( 248161 )  2025/01/12 14:29:47  
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「少しは変わったのかと思ったら、失職前とまったく同じ態度で、何の反省もない。ちょっと入院して戻ってきました、みたいな顔をしている」 

 

兵庫県庁の幹部が、直近の齋藤元彦県知事について嘆く。 

 

「12月の県議会は淡々と終わったけれど、知事は『心ここにあらず』。公選法違反の疑惑や百条委員会での尋問、兵庫県警が齋藤知事の支援者にも反齋藤派にも聴取している件など、懸念事項がまだ多く、集中できる状態ではなかったのでしょう」 

 

知事は県庁内で「もともとコミュニケーション能力に難があった」と評される。そこにきて「再びパワハラで刺されるのを気にして指示を出さない。調整役もいないため、周囲は知事の真意がわからず動けない」(前出の県庁幹部)と、県政は再び停滞に陥っているのが実情だ。 

 

1月17日には、阪神・淡路大震災30年追悼式典に天皇皇后が出席する。齋藤知事には、そのアテンド役という重責がかかる。 

 

「天皇皇后両陛下がいらっしゃる前に、齋藤知事が警察に呼ばれたり、また辞任のおそれが取り沙汰されたりしては、みっともない。式典が終わるまでは、ひとまず県警も議会も『撃ち方やめ』でしょう」(同前) 

 

だが、2月からの県議会は荒れそうだ。未だ約半数を占める「反齋藤派」議員が、水面下で動き出した。別の県幹部が言う。 

 

「対立候補の稲村和美・前尼崎市長を支持した自民党県議などからなるグループが、連日『第二次齋藤おろし』に向けた会議をしています。 

 

昨年の県知事選では、齋藤知事が111万票、稲村さんが97万票と、差は14万票足らずだった。新聞・テレビは今も知事に批判的なところが多いから、新しい批判材料が出てくれば、世論をもう一度ひっくり返せると踏んでいる」 

 

焦点は、齋藤知事がかかげる目玉政策であり、前の任期中にも県議などから猛反発をくらった、県立大学の無償化である。 

 

「衆院兵庫10区の渡海紀三朗(前自民党政調会長)さんは、自民党文教族の重鎮中の重鎮。その渡海さんが『(知事は自民党側に)何の説明もなく無償化を打ち出した』と、不満を公然と表明しています。 

 

自民党内は『渡海さんが言うんだから、徹底的にやるぞ』と、収まりがつかなくなっている」(ベテラン県議) 

 

 

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さらに紛糾必至なのは、いまだ決まらない副知事人事だ。 

 

「県庁幹部はみんな逃げ腰。総務省からの出向組で、知事の後輩である稲木宏光理事が最有力候補と言われていましたが、彼も『キャリアに傷をつけたくない』と難色を示すようになった。 

 

副知事は議会同意人事なので、2月に決まらなければ6月議会に先送りされる。最後の手段として民間登用もなくはないですが、反齋藤派の県議も県庁職員も猛反発しています」(同前) 

 

いつでも衆議院を解散できる首相とは違い、議会解散権を持たない齋藤知事は、原則として2027年の統一地方選まで「アンチ」の県議とも付き合わなければならない。しかし、これから県政がまた混乱し、県議会が再び不信任案を提出すれば、展開が変わる。先の県議が続ける。 

 

「知事は本音では『いっそ、反齋藤派に不信任案をもう一度出してもらいたい』と考えているでしょう。今度は県議会を解散し、再び旋風を起こして彼らを一掃できるかもしれませんからね。 

 

いっぽう、反齋藤派の県議はまだ多いとはいえ、去年よりは勢力が弱まった。彼らにとって不信任案の再提出は落選につながりかねませんから、やるなら一発で知事の首を取れる特大の『ネタ』が必要になるでしょう」 

 

よかれ悪しかれ、今年も齋藤知事が「渦中の人」であり続けることは間違いなさそうだ。 

 

「週刊現代」2025年1月11・18日号より 

 

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【つづきを読む】《独占インタビュー》兵庫県知事・齋藤元彦「失職したあの日の朝、地元・須磨駅に立った私が考えていたこと」 

 

週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) 

 

 

 
 

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