( 245296 ) 2025/01/06 17:20:56 0 00 関東と関西で比較されるひとつとして、エスカレーターの立ち位置を挙げる人もいるかもしれません。関東以北では左側に立ち、関西より西の地域では右に立つといわれています。
エスカレーターの立ち位置は、東京では「左」、大阪では「右」といわれるが、その理由とは?
しかしながら、関西でもエスカレーターの立ち位置の違いは地域によって異なります。
大阪では前述の通り右側に立ちますが、京都では東京と同じように左側に立つことが当たり前です。なぜこのような違いが生まれてしまったのでしょうか。
そもそも、関東のエスカレーターの立ち位置が左になった理由は昔からの文化が関わっています。
江戸時代、武士は左側に日本刀をさしていました。すると、廊下を歩く際に刀がぶつかり合わないようにという理由から左側通行することが普通になりました。
その影響を強く受けた結果、最近でも左側通行を前提とした建物が見られるようになっています。
また、日本の道路では左側走行が徹底されており、右側が追い越し車線となっています。
そのため、関東では昔の慣習に習って左側に立つことがマナーということになりました。
その一方で、関西のエスカレーターの立ち位置が右側になっています。
その理由は阪急電鉄のアナウンスがきっかけとされています。
阪急梅田駅では、1970年に行われた大阪万博の際に国際標準に合わせてエスカレーターの右立ちを徹底しました。
そして、阪急電鉄は1967年から1998年までエスカレーターを利用する際には「お歩きになる方のために左側をお空けください」というアナウンスを流していました。
このような歴史を持っているため、大阪を中心に関西でのエスカレーターでは右側に立つことが主流になっています。
しかし、同じ関西圏でも京都においてはエスカレーターの立ち位置は左側であることが多いようです。
羽田空港のエスカレーター
SNSでは、京都のエスカレーターの立ち位置に困惑している人が多いようです。
「何度来ても京都のエスカレーターの立ち位置の正解がわからない」といった京都のエスカレーターが複雑なことを嘆く声もあります。
また、「京都では東京と同じでエスカレーターは左で立ち止まっていたけど、関西は逆じゃないの?もしかして、右で止まるのは大阪限定なのだろうか?」
というように同じ関西であるのに逆であることに対して違和感を覚えている人もいるようです。
では、なぜ京都のエスカレーターでは立ち位置が左側であることが多いのでしょうか。
京都市交通局運輸部の担当者は次のように話します。
「左側になった理由としては、昔の慣習が未だに残っているからだと思います。マナーとして右側は開けておくという暗黙の了解がありました」
京都では、1970年開催の大阪万博や阪急電鉄の影響を受けず、以前からの名残りで関東と同様にエスカレーターの立ち位置は左側になっているとのことです。
一方で、京都ではすべてのエスカレーターの立ち位置が左側というわけではなく、大阪と同じように右側の立ち位置であったり、同じ駅構内でもエスカレーターによっては右側と左側に別れている場所も存在します。
京都のエスカレーターでは立ち位置が少し複雑になっていますが、その理由のひとつに「観光客の多さ」が考えられます。
歴史的な観光地として有名である京都は関西だけでなく関東からも多くの人が訪れ、昔から人の往来が激しい場所でした。
その結果、関西圏であるため大阪の習慣も入り混じりつつも、関東や従来の文化である「左側」が踏襲されたことが背景にあるのでしょう。
エスカレーターでは「歩かず立ち止まろう」キャンペーンのポスター
※ ※ ※
近年、鉄道会社ではエスカレーターに関して、「片側を空けない」よう呼びかけを行っているようです。
近畿日本鉄道大阪統括部運輸部の担当者は次のように話します。
「エスカレーターは掲示や放送等により手すりをお持ちいただき立ち止まってご利用頂くよう啓発しています。
そのため、他の鉄道事業者等と共同でエスカレーター『歩かず立ち止まろう』キャンペーンを期間を定め実施しております」
「歩かず立ち止まろう」キャンペーンでは、エスカレーターの歩行による衝突や転倒を防ぐことや、左右いずれかの手すりにしかつかまることのできないユーザーに配慮し奨励されています。
現在では文化によってエスカレーターの立ち位置が変わりますが、近い将来、全国的に「両側で立ち止まる」ということが一般的になるかもしれません。
Peacock Blue K.K.
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