( 242256 )  2024/12/31 15:13:51  
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松本人志さんのXアカウント 

 

お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんの去就はどうなるのか。『週刊文春』を通じた「性的行為」強要の告発によって、芸能活動を休止した松本さんだったが、文春を相手取った裁判を「訴訟の取り下げ」によって終結させた。 

 

裁判が終わったからといって、状況は振り出しに戻っただけとも言えるが、芸能メディアの中には、2025年(来年)末の特番『笑ってはいけない』で復帰するとの観測を示したところもある。 

 

そのような中で、松本さんは12月25日のインタビュー記事で独自のプラットフォーム「ダウンタウンチャンネル(仮)」を来春にも始動させることを予告した。 

 

とはいえ、松本さんは、来年のうちに既存のメディアで芸能活動復帰できるのか。私は「ないだろう」と考えている。テレビもネット配信も舞台も相応に難しい理由があるのだ。(テレビプロデューサー・鎮目博道) 

 

2025年内に松本人志さんはテレビに復帰できるか。なかなか難しいと思う。可能性はゼロではないが、特に地上波・全国ネットへの復帰はかなり厳しいのではないか。 

 

まず、現時点で松本さんがテレビに出ていない理由は「グレー」だからだ。 

 

文春への損害賠償請求訴訟を取り下げた松本さんは現在、松本さんが女性に性加害をしたのではないかという疑惑に関して「あったともなかったとも言えないグレーな状況」にある。 

 

このグレーな状況が、さまざまな関係者に松本さんのテレビ復帰をためらわせている主な要因だ。 

 

「グレーな状況を嫌う関係者」の中でも、スポンサーが最も起用をためらっている。 

 

テレビコマーシャルを出稿している企業のほとんどが、BtoCの商品やサービスを扱う企業であり、その大部分は「女性による購買」を重視している。 

 

だから、女性に悪いことをしたかもしれないと疑念を持たれている状況の人物が出演する番組にスポンサーとして名を連ねるのは難しい。女性視聴者から「あのような人物が出演する番組に金を出すのか」という抗議がくるのは避けたい。 

 

訴訟が取り下げられた今となっては、この「グレーな状況」はなかなか変わりにくいとも言える。裁判所の判決によって「白黒つける」こともできなくなった。 

 

記者会見を開いて釈明や謝罪をする必要も数多く指摘されてきた。今でも会見を開くこと自体はできるかもしれないが、記者からさまざま事実関係について追及され、逆に苦しい状況に追い込まれる可能性もある。 

 

裁判を終わらせるにあたって文春側と話し合いもされた。会見を開いても、もはやそこまで好き勝手なことも話せないだろうから、現実的に会見を開くのは難しいのかもしれない。 

 

 

次に考えられるのは、地上波テレビ以外のフィールドにおける芸能活動によってイメージ回復を図る方法だ。たとえば、NetflixやAmazonプライムのような動画配信であれば、出演が可能なのではないかとは誰もが考えるだろう。 

 

松本さんのキャラクターや芸風は、動画配信と相性がよいと思われる。 

 

現在の地上波は「面白さより、人柄が良くて共感を持てる芸人」を望んでいる。ブレイクした「やす子」さんが多く起用されているのは、好感度が高いからだ。 

 

松本さんは好感度よりも、尖った面白さが強みの芸人だ。有料のネット配信番組で「見たい熱烈なファンが見る」コンテンツのほうがのびのびと活動できそうだ。 

 

ただ、現状では、有料配信動画で復帰するにも大きな壁があると言わざるを得ない。NetflixやAmazonプライムなどの配信大手はアメリカに本社がある外資だ。外資系企業のコンプライアンス基準は日本企業よりもはるかに厳しい。 

 

女性への性加害問題で「グレーな状況にある」人物の起用には消極的だと考えられ、実は地上波に復帰するよりハードルが高いかもしれない。 

 

ABEMAのような日本資本の配信プラットフォームなら復帰の可能性はあり得るかもしれない。ABEMAの方針は「面白ければなんでもあり」というものだし、喜んで松本さんを出演させそうだ。 

 

一方で、ABEMAには「若手芸人や"ちょっと難あり芸人"が出演するところ」という若干のB級イメージが漂うので、肝心の松本さん側があえて出演しようとするかどうか。 

 

配信ではなく、地上波でもいわゆる「独立局」と呼ばれる「チバテレビ」とか「サンテレビ」「東京MX」のようなキー局より規模の小さなローカル局では、比較的出演のハードルが低いと考えられる。 

 

かなり番組編成に自由度はある。とはいえ、コンプライアンスの基準はそれなりに厳格な部分がある。現実的には、オファーをしても、局側に断られる可能性は十分にある。 

 

「独立局に出演をオファーして断られた」との事態になり、記事にでも書かれれば、タレントイメージにかなり大きなダメージを受ける恐れもある。松本さんサイドからしても「ついにそこまで落ちたかと思われたくない」という気持ちが強く働くと思われる。 

 

 

では「劇場」はどうか。スキャンダルを起こした芸人は「劇場からコツコツと復帰への道を進む」のが王道だ。松本さんが出る劇場は満員になるだろう。 

 

だが、これも簡単にはいかなそうだ。ここでも「グレーな状況を嫌う関係者」が登場する。松本さんが所属する吉本興業だ。 

 

吉本は大阪万博でもかなり大きな役割を果たしている。松本さんは万博のアンバサダーをつとめているが、この一連の問題で活動休止中だ。 

 

巨大企業であり、各地の自治体や公共団体との仕事も多い吉本興業は、かなり企業コンプライアンスを重視せざるを得ない立場にある。 

 

特に大阪万博は集客面で苦戦も言われており、開催にネガティブな声も多いので、これ以上問題を抱え込むことは避けたい状況だろう。吉本興業としては、なんとしても大阪万博を成功裏に終わらせたいはずだ。 

 

いま松本さんを劇場などで活動再開させてしまうと、「じゃあ大阪万博のアンバサダー活動はどうするのか」という問題が表面化してしまう。最も安全な選択肢は「大阪万博が終了する、2025年10月13日まで、松本さんのことはそっとしておく」ということになるのではないだろうか。 

 

となると、少なくとも10月までは松本さんはなかなか地上波テレビ以外の活動もしにくい状況にあると考えてもいいのではないか。10月まで何も動きが取れなければ、物理的に年内の地上波テレビ復帰は難しそうだ。 

 

松本さんクラスの大物が出演する特番を作るには、少なくとも3カ月の準備が必要と見込まれる。それでは2025年内には「時間切れ」である。 

 

ということで、私の分析では2025年も松本人志さんの姿をテレビで見ることはなかなか厳しいのではないだろうかという結論になる。 

 

そのような中で、松本さんは12月25日に公開されたインタビュー記事で、独自のプラットフォーム「ダウンタウンチャンネル(仮)」を来春にも始めると語った。現在の「芸能界の枠組み」での復活は無理だと悟ったのかもしれない。 

 

その活動がテレビなどの復帰の足がかりにすると考えているかもしれず、注目したい。 

 

 

 
 

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