( 251304 )  2025/01/18 14:24:22  
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石丸伸二氏が記者たちを意識した発言で新党設立発表会見を行ったが、開催方法や参加条件などに物議を醸し、石丸氏は記者たちに対して説教を行った。

その後、質疑応答では記者におべんちゃらを言い出し、勝手に記者の「採点」を始めた。

一部の記者は石丸氏の演出や対応に疑念を持ち、「石丸氏に利用されないよう気をつけなければならない」と警戒している。

(要約)

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石丸伸二氏 

 

 記者たちの前でいきなり「プロ失格だ!」と説教を始めたかと思ったら、急に持ち上げて「さすがです」。やたら記者を意識した発言に終始した、広島・安芸高田前市長の石丸伸二氏による新党設立発表会見。新聞・テレビの記者たちは石丸氏の言葉をどう受け止めたのか。“本音”を聞いた。 

 

 *** 

 

 会見が開かれたのは1月15日だが、直前にあった3連休中からゴタゴタは始まっていた。石丸氏サイドが都庁記者クラブに宛てた会見の案内文がネットに流出してしまったことが原因だった。 

 

「当初会見は都庁内の記者クラブ会見場で行われる予定でしたが、石丸氏サイドは日程や場所が公に知られたことに激怒。『これでは自称・ジャーナリストの怪しい人間まで入ってきてしまう』と中止すると通告してきました」(都庁クラブ記者) 

 

 結局、13日になって自分たちが用意した貸し会議室に場所を変更。物議を醸したのがその参加条件だった。都庁記者クラブや雑誌協会に所属する大手メディア以外のフリーランス記者に対しては、〈登録者数100万人相当のネット媒体を有するか否かを基準とさせていただきます〉。ほとんどのフリー記者の出席を拒んだのである。 

 

 そのため会場入口付近の廊下には参加資格に満たない記者やYouTuberらしき人たちが殺到。始まる前から「なんで入れてくれないんだ」と揉める騒ぎになった。 

 

 石丸氏はその様子を横目に見ながら会見場に姿を現すや、入れなかった人たちをこう茶化した。 

 

「ラーメン屋開店前みたいになっていたんですが、あの皆様はどなたなんですかね? とりあえず来てみたって状態ですかね? 出待ちなのかな? 私も暇があればお付き合いするのは構わないのですが、おかげさまでこの後もスケジュールがありまして、可能な限りでいじって差し上げたいと思います」 

 

 そして「記者クラブを詰める」と、新党結成の話はさておいていきなり記者たちへの説教を10分以上の時間を割いて始めたのである。 

 

 

 石丸氏の怒りポイントは、(1)案内文がネットに流出したこと(2)都庁記者クラブがフリー記者の参加について原則制限を設けていないことの2点だった。 

 

「重大事故です。過失があったのは明らか。それなのに謝罪がない。その姿勢が驕っていると糾弾しておきます」 

 

「まずはルール化。情報の扱い。情報の扱いがいかに大事かは私なんぞに言われなくても皆さんの方がよくよく存じているはずですよね。それで飯食っているのですから。プロ失格です」 

 

「YouTuberの方、自称ジャーナリストの方、たくさん今いらっしゃいますよね。どこに線引きをするのですか(略)。廊下にざっと並んでいますが、ああいうみなさんがいるとみなさんが取材できなくなってしまうんですよ。一定の線引きを作った方がいい」 

 

 こう訴えた後、情報管理の徹底と会見参加のルールを見直さない限り「二度と都庁記者クラブは使いません」と言い放ったのだった。 

 

 この主張について某新聞社デスクは呆れてこう反論する。 

 

「確かに案内文がネットに流出したのはこちら側の不始末です。決して良いことではない。ただ都庁記者クラブでは元々開かれた会見を行なっている。案内文自体もそこまで重要機密な扱いではないし、大勢の記者が共有してしまう以上流出するのも仕方がないことなのです」 

 

 自分の望む通りの会見ができなかったことをクラブ側のせいにするのは「お門違いだ」と続ける。 

 

「石丸さんは都知事選出馬会見の時、東京新聞・望月衣塑子記者の盟友、『アークタイムズ』の尾形聡彦記者に執拗なまでに厳しい質問を重ねられた過去がある。ああいう展開になるのが嫌だったのでしょう。もちろん石丸さんの言う通り、最近は注目会見にジャーナリストを名乗るYouTuberたちが殺到し、延々と時間を割いて、質問というよりは自己主張をする場になっている傾向には問題がある。ただ現在の都庁クラブの運営では避けられない話。石丸さんに限って開催方法を変えることもできない」(同) 

 

 なんら説教を聞いても響くところはなかったと言い、 

 

「どうぞこれからも記者クラブの会見場を使わずに自分たちで会場を借りてやってください」 

 

 とまで言うのである。 

 

 このようにいきなり記者との対決姿勢を示して記者会見に入った石丸氏だったが、質疑応答に入ると、一転、記者たちにおべんちゃらを言い出した。 

 

 その前に今年7月に行われる都議会選挙立候補者を幅広く募集し、公開面接の上で採用する方針を述べたのだが、気に入った質問をした記者に対しては「あなたなら合格です」などと勝手に記者の“採点”を始めたのである。 

 

「みんな内心“何を偉そうに”と思っていた。最後の方に『僕は合格でしょうか?』と逆に聞いた記者が出てきた時は“乗せられてバカなことを…”と白けたムードになった」(前出・都庁担当記者) 

 

 

 前出のデスクはこう断じる。 

 

「彼のやっていることは安芸高田市長時代となんら変わりませんよ。あの時、石丸さんは地元のテレビ・新聞記者を挑発し、会見場でやり合う姿勢をアピールして全国区で注目を集めた。記者たちをてのひらで転がして、それ見ろとネット民の喝采を浴びたいだけ。なんだかんだ言って記者クラブを頼っているのです。その演出にフリー記者が邪魔だっただけ」 

 

 今回の会見で石丸氏はテレビ朝日をターゲットにするとも予告していた。昨年「グッドモーニング」の取材を受けた際に恣意的な編集を受けたとして「絶対に許さない。会見を開いた時、個別的に集中的に責めます」などとSNSに動画を投稿。だが結局、テレ朝記者は会場に現れず、石丸氏は「テレ朝来ていないんですか? 残念だなぁ」と述べていた。 

 

 別のテレビ局記者は「来なくて正解です」と語る。 

 

「石丸氏の餌食となることが見え見えだった。記者を守るためにもテレ朝は行かせるわけにも行かなかったのでしょう」 

 

 実際、石丸氏サイドは記者席を映像に撮っており、石丸氏自身もこう言っていた。 

 

「それ(記者が撮影されること)が楽しみにこれからなっていくんじゃないかな。みなさんにとっては嬉しくない話。第4の権力と見られるメディアに属するみなさんも権力者。その意味では顔と名前が表に出る覚悟があった方がいいんじゃないかと」(同) 

 

 テレビ局記者は「そもそも放送する側が長時間のインタビュー内容を編集するのは当たり前の話」と続ける。 

 

「その内容が気に食わなかったとしてもそれは個別でやる話。新党結成の話を聞くために集まったほかのメディアを巻き込む話ではない。終わってみると、場所変更のゴタゴタも含めてすべて石丸氏サイドが仕組んだ“演出”だったのではないかという疑念すら抱きます」 

 

 総じて記者たちは「今後も石丸氏に利用されないよう気をつけなければならない」と語るのである。 

 

デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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