( 250001 )  2025/01/16 03:05:44  
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韓国の尹錫悦大統領 

 

 韓国の尹錫悦大統領が出した「非常戒厳」をめぐって、合同捜査本部は15日朝、大統領への拘束令状を再執行し、ユン大統領を拘束したと発表しました。 

 韓国で現職の大統領が拘束されるのは、史上初めてです。 

 これまでの経緯と朝鮮半島の内情に詳しい龍谷大学の李相哲教授の解説です。 

 

龍谷大学の李相哲教授 

 

 ユン大統領を拘束しようという動きは今月3日にもありましたが、捜査本部が大統領警護庁との攻防の末、約5時間半で拘束を断念しました。 

 このときにユン大統領側は拘束令状は不法で無効だと主張していました。 

 今回、再び拘束を試みた背景は何でしょうか。 

 

李教授:捜査令状は前回と同じです。今回は警察も警護庁も武器を捨てました。このため、例えば誰かが発砲し、そこから流血事態に発展するといった偶発的な衝突の可能性を予めなくしました。衝突に発展すれば現在の韓国では内乱状態に陥る可能性もあります。それを避けるために、ユン大統領も拘束に自ら応じたと発表しました。 

 大統領警護庁の中も強硬派と穏健派で分かれていて、大統領のためなら命を張るというふうな警護隊もいたらしく、ユン大統領はそうした隊員をなだめて、拘束に応じるので対抗する必要はないと伝えたといわれています。 

 

ユン大統領めぐり今後の見通し 

 

 ユン大統領は今後どうなるのでしょうか。 

 15日の段階でユン大統領を拘束できるのは最大で48時間です。この間に逮捕状が出れば、検察は最大20日間拘束して捜査します。 

 起訴されれば、裁判所の拘束が最大6カ月となります。その後、3審まで裁判が行われれば、18カ月拘束される可能性もあります。 

 ユン大統領が逮捕・起訴される見通しはあるのでしょうか。 

 

 李教授:起訴されるのはまず間違いないと思う。ユン大統領は内乱の罪で拘束されています。内乱の罪は韓国の刑法で無期懲役か死刑しかありません。それが認定されるかどうかはこれからの法廷闘争になると思います。 

 

拮抗する韓国与野党の支持率 

 

 14日には、憲法裁判所ではユン大統領の弾劾裁判の初公判が行われました。大統領として適任かどうかが最大半年かけて話し合われます。 

 一方、現在韓国では、ユン大統領率いる与党の支持率が上昇しています。 

「非常戒厳」が出されたとき、与党は国会で何も決定できないという状況で、支持率も大きく低下していました。 

 しかし、ここにきて支持率が上がり、最大野党「共に民主党」とほとんど差がないほどになってきています。拮抗している理由は何でしょう。 

 

 

龍谷大学の李相哲教授 

 

李教授:野党がやりすぎという世論があるのではないでしょうか。 

 野党党首の李在明氏も選挙違反の疑いを含む5つの裁判を抱えていて、2月か3月には1件の有罪が2審まで確定する可能性があります。そうすれば野党代表として大統領選挙出られないので、早くユン大統領を罷免したい野党は、裁判所や捜査当局に圧力をかけています。ユン大統領の裁判は急かして、イ代表の裁判は先延ばしをしてほしいという立場は、不公平ではないかと国民はみているわけです。 

 ユン大統領は現在職務停止状態なので、ユン大統領に対する支持率調査はあまりされていないのですが、3つの世論調査機関が調べたところでは、46%という結果もでてきています。50%を超えるんじゃないかという声もあり、今後も上がり続ければ、憲法裁判所も世論を気にするようになるのではないでしょうか。 

 

 

 
 

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