( 243331 )  2025/01/02 17:56:40  
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Sayuri I/shutterstock.com 

 

「人生100年時代」と呼ばれるように、日本人には長い老後が待っています。長く生きるためにはお金が必要ですが、年金だけで十分なのでしょうか。 

 

ファイナンシャルアドバイザーの筆者も年金の相談をいただきますが、そもそも年金をいくら受け取れるかご存知の方は少ないように感じます。 

 

また、自分の生活費についても把握されている方は少ないため、まずは具体的な金額を把握することをおすすめしています。 

 

そこで今回は現代シニアの「年金額・生活費」と「貯蓄額」を覗いていきます。老後対策を進める上での参考にしてください。 

 

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厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで100%生活できている高齢者世帯は41.7%です。 

 

つまり、年金受給世帯の約6割が「年金だけで100%生活できていない」ことがわかります。 

 

現役世代にとっては、自分が将来受け取る年金額を具体的に想像するのは難しいかもしれません。  

 

では、現在のシニア世代は、毎月どの程度の年金収入を得ているのでしょうか。  

 

次章では、厚生年金や国民年金の平均受給額について詳しく見ていきます。 

 

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、「厚生年金と国民年金」の平均受給額を確認していきましょう。 

 

なお、年金は基本的に2ヶ月分が一度に支給されますが、本章では資料のとおり「月額」の年金額で見ていきましょう。 

 

●シニア全体の「厚生年金」の平均受給額(月額) 

〈全体〉平均年金月額:14万6429円(含:国民年金の月額部分) 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:16万6606円(含:国民年金の月額部分) 

 ・〈女性〉平均年金月額:10万7200円(含:国民年金の月額部分) 

※国民年金部分を含む 

 

全体の平均は14万台ですが、年金額には大きな個人差がある点に留意する必要があります。 

 

●シニア全体の「国民年金」の平均受給額(月額) 

〈全体〉平均年金月額:5万7584円 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:5万9965円 

 ・〈女性〉平均年金月額:5万5777円 

現役時代に夫婦ともに厚生年金に加入し、平均的な年金額を受給できた場合、夫婦の月額年金収入はおよそ27万円になります。  

 

ただし、ここから税金や社会保険料が差し引かれるため、十分な金額とは言い切れないかもしれません。  

 

このことからも、年金だけで生活している高齢者世帯が少ない現状がうかがえます。  

 

老後の生活では、収入の多さよりも支出とのバランスを取ることが重要です。  

 

では、老後の生活費は1ヶ月あたりどのくらいかかるのか、次章で詳しく見ていきましょう。 

 

 

総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支は下記のとおりです。 

 

 ・実収入:24万4580円(うち社会保障給付:21万8441円) 

 ・非消費支出:3万1538円 

 ・消費支出:25万959円 

1ヶ月の家計収支:▲3万7916円 

 

一般的な夫婦世帯の家計収支は、毎月約4万円の赤字になるとされています。  

 

ただし、これはあくまで平均値であるため、「我が家の家計と比較してどのくらい違うのか」を具体的に確認することが重要です。  

 

次に、消費支出の内訳を詳しく見ていきましょう。 

 

【消費支出の内訳】 

 

 ・食費:7万2930円 

 ・住居:1万6827円 

 ・光熱・水道:2万2422円 

 ・家具・家事用品:1万477円 

 ・被服及び履物:5159円 

 ・保険医療:1万6879円 

 ・交通・通信:3万729円 

 ・教育:5円 

 ・教養娯楽:2万4690円 

 ・その他の消費支出:5万839円 

たとえば、食費が「高い」と感じた方もいれば、賃貸住まいの方は「住居費が低い」と驚いた方もいるかもしれません。 

 

これは、極端に高い人や低い人を含めた平均値で算出されているため、必ずしも実態を正確に反映しているとは限りません。  

 

上記を参考に、「我が家の場合」で差し引きしながら老後の収支をシミュレーションしてみることが大切です。 

 

では最後に、現在のシニア世代の貯蓄額についても確認していきます。 

 

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)は下記のとおりです。 

 

※金融資産保有額には預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。 

 

●【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額(平均と中央値) 

 ・平均:1757万円 

 ・中央値:700万円 

●【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む) 

 ・金融資産非保有:19.2% 

 ・100万円未満:5.6% 

 ・100~200万円未満:5.1% 

 ・200~300万円未満:4.3% 

 ・300~400万円未満:4.7% 

 ・400~500万円未満:2.5% 

 ・500~700万円未満:6.2% 

 ・700~1000万円未満:5.8% 

 ・1000~1500万円未満:10.2% 

 ・1500~2000万円未満:6.6% 

 ・2000~3000万円未満:7.4% 

 ・3000万円以上:19.7% 

平均貯蓄額は1757万円で、「老後2000万円問題」をもう少しでクリアできる水準に見えます。  

 

しかし、中央値は700万円にとどまり、「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」がそれぞれ約2割を占めていることから、貯蓄額が二極化傾向となっている実態が明らかです。  

 

「年金が十分受け取れるか」「家計の収支は健全か」そして「貯蓄は十分か」これらを整理することが、現役時代から取り組むべき「老後対策」の第一歩となるでしょう。 

 

 

ここまで老後の金銭事情について、現代シニアの年金受給額や生活費について確認を行いました。 

 

平均的な世帯では毎月約4万円ほどの赤字が出ており、年金だけでの生活は非常に厳しい状況だと確認ができました。 

 

年金だけで生活が難しい場合には私的年金などを利用して老後のお金を準備する必要があるでしょう。 

 

ファイナンシャルアドバイザーの筆者も色々な世代の方と話しますが、iDeCoや個人年金以外にもNISAなど様々な方法でお金の準備を始める方が増えていると感じます。 

 

老後のお金を考える上では上記以外にも、様々な商品が準備されています。どのような仕組みが合うのかは世帯によって異なります。 

 

リスクの種類も様々のため、自分にとってどの程度のリスクが取れるのか把握することが長く続けるポイントです。 

 

老後の準備には時間が必要なため、長く続けるためにもしっかりと安心出来る仕組みを選びましょう。 

 

SNSなどネット環境が発展しているため様々な情報に手軽にアクセスが可能になりました。 

 

どのような仕組みであれば長く続けることが出来るのか、自分にあった仕組みを探してみましょう。 

 

長い老後が待ち構えています。お金に困らないよう準備を行いましょう。 

 

 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」 

 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」 

 ・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」 

 ・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 

徳原 龍裕 

 

 

 
 

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