( 250666 ) 2025/01/17 05:37:43 0 00 石破茂総理大臣
令和7年(2025年)1月8日、NHK「首相動静」の表記によれば、<16:29 ネットメディア「みんかぶマガジン」のインタビュー(~17:02)>に、石破茂首相へのインタビューを行った。インタビューは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策など国政の主要課題について行われた。なお、掲載にあたって読みやすさや話題のまとまりを重視して、順序を入れ替えた部分がある。今回は「地方創生」「石丸伸二・前安芸高田市長」について。(聞き手は、鈴木聖也みんかぶ編集長、小倉健一)全5回の第2回。
石破首相は令和7年の年頭所感で、急速に進む人口減少が地域と経済の活力を低下させている現状を指摘。その中で、東京への一極集中を是正し、地方創生を推進することで、多様な国民が幸せを実感できる日本を目指すと表明した。
地方創生の一環として、地域の潜在力を最大限に引き出し、国民が豊かさを実感できる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行を提起している。石破総理大臣は、地方創生が日本の未来を支える重要な課題であり、これを通じて人口減少による影響を克服するという。
――まず、「地方創生」についてお伺いしたい。これまでの歴代内閣でも「地方創生」という言葉は存在していたが、石破政権における地方創生はこれまでのものとどう違うのか。また、それにより国民の生活はどのように変わるのか。
石破茂総理大臣
(石破内閣の)地方創生という考え方で一番近いのは、竹下登元総理が行った「ふるさと創生」だと思う。地方創生という言葉自体は10年前に初めて使われたが、それ以前は「ふるさと創生」や「田園都市構想」、「日本列島改造論」など、さまざまな名前で地方振興が語られてきた。それらはどれも「恵まれない地方に光を当てよう」という発想が基本にあった。
田中角栄元総理の「日本列島改造論」では、新幹線や高速道路を日本全国に整備することで利便性を高めるという考え方が中心だった。これらはインフラ整備、つまりハード面への投資に重点が置かれていた。その後、竹下登元総理の「ふるさと創生」によって、そうした発想は少し変わった。具体的には、全国どの町や村にも1億円を配り、それをどう使うかは地域自身が決めるという取り組みだった。この1億円が単なるばらまきだという批判もあったが、実際はそうではない。1億円をどう活用するかで、その町や村の知恵や力が問われる仕組みだった。それぞれの地域の魅力を最大限に引き出すのは地方の皆さん方のやることなんですよ、と。私が進めようとしている地方創生は、この「ふるさと創生」に近く、ソフトの面で地方の挑戦を後押ししていくというものだ。
これまでの「地方創生」は地域格差の是正、あるいは恵まれない地域を支援するという発想に基づいていた。しかし、これからの地方創生はそうではない。各地域が持つポテンシャル、つまり潜在的な力を最大限に引き出すことを目指している。もしそれができなければ、この国全体が衰退してしまうという危機感がある。
――地方には潜在的な力があるということだが、それでも人口が減少している。特に若者や女性が地方を離れていく現状について、どのように考えているのか。
石破茂総理大臣
地方には魅力が多い。例えば、景色が美しい、食べ物が美味しい、人情が豊かなどだ。さらに、地方の家庭では可処分所得、つまり月の収入から税金や社会保険料を引き、さらに電気代、ガス代、水道代、食費、家賃などの生活費を差し引いた後に残る自由に使えるお金が比較的多い。それにもかかわらず、地方から人が流出している。その理由は、地方に「わくわく感」や「ドキドキ感」が足りないからだと思う。
特に若者や女性にとって、自分の存在意義を実感できない環境が問題だ。何を言っても否定される、給料が上がらない、女性の役割が固定されている。こうした状況では「私の価値はこんなものではない」という不満が生じる。それが地方からの人口流出を加速させている要因だと思う。地方創生において重要なのは、地方の持つ可能性を最大限に引き出すだけではなく、若者や女性が「わくわくする」「ドキドキする」と思えるような環境を整えることだ。これがこれまでの地方創生と異なる点だと思う。
――具体的にはどのような施策を通じて実現しようとしているのか。地域間で競争させていくようなイメージですか?
石破茂総理大臣
優勝劣敗のように、良い地域だけが生き残り、そうでない地域が淘汰されるという考えではない。例えば「あの街でできるなら、私たちもやってみよう」「あの村でできるなら、私たちもできるかもしれない」という意識を醸成することが重要だと思う。
これまでの地域間の取り組みには、他の地域が成功した事例を取り入れるという動きがあまり見られなかった。そのため、地域同士を競わせるのではなく、成功した良い事例を積極的に取り入れていくという方針を推進したい。これがいわゆる優勝劣敗の原則とは大きく異なる部分だ。
――すでに成功事例が存在するということか。
石破茂総理大臣
存在する。地方鉄道をどう改善するか、地方のバス運行をどう良くするか、地方の旅館をどうやって賑わいのあるものにするかなど、具体的な成功事例が実際にたくさんある。
さらに、出生率を上げるための取り組みや結婚率を上げるための方策も成果を上げている地域がある。しかし、そうした成功事例が全国に広がらないのは、地方に蔓延する一種の諦め感が原因だと思う。「そこまで頑張らなくてもいいじゃないか」という感覚があちこちに見られる。この意識を変え、成功事例を広く展開することが地方創生の鍵だと思っている。
――成功事例を全国で展開していくのが石破政権の地方創生ということか。
石破茂総理大臣
この国全体が持続可能であるためには、地方の力を引き出し、その力を全国で共有していく仕組みが不可欠だ。成功事例を他の地域に展開し、それを後押しすることが必要だ。そうしなければ、この国自体が持たなくなるという強い危機感を持っている。
ーーーー前・安芸高田市長の石丸伸二氏についてお伺いしたい。石丸氏をもちろんご存じだと思うが、政治家としてどのように評価しているか。
石破茂総理大臣
正直なところ、会って話したことがないので分からない。直接会って話す機会がない限り、相手の本質は理解できないと思う。
ーー石丸氏に会ってみたいと思うか。
石破茂総理大臣
会えば興味が湧くかもしれない。実際に会って話すことで、「なるほど、こういう人物なのか」と感じることがあるだろう。ネットメディアや大手メディアは、人物の「印象」を作り出すことが得意だと感じる。しかし、それはあくまで印象であって、報道から伝わるイメージが必ずしも実像を反映しているとは限らない。実際に会ってみると印象が全く異なることも多い。もちろん、イメージ通りの人物である可能性もある。そういう意味で、石丸氏は興味深い人物だと感じる。
ーー石丸氏の政治スタイルや自治体運営についてどう考えているか。
石破茂総理大臣
もし彼があのまま市長選に出馬していたら、当選していただろうか。地方政治には二元代表制という仕組みがある。市長は住民が選び、議会も住民が選ぶ。安芸高田市という小さな自治体において、そして二元代表制の中で、市長と議会が対立し続けることは、政治のあり方として適切なのかどうか、一般論としては疑問を感じた。
地方自治体では、市民の利益を最優先に考え、協調を図ることが重要だと思う。こうした観点から、石丸氏のスタイルには興味があるが、わからないことが多い。やはり、実際に会ってみないと分からないだろう。
みんかぶ編集部
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