( 242376 )  2024/12/31 17:30:59  
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夫が「新幹線通勤」になったら、手取りが減ってビックリ! 交通費って「社会保険料」にも影響するんですか? 交通費「1万5000円→9万3930円」の場合で試算 

 

地方に家を構え、自然豊かな環境で生活しながら新幹線で都心まで通勤する、というのは多くの人にとっては理想的な暮らしの形かもしれません。都心の高額な住宅費を抑え、通勤時間を快適に過ごせるメリットがあります。しかし、そんなライフスタイルに「手取り減少」という思わぬ落とし穴が潜んでいるのを知っているでしょうか? 

 

新幹線通勤がもたらす影響の1つが、交通費の増加による社会保険料の引き上げです。本記事では、交通費と手取り額の関係を具体的に解説します。 

 

交通費は「非課税限度額」の範囲内であれば、所得税や住民税の課税対象外となります。そのため、「会社が交通費を全額負担してくれるから大丈夫」と安心する人も多いでしょう。ところが、社会保険料の計算においては、交通費が含まれる点に注意が必要です。 

 

社会保険料は「標準報酬月額」を基に算出されます。この標準報酬月額は、給与だけでなく通勤手当などの各種手当を含めた金額を基に決定されます。そのため、交通費が大幅に増えると標準報酬月額が引き上げられ、結果として健康保険料や厚生年金保険料が増加し、手取りが減少する可能性があるのです。 

 

具体例を見てみましょう。例えば、静岡県三島市に引っ越した場合、三島駅から東京駅までの新幹線通勤定期券の費用は月額9万3930円です。これに対し、都内在住で利用していた電車通勤の費用は月1万5000円だったとします。この差額7万8930円が、標準報酬月額に加算されることになります。 

 

標準報酬月額が36万円から44万円に引き上げられると仮定すると、以下のように社会保険料が増加します。 

 

●健康保険料の増加:3992円/月 

●厚生年金保険料の増加:7320円/月 

●合計の増加額:1万1312円/月 

 

これにより、年間で約13万5000円の手取りが減少することになります。新幹線通勤に切り替えた際は、こうした負担増を考慮する必要があります。 

 

 

社会保険料の算出基準となる標準報酬月額は、原則として4~6月の給与の平均額で決まります。この期間の給与を抑えることができれば、社会保険料も軽減され、手取り減少を抑えられる可能性があります。以下は、そのための具体的な対策です。 

 

■交通費を減らす 

在宅勤務を増やして通勤頻度を減らし、交通費を実費支給にすることで、標準報酬月額に含まれる交通費を抑えることができます。例えば出社を週に1回とし、定期券料金の支給ではなく、実際にかかった分だけを支給してもらうようにするなど、フレキシブルな働き方を許容している企業であれば効果的です。 

 

■残業手当を減らす 

4~6月の間に過度な残業を控え、支給される残業代を抑えることで、給与総額を調整し社会保険料を軽減することが可能です。無理のない範囲で業務計画を見直すといいでしょう。 

 

これらの工夫を取り入れることで、保険料の負担増を最小限とすることができるでしょう。 

 

社会保険料の増加により手取りは減少するものの、メリットも存在します。特に、厚生年金保険料の納付額が増えることで、将来的に受け取る年金額が増加する点は見逃せません。 

 

さらに、標準報酬月額が上がり健康保険料を多く支払うことで、健康保険から給付される傷病手当や出産手当などが増えることもメリットと言えるでしょう。 

これらをふまえ、新幹線通勤の意義をよく検討することが重要です。 

 

新幹線通勤には、地方に居住することによる生活レベルの向上や生活費の削減といった利点がありますが、交通費の増加による社会保険料の影響を見落としてはいけません。その結果、手取りが減少することにもつながるため、新幹線通勤によるメリット・デメリットを十分に調べておくことが大切です。 

 

出典 

日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険) 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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