( 249749 )  2025/01/15 14:53:04  
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兵庫県知事である斎藤元彦が、パワハラなどを告発する文書に関する調査を行う百条委員会に出席しても、協力的でなく真相解明には遠いと評されている。

斎藤知事は証言を拒否したり、疑念が深まる結果を招いている。

百条委員会は報告書を作成し、結論を出す見通しであり、百条委員会は調査の目的が重要であり、罰することではないと指摘されているが、議会が斎藤知事を追及する有効な手段が限られている。

斎藤知事は再任されたため、議会の不信任決議なども制限されており、百条委員会の限界が感じられている。

(要約)

( 249751 )  2025/01/15 14:53:04  
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斎藤元彦知事 

 

 斎藤元彦兵庫県知事(47)を証人に迎えた3度目の百条委員会が開かれたのは、昨年12月25日のことだった。だが、斎藤知事は終始、調査に非協力的な態度を貫き、真相解明にはほど遠い。さりとて議会にはもはや打つ手がないのが実情だというのである。 

 

 *** 

 

 兵庫県議会に設置された百条委員会の正式名称は「文書問題調査特別委員会」。昨年7月に自死した元県民局長の作成による、斎藤知事のパワハラなどを告発する文書の内容を調査するものだ。百条委員会では、証人は原則として証言を拒むことはできない。また、正当な理由なく証言を拒んだ時は、禁錮または罰金に処せられ、虚偽の陳述をした場合も禁錮に処せられる恐れがある。 

 

 しかし、斎藤知事は先月25日の百条委員会の場において、能面かと見紛うばかりの無表情を保ったまま、 

 

「対応に問題はなかった」 

 

 と繰り返すばかり。疑惑はむしろ、深まる結果となったのである。 

 

 社会部デスクが言う。 

 

「当日は、公益通報者保護法に違反したのではないかという点に質問が集中したのですが、斎藤知事は“問題ない”の一点張り。また県幹部から、元県民局長に対する懲戒処分を見直すべきだと進言されていたのではないかとの追及にも、一貫して“認識はない”と述べました」 

 

 もっとも、元県民局長が告発した内容の一部の真偽についてはすでに結論が出ているという。 

 

「先月、県の公益通報窓口が発表した調査結果では、パワハラ疑惑について〈強く叱られたと感じた県職員がいた〉とされ、出張先などにおける贈答品のおねだりについても〈慣例的に行われた〉と認定されている。ここまで外堀が埋まった状況で、百条委員会が知事にシロという判断を下すことはないでしょう」(前出のデスク) 

 

 これまでの証言を基に、百条委員会は今月末までに報告書の試案を作成。来月の県議会定例会に最終報告書を提出し、結論が示される見込みだ。百条委員会のメンバーである県議はこう語る。 

 

「斎藤知事はグレーじゃなくて、完全にクロですわ。ただ、委員にも“知事大好き”な人がいる。報告書が両論併記になることはありえないので、方向性としては斎藤知事のパワハラ疑惑含めて“疑わしい=シロではない”といったところが落としどころでしょう」 

 

 

 報告書の内容がどうであれ、最大の問題は、斎藤知事を議会がそれ以上追及する有効な手段がないことだ。 

 

 日本大学法学部の林紀行教授(地方自治論)は、 

 

「百条委員会の目的は何かを調査することにあり、誰かを罰するためではありません。告発文書の問題をはじめ、兵庫県の行政が適切に進められていたのかを検証することこそ委員会の本義だったはずです」 

 

 と前置きし、さらに次のように指摘する。 

 

「知事に対する不信任決議は議会の持つ一番強いチェック機能です。本来は百条委員会の後に不信任決議を行うべきだったのですが、昨年、議会はすでにその権限を行使してしまった。結果、斎藤知事は選挙を経て再任しており、事実上、議会にできることはありません」 

 

 この点、斎藤知事の代理人・奥見司弁護士も本誌(「週刊新潮」)に対して、 

 

「正直、なぜ百条委員会をやっているのか。まったく意味が分かりません。百条委員会は司法の場ではないのですから事実認定には限界があるし、何も決めることができません。第三者委員会で十分なんですよ」 

 

 と強気の発言。先の県議が嘆息して言う。 

 

「百条委員会の限界を感じています。伝家の宝刀と言われていた百条委員会の権威は失墜するでしょうね」 

 

「週刊新潮」2025年1月16日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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