( 244011 ) 2025/01/04 04:11:37 0 00 スペックの多様性も豊かになりそう(イメージ)
市場規模は全盛時の半分となり、ホール店舗数もユーザー数も減り続けているパチンコ・パチスロ業界。はたして2025年にはどのようなトレンドが生まれるのか。パチンコ業界の動向を追った前編記事〈パチンコ業界「スマパチ限定のラッキートリガー出玉緩和」で“高射幸性の時代”に突入 一方で浮上する“楽しみたいユーザー”離れの懸念〉に続き、後編記事ではパチスロ業界の2024年を振り返り、2025年のトレンドを展望する。【前後編の後編】
パチンコ・パチスロの情報サイト『パチンコビレッジ』が12月16日に発表した「パチンコ・パチスロ販売実績2024」によると、2024年のパチスロ総販売台数は7万2100台で前年比96%。ほぼ横ばいという結果だった。
機種別のパチスロ販売台数ランキングでは、『押忍!番長4』(大都技研)が3万台で1位、『Re:ゼロから始める異世界生活 season2』(大都技研)が2万8000台で2位、『スマスロ ゴッドイーター リザレクション』(山佐)が2万4000台で3位だった。この3機種のほか、ランキング上位10機種すべてが、メダルを使用しないパチスロである「スマートスロット」、通称「スマスロ」の機種だった。このランキングについて、パチンコ・パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。
「2024年は完全にスマスロ優位の1年だったと思います。もちろん『ジャグラー』シリーズのような、根強い人気を誇るメダル機もありますが、新機種として導入される機種のほとんどがスマスロ。パチンコのスマート化はまだまだこれからという感じですが、パチスロのスマート化はかなり順調に進んでいると言えるでしょう」(藤井氏、以下「」内同)
しかし、この販売台数ランキング上位の2機種については、必ずしもユーザーから大きな支持を得たわけではないという。
「『押忍!番長4』も『Re:ゼロから始める異世界生活 season2』も、人気シリーズの新作ということで、ホールからもユーザーからも大きな期待の中でデビューしましたが、残念ながら稼働は期待されていたほどよくなかった。大量に導入したものの、早々に“通路”(その機種が設置してあるシマが空き台だらけになっている状態)になって困ったというホールも少なくありません。これら新機種の導入費用を回収しなくてはならないホールにとっては、悩ましいところもあるでしょう」
パチンコホール情報を提供するサイト『P-WORLD』は、ユーザーとホールの投票による「パチンコ&パチスロアワード2024」を発表している。「パチスロ部門」では、最も支持された機種として『スマスロモンキーターンV』(山佐)が“GOLD”、『L ToLOVEるダークネス』(オリンピアエステート)が“SILVER”、『スマスロ ゴッドイーター リザレクション』が“BRONZE”に選ばれた。
「ここに選ばれた3機種は、いずれもゲーム性が評価されている機種です。出玉性能については、そこまで激しいものではないですが、展開次第では大きな出玉も期待できるというイメージですね。“遊びやすい”とまでは言えないものの、勝ったり負けたりしながら、それなりに遊べる機種という感じ。つまり、出玉性能よりも“打っていて楽しい”ということが評価につながったのだと思います」
その一方で、比較的射幸性の高い機種も人気だ。なかでもSANKYOの機種の存在感が大きかったと藤井氏は振り返る。
「それなりに投資が必要だけど、一撃性が高く、短時間で“万枚”(1万枚以上を獲得すること)が狙えるような機種も人気でした。代表的な機種が『革命機ヴァルヴレイヴ』や『からくりサーカス』、さらには『パチスロかぐや様は告らせたい』などで、いずれもメーカーはSANKYOです。また、『革命機ヴァルヴレイヴ』は2022年11月発売、『からくりサーカス』は2023年7月の機種と、1年以上人気が続いているのも特徴的。SANKYOが一撃性の高いスマスロの流れを作ったのは間違いないでしょう」
前編記事では、射幸性の高いパチンコ機が増えている現状を紹介したが、パチスロでは必ずしも射幸性ばかりが求められているわけではないようだ。
「SANKYO機種に代表される射幸性の高い機種もあれば、『モンキーターンV』のような“それなりに遊べる機種”も人気だったというのが、2024年のパチスロトレンドでした。スマスロの時代になってゲーム性の幅が広がった結果、単純な射幸性や“一撃性”だけではない部分で楽しめる機種が増えているのだと思います。
また、『ジャグラー』シリーズのように、初心者でも楽しめるシンプルな機種が、ホールで重要な位置を占めているというのも大きい。パチンコに比べると、スペックの多様性も豊かで、ユーザーが自分に合った機種を見つけやすくなっている。これは良い状況だと思います」
2025年には「ボーナストリガー」という新機能を搭載したパチスロ機が登場する予定。ボーナストリガーとは、ボーナスだけで出玉を増やすノーマルタイプに搭載可能となる機能で、一部のボーナス終了後にボーナス高確率状態に移行するというものだ。
「ボーナストリガーは、かつてのパチンコの“確変”に近いものですが、飛躍的に出玉性能が高まったり、ゲーム性が変わったりするものではないと予想されます。ノーマルタイプのシンプルさを保ちつつ、おまけ的要素でボーナスが続くこともある……といったイメージになりそうです。
とはいえ、このような機能が登場することで、今後はゲーム性の広がりも期待されます。射幸性だけを追い求めず、スペックやゲーム性の幅の広さを追求していくのは、健全なパチスロを目指すという意味でとても重要。だからこそボーナストリガーには期待しています」
ここ数年はパチンコに比べて、人気回復に向けての明るい材料も多いパチスロ業界。2025年こそ、本格的な復活の1年となるかもしれない。
■前編記事:パチンコ業界「スマパチ限定のラッキートリガー出玉緩和」で“高射幸性の時代”に突入 一方で浮上する“楽しみたいユーザー”離れの懸念
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