( 243306 )  2025/01/02 17:28:04  
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実家に帰省したら、祖母が「税金対策だ」と12月31日と1月1日に「100万円」ずつくれました。1日ずらすことに、何か意味はあるのでしょうか…? 

 

年末年始の帰省時に、親や祖父母から「お小遣い」や「お年玉」として、思いがけず大きな金額を渡された経験がある人もいるかもしれません。基本的に一定の額を超える贈与には「贈与税」がかかりますが、12月31日、1月1日とあえて日にちをまたいで渡すことは、本当に「節税対策」として有効なのでしょうか。 

 

本記事では、暦年贈与で課税となる対象と、「節税対策」として押さえておきたいポイントについて解説していきます。 

 

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円を超えると、超えた額に対して贈与税が発生するというものです。この贈与税の支払い義務があるのは、財産を受け取った本人となります。また、贈与が行われた関係性が家族間であっても、第三者であっても、同じように課税の対象となります。 

 

暦年課税でポイントになるのが「贈与のタイミング」です。暦年課税は「贈与を受けてから次の贈与までの期間」ではなく、「1月1日から12月31日」の1年間が課税対象となるので、12月31日と1月1日が年をまたぐ贈与であれば、それぞれ異なる年の贈与としてみなされることになります。 

 

つまり、2024年12月31日に渡された100万円は2024年分、翌日でも2025年1月1日に渡された100万円は2025年分の贈与として、別の年の贈与として扱われることになるのです。 

 

12月31日と1月1日で分けて贈与を受けることで、贈与税を節税することができますが、次のポイントに注意しましょう。 

 

■「贈与日」を明確にしておく 

贈与税は、贈与が成立した日に課税されます。例えば「12月31日に100万円の贈与を受けたけど、1月1日にまとめて200万円入金した」という場合、通帳の履歴上は、1月1日に200万円の贈与があったとみなされてしまうこともあります。 

面倒でも贈与を受けた日に、その都度入金して「いつ」「いくら」もらったかを分かるようにしておくと安心です。 

 

■定期贈与と判断されることも 

毎年定期的に贈与を約束していることを「定期贈与」といいます。定期贈与では、数百万円あるいは数千万円といったまとまった金額を、年ごとに分割して渡しているもので、定期贈与と判断されると、毎年の贈与額ではなく、その総額に対して贈与税が課される可能性があります。 

 

贈与が定期贈与ではなく、あくまで「毎年その都度行われている」ことを証明するために、「贈与契約書」を作成することも検討しましょう。契約書に日付や金額、贈与者・受贈者の署名を明記してその年ごとに作成することで、その年におこなわれた贈与が「暦年課税における贈与」であることを形に残しておくことができます。 

 

 

暦年贈与の対象は現金だけではありません。「財産」すべてが課税の対象となっています。そのため、1年間のうちに現金の他に「宝石」や「車」など価値のある財産を譲り受けた場合は、その価値に相当する金額も、現金に上乗せして計算されます。 

 

その総額が110万円を超えてしまうと、超えた分が課税の対象となるのです。1年間のうちに大きな贈与を受けた場合は、単独で判断するのではなく、現金やその他の財産をトータルで計算しておくようにしましょう。 

 

12月31日と1月1日にまたいで贈与をおこなうことで、贈与税の節税につなげることができます。しかし、「日にちを分けて受け取ったから、大丈夫」ではなく、「その年の暦年課税贈与」であることを証明するためにも、贈与の日にちを明確にしておいたり、契約書の作成をおこなったりするようにしましょう。 

 

出典 

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 

 

執筆者:渡辺あい 

ファイナンシャルプランナー2級 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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