( 250404 )  2025/01/16 18:00:43  
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都内で直営店を展開する不二家によると、洋菓子店の数が減少し続けており、市場も縮小している。

主な影響要因としては、コンビニや量販店のスイーツの台頭が挙げられており、大手洋菓子店が苦戦している。

材料の価格高騰もあり、商品の値上げも進んでいる。

不二家や銀座コージーコーナーなどの洋菓子店は、西日本への出店を強化することで対応しているが、厳しい状況が続いている。

 

 

(要約)

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不二家の都内直営店(C)日刊ゲンダイ 

 

 昭和の時代には「ケーキ屋ケンちゃん」などと親しまれた「街のケーキ屋」を最近、見かけなくなっている。日本最大規模の店舗データベースを誇るNTTタウンページによれば、ケーキ店(洋菓子店)の登録件数は2013年の約1万4000店から減少を続け、2021年に1万1000店を下回り以後も減少傾向が続く。 

 

 そもそも今の消費者にとって、洋菓子店はスイーツの主な購入先ではない。和菓子を含めたデザート類市場に占める「専門店・路面店」の割合は僅か6.4%。量販店(スーパー)が37.3%を占め、19.1%のコンビニ、17.0%の百貨店へと続く(2022年度・矢野経済研究所調べ)。 

 

 全日本菓子協会によると、2005年に4575億円だった洋生菓子の小売金額は13年以降、約4200億円へ推移し、コロナ禍の2020年は3740億円まで急減。2023年度は4247億円まで回復したものの、市場の縮小局面と競争が激化し、洋菓子店減少は否めない。 

 

■コンビニスイーツの台頭 

 

「2010年代から台頭したコンビニや量販店のスイーツが洋菓子専門店に影響を与えている」と話すのは都内葛飾区の洋菓子店主だ。 

 

 “コンビニスイーツ”が初めて注目されたのはローソンが2009年に発売して大ヒットした「プレミアムロールケーキ」。ファミリーマートやセブン-イレブンも参入し、この流れは大手の洋菓子店に影響を与えた。 

 

「われわれのような個人経営店は、高品質な商品や、誕生日用の商品などで差別化できますが、大手生洋菓子チェーンは手軽さで勝る量販店やコンビニに勝てなかったのでしょう」(杉並区のケーキ店店主) 

 

 不二家洋菓子店は2014年度末時点では982店舗を運営していたが、2019年度末には829店舗まで減少した。昨年度には900店舗台まで回復したが、増えたのはスーパー内で運営する「納品店」。2021年度に納品店は同社店舗の3割を超え、「昨年9月時点で約半数に迫った」(不二家)。納品店は賃料や人件費の多くをスーパーが負担する形式の店舗だが、路面店より小規模で店舗当たりの売り上げは小さい。 

 

 全国に約400店舗を運営する銀座コージーコーナーも近年は売上高が横ばい。首都圏直営店の店舗数は昨年1月の約200店舗から1割減に。物価高に伴う値上げが影響しているという。今後は、西日本への出店を強化する方針だ。 

 

 コロナ禍では店舗の休業や外出自粛の影響を受けた。だが、経済活動が正常化した現在でも厳しい状態が続いている。 

 

「大手が苦戦している要因は値上げです。小麦や砂糖、バターなどケーキの主要材料が高騰し続けていますから。不二家では2019年には400円だったショートケーキを段階的に値上げして現在では600円近い」(スイーツ業界関係者) 

 

 ケーキ業界を取り巻く環境は甘くない。 

 

(取材・文=山口伸/ライター) 

 

 

 
 

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