( 242826 ) 2025/01/01 17:11:48 0 00 2024年12月30日、韓国・務安(ムアン)国際空港で、チェジュ航空事故機を調査中の鑑識官(写真・2024 Bloomberg Finance LP)
2024年12月29日、韓国南西部・務安(ムアン)空港で、韓国LCC大手のチェジュ航空が着陸に失敗し、乗員乗客181人のうち179人が死亡した事件では、同空港の構造が大きな人命被害をもたらしたとの指摘が相次いでいる。
事故を引き起こした問題として、①滑走路の先にあった土手がなぜあったのか、②他の空港より滑走路がなぜ短いのか、③空港一体はもともと鳥の飛来地だったがバードストライク瓦当然予想されていたのではなかったか、④管制塔など国際線就航には施設面で十分ではなかったのではないか、というものだ。
■滑走路の先にあった堤防
事故機は務安国際空港の外壁と衝突して事故を起こしたが、外壁の前にはコンクリートの堤防があった。旅客機は全壊したが、堤防は大きく崩れなかった。
もしコンクリート堤防がなかったり、壊れやすい構造物であったなら、このような大惨事には至らなかったという指摘がある。
務安空港は生まれながらにして不安を抱えた空港だった。四方が渡り鳥の飛来地であるため、建設当初から鳥が衝突するとの懸念が大きく、また滑走路の長さは2800メートルで国内空港の中では短いほうだ。
また、定期国際線路線は2024年12月から就航した、国際線では「初心者」の空港だった。
これまで、バードストライク(鳥の衝突)による機体損傷が有力な事故原因として挙げられている。しかし、空港自体がいつ事故が起きてもおかしくないほどの構造的な問題を抱えていた。
事故機が衝突したローカライザー(着陸誘導安全施設)は、航空機に滑走路の位置を知らせる施設だ。航空障害物管理詳細指針第23条第3項は「空港敷地内にあり、障害物とみなされるすべての機器や設置物は、壊れやすい台座に取り付けなければならない」と規定している。
ところが務安空港のローカライザーは土を積んで作った、高さ2メートルほどの固いコンクリートの堤防の上に設置されており、設置規定とは別物だった。
これについて韓国・国土交通省は、ローカライザーが縦断安全区域の外にあり、安全基準や設置基準を適用されないため、規程違反ではないと説明している。
しかし、「終端安全区域をローカライザーまで延長しなければならない」という設置基準があるのにもかかわらず、そうしていなかったのは規程違反ではないかとの指摘が出ると、国土交通相は12月31日、「規程関係を再検討している」と一歩後退した。
■滑走路が短かった?
滑走路の長さは事故の原因になるのか。務安空港の滑走路の長さは2800メートル。韓国内の仁川(インチョン)国際空港(3750~4000メートル)、ソウル・金浦(キムポ)空港(3200~3600メートル)、釜山(プサン)金海(キメ)空港(3200メートル)などは、務安空港より滑走路が長い。
さらに、務安空港の滑走路は2025年まで3160メートル延ばす予定であり、その延長工事で約300メートルが利用できない状態だった。実質的に使用できる滑走路の長さは2500mだったということになる。
事故機はランディングギア(着陸車輪)を広げられず、通常のタッチダウン位置である400メートル地点より先の1200メートル地点で胴体着陸を開始した。
2007年に開港した務安空港は、韓国・西海岸の渡り鳥飛来地に近いため、戦略環境影響評価時に「機体が鳥類と衝突する危険性がある」という指摘があった。
実際、2019年から2024年までに航空機1万1004便が離着陸したが、この期間10件のバードストライクが発生した。
務安空港の鳥類衝突発生率は0.09%となり、済州(チェジュ)空港(0.013%)、ソウル金浦空港(0.018%)などに比べて高い。
■渡り鳥の飛来地にある空港
にもかかわらず、務安空港は鳥の群れ探知レーダーや熱画像探知機を設置していなかった。
一方、国際線の運航管理経験が短い「初心者」空港だったことも、事故が拡大した原因の1つと指摘されている。
務安空港は「韓国西南圏の拠点空港」を掲げ、年間992万人の利用を目標に開港したが、2023年は利用客が24万6000人にとどまった。開港から17年で、国際線の定期路線が運行されたが、それから21日で大惨事が発生した。
消防出動要請を出すのが管制側が遅かったのではないかとの疑問も残る。機長が「メーデー」を宣言してから、管制塔が消防に出動要請するまでに3分もかかった。事故当時、勤務していた管制官はたった2人だった。
ソウル新聞
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