( 242416 ) 2024/12/31 18:11:46 0 00 日本におけるEVの販売比率は約1.3%。海外では7~50%前後の国が目立ち、80%を超える国も存在するだけに、日本はかなり普及率が低い。しかしこれは今の話。今後技術革新が起これば、一気に増える可能性も高いと関係筋では言われている。
2024年の一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)の最新データ(1~10月)によると、日本の新車販売に占めるバッテリー電気自動車(BEV)の割合は約1.3%。この数値は、2023年のノルウェー(83%)、アイスランド(54%)、スウェーデン(33%)、中国(22%)、アメリカ合衆国(7%)と世界各国と比較しても非常に低い水準にある。一見すると暗たんたる状況に思えるが、本当にそうなのだろうか。
BEVが普及したからといって、私たちの生活に支障が出るわけではない。確かに、街を走るクルマの8割がBEVに変われば、空気の質は劇的に改善されるだろう。しかし、その道のりは段階的であり、焦る必要はまったくない。
日本の自動車メーカーは、長年にわたりハイブリッド車(HEV)の開発と普及に注力してきた。トヨタを筆頭に、日産、ホンダといった大手メーカーは、すでに電動化技術において世界トップレベルの技術を蓄積している。2030年までに、多くの自動車メーカーがBEVとハイブリッド車の販売比率を50%以上に引き上げる計画を発表しており、技術的な準備は着々と進んでいる。
充電インフラの課題も徐々に解決されつつある。経済産業省の支援のもと、全国各地に急速充電器の設置が進められ、2024年時点では約3万基の充電設備が整備されている。都市部だけでなく、地方においても充電ステーションの整備が加速しており、EVの実用性は確実に高まっている。
日本のEV戦略は、欧州や米国、中国のそれとは異なるアプローチを取っている。水素燃料電池車(FCEV)の開発や、バイオ燃料の研究など、多角的なアプローチを展開している。これは単なる迂回路ではなく、持続可能なモビリティ社会に向けた深慮遠謀な戦略といえるだろう。
実際、トヨタは2021年に「BEVは選択肢のひとつ」と明言し、“マルチパスウェイ”と銘打って、水素、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、そして純粋なBEVまで、多様な電動車両の開発を進めている。この柔軟な戦略が、日本のEV普及の真の強みとなっている。
さらに、日本の自動車メーカーは、バッテリー技術においても世界をリードしている。全固体電池の開発では、トヨタをはじめ革新的な技術が生み出されており、従来のリチウムイオン電池と比較して、充電時間の短縮、航続距離の延長、安全性の向上が期待されている。これらの技術革新が、EVの普及を加速させる大きな原動力となるだろう。
重要なのは、EVをほしいと本当に感じた人が、自分のライフスタイルに合わせて購入することである。充電インフラの整備、バッテリー技術の進歩、車両価格の低下など、EVを取り巻く環境は日々改善されている。
環境意識の高い世代を中心にEVへの関心も確実に増加している。自動車メーカー各社の戦略的な価格設定や政府のEV購入支援策もこの流れをあと押ししている。補助金制度や税制優遇措置により、EVの初期購入コストは徐々に低下しており、消費者にとって現実的な選択肢となりつつある。
現時点でBEVの割合が低いからといって、日本のEV市場の将来を悲観する必要はない。むしろ、消費者のニーズと技術の進歩が、自然な形でEV社会への移行を後押しするだろう。焦らず、着実に前進する日本のEVストラテジーこそ、長期的にはもっとも賢明なアプローチといえるのである。
琴條孝詩
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