( 247101 )  2025/01/10 05:44:10  
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富裕層という言葉を聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。豪華な暮らしをし、派手な生活を送る人々を想像する方も多いかもしれません。しかし、筆者が信用金庫に勤めていた頃、実際にお会いした富裕層の方々は、そのような印象とは異なるケースが多く見受けられました。 

 

富裕層と呼ばれる方々の中には、外見からその資産状況が想像できない人が少なくありませんでした。一見すると質素で控えめな暮らしをしているように見えるものの、実はかなりの資産を保有しており、その事実を知ったときには驚かされることもしばしばありました。 

 

近年、日本の富裕層は増加していると言われていますが、具体的に富裕層とはどのような人々を指すのでしょうか。そして、将来的に富裕層の一員となるためには、どのような行動や習慣が必要なのでしょうか。 

 

今回は、お金持ちに共通する特徴やポイントについてご紹介し、富裕層になるためのヒントを探っていきます。 

 

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株式会社野村総合研究所の調査によると、日本には純金融資産が1億円以上の富裕層が148万5000世帯存在し、全体の約2%を占めていることがわかりました。 

 

 ・超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円 

 ・富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円 

 ・準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円 

 ・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円 

 ・マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円 

富裕層の内訳を見ると、資産が1億円以上5億円未満の「富裕層」は全体の約2.6%を占め、世帯数は約139万5000世帯に達しています。 

 

資産が5億円以上の「超富裕層」は約0.2%で、世帯数は約9万世帯となっています。 

 

2005年以降、富裕層が増加傾向となっていますが、この増加の背景にはどのような要因が存在するのでしょうか。 

 

 

株式会社野村総合研究所の同調査によると、2005年から2021年にかけて、富裕層が年々増え続けています。 

 

富裕層と超富裕層が保有する資産総額の推移(2015~2021年)は以下のとおりです。 

 

 ・2015年:272兆円 

 ・2017年:299兆円 

 ・2019年:333兆円 

 ・2021年:364兆円 

では、なぜ日本では富裕層が増加しているのでしょうか。 

 

本章では、日本における富裕層の増加の要因を2つの視点から深掘りしていきましょう。 

 

●富裕層が増えた理由1:経済成長と資産形成の機会の増加 

2005年以降、日本経済は緩やかな成長を続けています。 

 

さらに、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度が導入され、資産形成の機会が増加しました。 

 

これにより、早い段階で投資を始めた人は大きな利益を得る可能性が高まり、この流れが富裕層の増加に繋がったのではないかと考えられます。 

 

●富裕層が増えた理由2:相続や贈与の影響 

富裕層の中には、相続や贈与によってまとまった資産を手に入れた人も多くいます。 

 

日本の高齢化が進む中、親や祖父母からの資産継承が増えており、これが富裕層の増加の要因の一つになっていると考えられます。 

 

次章では、富裕層と接する機会が多い筆者が感じた、富裕層に共通する「3つのポイント」についてお話ししたいと思います。 

 

ここからは、元金融機関に勤務していた筆者が過去に出会った「富裕層」に、共通する3つのポイントを紹介します。 

 

●共通点1.資産運用をうまく活用している 

現役世代は主に勤労収入に依存していることが多いですが、その中で貯蓄を行っている人も少なくありません。 

 

しかし、低金利の時代においては、預貯金だけで資産を増やすことは困難であり、物価上昇率を下回る金利では、お金をただ置いておくだけで資産の価値が減少してしまいます。 

 

これに対し、富裕層はこの仕組みをよく理解しており、「お金に働いてもらう」すなわち資産運用を行っています。 

 

資産運用には一定のリスクが伴いますが、預貯金では得られないリターンを期待できるため、彼らはその機会を最大限活用し、資産を増やす工夫をしています。 

 

●共通点2.メリハリのあるお金の使い方をしている 

富裕層と言っても、毎日外食や豪華な生活を楽しんでいるわけではなく、実際の日常生活は質素であることが多いようです。 

 

その代わり、趣味や自己成長に関連する活動には惜しみなくお金を使う傾向があります。 

 

●共通点3.情報収集能力に長けている 

富裕層に共通するもう一つのポイントは、情報収集能力に優れていることです。 

 

彼らは金融機関の担当者や友人・知人から、自然と得られるお得な情報に敏感ですが、自分自身でも情報を積極的に探しに行く姿勢が目立ちます。 

 

銀行や証券会社が無料で開催するセミナーにも熱心に参加し、有益な情報を収集しています。 

 

また、集めた情報の中から、自分にとって本当に価値のあるものを見極める取捨選択の能力も高いです。 

 

 

今回は純金融資産1億円以上を保有する富裕層世帯が日本にどのくらいいるか、データをもとに確認しました。富裕層に共通するポイントを見てみると、意外にも日常生活で取り入れられるような実践的な内容が多いことに気付かされます。 

 

例えば、共通点の一つとして、新NISAやiDeCoなどの税制優遇を活用して資産運用を始めている方が多いことが挙げられます。筆者がファイナンシャルアドバイザーとして資産運用の相談を受ける中でも、「新NISAを始めた」という声をよく耳にします。こうした制度は、手軽に資産運用をスタートするための第一歩として非常に有用です。 

 

しかし、重要なのは共通点の3つ目にある「正しい情報を得る力」です。税制優遇があるからといって、制度を十分に理解せずに運用を始めてしまうと、思わぬリスクを招く可能性があります。特に現代は情報があふれており、何が正しい情報かを見極める力が問われる時代です。この力を身に付けるには、早い段階から正しい情報に触れる習慣を持ち、自分自身で考える力を養うことが欠かせません。 

 

何事も簡単に手に入るものはなく、富裕層に近づくためには地道な努力が必要です。将来の自分をより良くするためにも、今日から富裕層に共通するポイントを意識して行動を始めてみると良いかもしれません。 

 

 ・株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」 

 

山本 大樹 

 

 

 
 

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