( 244251 )  2025/01/04 16:22:55  
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グリーン車(画像:写真AC) 

 

 電車での旅行や出張中、駅弁や地元の名物を車内で楽しむことは多くの人にとっての楽しみだ。しかし、車内での飲食には気を使う場面も少なくない。特に、肉まんやタコ焼きなど、温かくて匂いが広がりやすい食べ物は、以前から問題視されてきた。車内にこもる匂いや、食事の音が気になることもある。 

 

 また、冷えた駅弁やパンでも、食べ物のにおいは避けられない。そのため、周囲に迷惑をかけないか心配になり、購入をためらうこともある。 

 

 筆者(古宮宗、フリーライター)は、先日久しぶりに夕方のグリーン車に乗り、車内に広がるビールやおつまみのにおいを感じることになった。車両の前方から乗車したため、乗客の3~4割が缶ビールを手にしているのが目に入った。男性が多いが、女性も見かけた。ネット上では、 

 

「在来線のグリーン車でアルコールを禁止してほしい」 

 

という声が定期的に上がっている。現在、JR東日本の普通列車グリーン車は8路線で運行されており、2025年3月15日から中央線快速・青梅線にもグリーン車サービスが導入される予定だ。このため、アルコールに関する問題は再び注目を集めるだろう。 

 

 本稿では、在来線グリーン車での飲食マナーやその影響について考え、特にアルコールに関する問題に焦点を当ててみる。 

 

缶ビール(画像:写真AC) 

 

 そのグリーン車に乗車したのは月曜の18時台だった。金曜の夕方になると、さらに多くの乗客がアルコールを楽しむだろう。 

 

 筆者も以前、会社員時代にグリーン車でアルコールを飲みながら帰宅することがあった。「今日は飲みながら帰ろう」と決めると、ストレスがかかる仕事も順調に進んだ。車内でビールを開けて飲む瞬間は、まさに自分へのご褒美のように感じた。しかし、在来線のグリーン車での飲酒には、少なからず後ろめたさもあった。新幹線ならまだしも、 

 

「在来線のグリーン車で飲むのはマナー違反ではないか」 

 

と考えたこともある。今回、再びグリーン車に乗ってみて感じたのは、車内の雰囲気が少し異様だったことだ。こんなにも多くの乗客が飲んでいるのかという印象を受けた。 

 

 疲れていたため、体調を崩すのを避けるためにグリーン券を購入した。しかし、車内の匂いが気になり、逆に気分が悪くなることを懸念した。ネットでは、車内の飲酒について、次のような意見をみかける。 

 

「観光列車とかならありだけれど」 

「新幹線とか特急電車ならいいが在来線はなし」 

「(家に着くまでの)たった1時間くらい、待てないのか」 

「アル中なのだろう」 

「車内が独特のにおいになってきつい」 

「おつまみのにおいもすごい」 

「グリーン車でなく、普通車でもたまにいるが飲酒は迷惑」 

 

また、全国の10代から60代の男女1000人を対象に実施したアンケートでは、全体の 

 

「68.4%」 

 

が車内での飲酒は「やめてほしい」と回答した。さらに、「とくに何も思わない」という人は28.8%、「自分も飲むことがある」という人は2.8%だった(『fumumu』2023年6月23日付け)。 

 

 グリーン車は静かな環境を求める乗客が多いため、飲食が他の乗客に不快感を与える可能性がある。 

 

 

グリーン車発券機(画像:写真AC) 

 

 とはいえ、以前の経験から、ストレスを発散するために車内で飲みながら帰りたい気持ちは理解できる。そのため、普通車では難しく、グリーン車を選ぶ人も多いだろう。 

 

 座席のテーブルや窓際におつまみとアルコールを並べた写真を投稿し、それに多くの「いいね」がついていることからも、飲酒を許容する人々が一定数いることがうかがえる。 

 

 実際、グリーン車では車内販売でアルコールやおつまみが販売されているため、その行為自体に問題はないのではないかという意見もある。確かに一理ある。また、グリーン車は追加料金を支払う 

 

「課金」 

 

車両であり、特別な環境やリラックスした空間として旅行気分を楽しむ場と捉えてもよいのではないかとの考え方もある。そうなれば、アルコールの持ち込みも許容されるべきだろう。 

 

 さらに、すべての乗客に同じ規制を強いるのは過剰であり、個々の自由度を尊重すべきだという意見も存在する。 

 

缶ビール(画像:写真AC) 

 

 在来線グリーン車でのアルコール摂取については、禁止すべきだという意見と、それに反対する意見の双方に一定の理解が得られる。 

 

 車内でアルコールを飲む人と飲まない人、両者の立場を尊重し、快適な環境を整えることが必要である。どちらか一方に我慢を強いる状況は避け、マナーと自由のバランスを保つことが重要だ。 

 

 この問題の解決策としては、 

 

「車両を分ける」 

 

方法が有効だろう。例えば、1両をアルコールや食事が可能な車両として、もう1両をノンアルコール専用にすることで、双方のニーズに対応できる。 

 

 この提案をぜひ実現してほしい。JRの皆さん、いかがだろうか。 

 

古宮宗(フリーライター) 

 

 

 
 

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