半期連続で最終利益が赤字となっている。9月には16年ぶりにストライキが発生し、約2か月にわたって航空機生産の大半が停止した。 

 

 10月には全従業員の約10%にあたる約1万7000人の削減も発表した。20年にも1万人超の人員削減を実施しており、経験豊富な従業員が減少して生産現場で質の低下が起きているとも指摘されている。 

 

 今回の事故原因はまだ明らかになっていないが、ボーイング側に問題があった場合、業績にさらなる打撃となる。ボーイングには三菱重工業などの日本企業も部品を供給しており、影響が及ぶ恐れもある。 

 

 

 
 

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