( 246326 )  2025/01/08 17:21:06  
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ホンダと日産が経営統合へ向けての検討に基本合意をしたと発表 

 

 年の瀬に日産・ホンダ統合という衝撃的なニュースが飛び込んできた。これを受けて元日産CEOのカルロス・ゴーン氏(70)は、厚顔無恥にも古巣に対して「パニック状態」などと言いたい放題。ホンダの足下からも統合を不安視する声が上がっているのだ。 

 

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 日本経済新聞が「ホンダ・日産統合へ」と1面で大々的に報じたのは2024年12月18日のことだ。同日、報道を受けて日産の株には買いが殺到し、株価はストップ高となる前日比80円高の417円60銭まで上昇。逆に、ホンダの株価は3%下落したのである。 

 

 経済部デスクが言う。 

 

「日産の中間決算は、米国市場の販売不振などから営業利益と最終利益で前年同期比90%を超える大幅な減益でした。両社の統合はホンダによる日産救済の色合いが濃い。ホンダ株にはマイナス材料になったのです」 

 

 しかし翌週、経営統合の流れは決定的なものになる。日産・ホンダに三菱自動車の社長を加えた3名が23日、統合に関する共同記者会見を開催。「26年8月の持株会社発足を目指して、協議を行うと表明しました」(同)。 

 

 経済ジャーナリストの井上久男氏が統合の背景について明かす。 

 

「秋ごろから台湾の電子機器受託生産大手・鴻海(ホンハイ)精密工業が、日産のメインバンクであるみずほ銀行や経済産業省に対して水面下で日産の買収を打診し始めていました。日産・ホンダ両社の幹部がそうした動きを事前にキャッチし、それを回避しようとして一気に統合交渉が加速したのです」 

 

 先のデスクの解説。 

 

「統合がうまくいけば、年間販売台数約800万台の、世界第3位のグループが生まれます。スケールメリットによって調達コストの削減が見込まれる上、電気自動車(EV)や次世代車向け車載OSの開発にかかる費用の抑制も期待できます」 

 

 だが、こうした見方に異を唱える人物がいる。日産CEO時代の会社法違反(特別背任)で起訴され、保釈中の19年12月末に国外逃亡したゴーン氏だ。氏は24年12月23日午後、3社社長会見に先立って、レバノンからオンライン記者会見に臨んだ。その中で、 

 

「両社には重複する部分が多く、経営統合が実現しても成功するとは思えない」 

 

 と指摘。さらに、 

 

「日産のトップマネジメントを見る限り、正直なところ、彼らに現在直面している課題に対処するための適切な才能があるとは思えません。パニック状態になって“助けてください”と言って、日産の最大のライバルであるホンダに頼ろうとしている」 

 

 そう言い放ったが、 

 

「ゴーンはCEO時代に開発費を削り過ぎました。結果、売れる新車がなくなり、ブランド力低下を招いた。今日の日産が苦境に陥っている一因は、ゴーンのコストカットにあります」(前出のデスク) 

 

 

 まさに“戦犯”。どの口が言うのかという話なのだが、一方で統合にはホンダ社内からも不安の声が上がっている。 

 

「ホンダは“ワイガヤ”と言って、年齢や地位に関係なく、お互いに思っていることを言い合ってモノを作っていく文化があります。歴代社長も日産と違って、全員、技術畑の出身です。統合の結果、ホンダが“日産ホンダ”になってしまい、われわれの企業文化が失われないか心配。ホンダの良さが失われてしまえば、離職者も出てくるのでは」(ホンダ幹部社員) 

 

 もっとも、新持株会社の社長はホンダの取締役から選出されるほか、取締役の過半数もホンダ出身で固める方針だ。 

 

「新会社の主導権はホンダが握ります」(前出のデスク) 

 

 日本のモノづくり文化は守られるか。 

 

「週刊新潮」2025年1月2・9日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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