( 250054 )  2025/01/16 04:06:54  
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神戸徳洲会病院での循環器内科医による12件のカテーテル処置後の死亡などの事例を検証した報告書が公表された。

10件は医療事故と判断されず、1件は過誤と認められた。

1件は第三者調査が予定される。

医師の治療方針決定の問題や説明不足が指摘されている。

患者一人が生存した件については適切な処置がされたと判断された。

報告書では血管損傷は合併症とされたが、女性は手術中に血が噴き出したことを挙げ、血管に穴が開く合併症は非常にまれであるとの専門家の指摘がある。

(要約)

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公表された院内検証の報告書(渡辺恭晃撮影) 

 

 神戸徳洲会病院(神戸市)の循環器内科医(当時)が2023年1~7月に行ったカテーテル(医療用の細い管)処置後に患者が死亡するなどの事例が12件相次いだ問題で、同病院は10件について「医療事故にはあたらない」と結論づけ、検証報告書をホームページで公表した。(中田智香子) 

 

 同病院は12件のうち2件について、医療事故調査制度に基づく事故(予期せぬ死亡)に該当するとして調査。90歳代女性の脚の動脈を損傷した1件を過誤と認めた。別の1件は第三者調査に移行される見通しだ。 

 

 その他10件(生存1件を含む)については、外部専門家を交えて事故にあたるかどうかの院内検証を実施。今回、死亡9件について「カテーテル検査・治療が死亡の原因となったものはない」とし、事故にはあたらないと判断した。 

 

 一方で、患者や家族への説明が不十分だったことや、医師一人で治療方針を決めた経緯などは「問題だった」と認めた。 

 

 生存している1件については「処置中に血管に損傷を起こしたが、その後適切な処置をした」とし、治療自体には問題はなかったとした。 

 

 一連の問題では、同病院が検証対象とした事例は全体で15件あり、このうち過誤と認めたのは、カテーテルの1件と、別の医師らによる糖尿病の見落とし後の死亡、昇圧剤の補充が遅れた後の死亡の計3件。 

 

 検証対象のうち、唯一の生存例である神戸市の80歳代女性が読売新聞の取材に応じ、「今でも病院への不信感が消えない」と語った。 

 

 女性は2023年6月、心筋梗塞(こうそく)のためカテーテル手術を受けた。局所麻酔だったので記憶は鮮明にある。循環器内科医(当時)が「硬いなあ」と言った後、突如胸に激痛が走った。医師の「うまくいった」という説明とは裏腹に、術後は「もう死ぬのか」と思うほどの息苦しさに襲われた。予定外の輸血や2度目の手術も行われ、不安が募った。 

 

 ほどなく、この医師が担当した患者の死亡続発が報道された。心配して尋ねると、医師は「報道はうそだ」と言い切った。しかし後に開示請求したカルテや手術中の映像から、自身の血管損傷の事実が判明し、「ショックを受けた」と振り返る。入手した手術動画には血が噴き出す様子が映っていた。 

 

 病院側は報告書で、血管損傷について「合併症として想定されるもの」と結論づけた。女性は「病院の説明は専門用語を並べるばかりで、私の血管が悪いから破れたと言いたげだった」と憤る。一方で、手術の動画と個別の報告書を見たカテーテルの専門医は、本紙の取材に「血管に穴が開く合併症は非常にまれで、あっても血がにじむ程度。こんなに血が噴き出るケースは見たことがない」と指摘。「医師は明らかに訓練不足だが、報告書でその点への言及がないのは問題だ」と批判する。 

 

 

 
 

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