( 247909 )  2025/01/11 18:41:47  
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中居正広が9000万円の示談金を支払い、謝罪声明を出したことが明らかになり、それに関するテレビ情報番組での報道が始まった。

報道の消極的な姿勢は、編成会議や広告収入への影響を考慮して大物タレントの問題を扱う際の慎重な姿勢が背景にある。

各テレビ局はスポンサー企業や経営事情を考慮して中居関連の番組を放送中止にするなどの対応を取っている。

情報番組での扱いを待つ理由もあり、中居の女性トラブルがテレビ業界全体の危機に発展する可能性もあるとされている。

(要約)

( 247911 )  2025/01/11 18:41:47  
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Photo by Getty Images 

 

中居正広が1月9日、「女性とのトラブルで9000万円の示談金を支払った」と報じられている件について、事実と認めた上で謝罪する声明を発表。これを受け10日に、多数のテレビ情報番組でこの問題が扱われ始めた。それでも、報道の姿勢はかなり消極的なもので、キャスターやコメンテーターが私見を述べた番組は一部にとどまった。 

 

この「9000万円女性トラブル」は昨年から大騒ぎとなっていたのに、年が明けても情報番組で扱われなかったことについて、ある番組プロデューサーは「中居さんほどの大物になると、いろいろな事情が絡んできますから」と、その内情を打ち明けた。 

 

このプロデューサーは年明け5日まで、番組全体の管理を決める編成局に、取り扱いができないか相談していたというが、即答で「今は無理だ」と言われたという。一体、誰が中居の問題のテレビ報道を止めていたのか。 

 

情報番組で芸能ゴシップを取り扱う場合、通常は芸能デスクなる役職が選別を担っているのだが、「中居さんほどの大物タレントの場合、デスクひとりで判断はできない」とプロデューサーは語る。 

 

「編成会議というのがあって、いわゆる上層部と呼ばれる、編成局の人たちと会社役員、そこに芸能デスクも参加して話し合いをするんですが、そこにCM担当の広告営業の責任者も参加します。スポンサー企業からの声はここで伝わります」 

 

各局、中居の出演番組に放送見送りなど大きな影響が出たのも、この編成会議で、広告営業の意見を汲んだものと見られている。事実、出演していたソフトバンク、タイミーのCM動画は削除され、スポンサー企業の「拒否姿勢」が露になった。 

 

TBSは昨年末、早々に「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」の収録を見合わせ、1月13日の新年一発目となる「THE MC3」についても放送中止した。世間では、各局の対応が早い遅いと意見が出たが、プロデューサーに言わせると「編成会議に出る人たちのスケジュールもあるので、会議が早く開けたところの動きが早くなる感じ」という。 

 

テレビ朝日は年明け、中居がキャスターを務める情報番組「中居正広の土曜日な会」の11月11日放送を急きょ取りやめた。続いて、フジテレビも「だれかtoなかい」の12日放送を中止を発表した。 

 

日本テレビは7日、今年最初のレギュラー番組「ザ!世界仰天ニュース」の4時間スペシャル特番がどうなるか注目されていたが、中居の出演シーンを全面的にカットして放送した。日テレは、局側の判断に加え、「中居さんご本人からも同様の申し出を受けた」と説明していた。 

 

「こういう方針を決めたのも、編成局です。視聴率や広告収入に直接影響を与える重大事項は、ここが責任を持っているんです。普段は、視聴率を上げる戦略を成功させて広告収入を増やすのが目的ですが、不測の事態や不祥事に対する迅速な対応も判断します。ただ、大物タレントが絡む問題では、視聴者やスポンサーへの影響が大きいので、慎重にならざるを得ないのはたしかです」 

 

それでも、出演番組に大きな影響がある話を、情報番組での取り扱いが長々と止められていた状況は異様だ。 

 

「それは報道の整合性よりも、視聴率や広告収入への悪影響を最小限に抑えなきゃいけない、ということですね。むやみに情報番組でイジるネタの対象にしてしまうと、後手後手の対応になりかねない。視聴者が不自然と思っても、各スポンサー企業の意見も大事で、広告主の信頼を失うわけにもいかないですから」 

 

結局はスポンサーありき、というテレビ局の経営事情が最優先になるというわけか。 

 

「なにしろ今回の対応が、スポンサーの満足度にも直結して、放送局全体の収益にも影響してくるので、万一、誤った判断をしてしまうと命取りになってしまう。情報番組での取り扱いを待ってくれ、となるのも仕方ないと思うところはあります」 

 

 

もうひとつ、各局を悩ませている大きな点がある。 

 

今回の女性とのトラブルでは、フジテレビの編成幹部が場をセッティングしたと報じられていることだ。フジはそれが事実ではないと反論しているが、もし、それが事実であった場合、タレント個人の芸能ゴシップの範疇を大きく超える大問題に発展する不安がある。 

 

前出プロデューサーは、「局の人間が女性を使ってタレントを接待していたなんてことであれば、各テレビ局も、自分の局で似たことがなかったか、という深刻な話になってしまいます。他人事ではないから、情報番組で安易に追及できないところもあった」と語る。 

 

この件、あるベテランの業界人に話を聞くと、「下手すればテレビ局が潰れかねない話」とまで言った。 

 

「たとえ視聴者にとって異様に見えても、テレビ局にとっては、最悪の事態も想定した動きだから。それぐらい大きいリスクのある話になっている」 

 

こうなると、情報番組で扱わない本当の理由は、単なる有名タレントのゴシップ封じではなく「局の経営を揺るがしかねない問題だから」で、いまや中居の女性トラブルは、テレビ界全体の危機にまで発展する恐れを孕んでいるわけだ。 

 

片岡 亮(フリージャーナリスト) 

 

 

 
 

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