( 250146 )  2025/01/16 05:42:33  
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 710年、元明天皇が都と定めた平城京は、現在の奈良市に置かれました。 

 

 そして奈良市は、いまもその栄華の名残となる東大寺や興福寺、薬師寺、さらに遷都以前に建立された法隆寺などの多くの仏教寺院が、国内の旅行者のみならず、インバウンド観光客の人気も集めています。 

 

臨時特急まほろば号のイラストマーク。乗降口近くの愛称幕に掲げられている 

 

 そんな奈良市ですが、東海道・山陽新幹線沿線から鉄道でアクセスする場合、京都駅もしくは新大阪駅での乗り換えが必要となります。 

 

 このとき、東京、名古屋方面からのアクセスでは、京都駅で近鉄京都線もしくはJR奈良線への乗り換えとなりますが、近鉄京都線の改札口は新幹線中央口の正面、またJR奈良線のプラットホームも新幹線中央乗換口から近く、それほどわずらわしさはありません。 

 

 一方、岡山、広島方面からは、新大阪駅で下車後、おおさか東線に乗り換えるか、JR京都線で大阪駅まで移動し、大阪環状線から大和路線に乗り入れる「大和路快速」を使うかの二択になります。 

 

 ただ新大阪からのおおさか東線は久宝寺駅止まりが多く、そこからさらに大和路線に乗り換えなければなりません。また大阪駅経由の場合も、大阪駅での乗り換えで上下方向の移動が必要となり、やや面倒です。 

 

 そこでJR西日本は、こうした新大阪乗り換えでの不便を解消する、便利な臨時特急列車を運行しています。それが「まほろば号」です。 

 

 まほろば号は、観光の繁忙期の土日休日に設定される列車で、大阪駅からおおさか東線に入り、新大阪駅、法隆寺駅に停車し、奈良駅までを直通で結びます。 

 

 ちなみに「まほろば」という名前は、古事記にも謳われた言葉で「素晴らしいところ」という意味になります。 

 

 この冬は2024年12月1日(日)から運行がはじまり、2025年は1月11日(土)~13日(祝)、以降2月23日(日)までの土日および2月11日(祝)~24日(振休)と、合計24日間の運行が決まっています。 

 

 ダイヤは下り線(大阪駅→奈良駅)が新大阪駅発10時4分→奈良駅着10時57分、上り線(奈良駅→大阪駅)が奈良駅発16時21分、新大阪駅着17時10分で、奈良で日帰り観光して大阪に泊まるパターン、奈良で1泊してゆっくり観光するパターン、そのいずれでも使いやすい時間帯の設定と言えるでしょう。 

 

 列車は3両編成で、全車指定席となっており、乗車には運賃(新大阪駅-奈良駅820円、大阪駅-奈良駅950円、IC/きっぷ同額)のほか、指定席特急料金(大阪駅/新大阪駅-奈良駅1730円)が必要となります。 

 

 

 ただし、このまほろば号の指定席特急料金については、大幅に安く購入する方法があります。 

 

 それはJR西日本のインターネットサービス「JRおでかけネット」の「【e5489専用】まほろばチケットレス特急券」の利用です。 

 

東大寺大仏殿。国内の旅行者のみならず、インバウンド観光客の人気も集めている 

 

 このチケットレス特急券では、大阪駅/新大阪駅-奈良駅が860円と、半額以下に設定されています。購入期限も当日の出発時刻(時刻表記載の時刻)の2分前までと使い勝手のよさも特徴です。まほろば号を利用するなら、使わない手はないでしょう。 

 

 さてこのように奈良観光に便利なまほろば号ですが、この春以降、さらにその魅力がアップすることがアナウンスされています。 

 

 まずは定期列車への昇格です。 

 

 現在は前述のように「観光繁忙期の臨時列車」として運行しているまほろば号ですが、3月15日(土)からは土日休日に現状のダイヤで通年運行する定期列車へと昇格します。これまで、運行時期以外には必須だった不便な乗換が不要になることから、利用者にとっては大きなメリットとなりそうです。 

 

 さらに4月以降にはリニューアル車両の投入も予定されています。まず4月5日(土)には、第1編成の「安寧(あんねい)」が、秋ごろには第2編成の「悠久(ゆうきゅう)」が登場することになります。 

 

 いずれもその特徴は内外装のデザインで、安寧は大陸から伝わった染料に由来し古来の宝物にも多く見られる「蘇芳色」をボディおよびシート生地の色に採用。悠久は深みを帯びた仏像の経年変化を思わせる墨色と灰渋色をボディに、シート生地は墨色で落ち着きを表現しています。また両編成ともシート生地の意匠には奈良、平安時代に装飾として多く用いられた「宝相華文様」をあしらい、旅の空間を演出しているとのことです。 

 

 なお、まほろば号を新大阪駅ではなく、大阪駅から利用しようとする場合には、ひとつ注意点があります。 

 

 それは発着するホームが京都線、神戸線、大阪環状線など他のJR線が利用する高架ホームではなく、おおさか東線の大阪駅乗り入れとともに供用がはじまった“うめきた”の地下2Fホームになるということです。 

 

 そのため高架ホームに到着する他のJR線からの乗り換えでは5~6分ほど歩いての移動が必要となります。また阪神や阪急、地下鉄線からの乗り換えにはそれ以上の時間がかかるため、あらかじめ余裕をもっての移動を心がけましょう。 

 

植村祐介 

 

 

 
 

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