( 251916 )  2025/01/19 16:28:46  
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オープンカー(画像:写真AC) 

 

 車は単なる移動手段ではなく、所有者の価値観やライフスタイルを映し出す鏡だ。特に恋愛関係において、パートナーの車選びは無意識のうちに相手の印象や関係性に影響を与えることが少なくない。2024年に行われた調査によると、20代~30代の独身女性の約3割が、彼氏がオープンカーに乗っているのは反対と感じていることがわかった。 

 

 オープンカーとは、屋根が開閉できるタイプの自動車のことだ。一般的には、ソフトトップやハードトップのいずれかを備え、運転中に屋根が開くことでオープンエアを楽しむことができるのが特徴だ。 

 

 この結果から、車が持つ社会的、文化的な意味合いや、男女間で異なる価値観が複雑に絡み合っていることが見えてくる。オープンカーに対する女性の反発には、どのような背景があるのだろうか。 

 

オープンカー(画像:写真AC) 

 

 車に関する最新情報を発信するウェブサイト「くるまはっく」を運営するアント(東京都渋谷区)は、20代~30代の独身女性を対象に 

 

「モテる男性の車」 

 

に関する調査を行った。調査は2024年7月に実施され、1005人が対象となった。「男性に乗ってほしくない車のボディタイプは何ですか?」という質問に対して、「軽自動車(38.8%)」が最も多く、次に 

 

「オープンカー(31.1%)」 

 

が挙げられた。オープンカーは、目立つデザインと開放感のあるドライブ体験が特徴だ。そのため、所有者に対して 

 

・自由 

・冒険心 

・自信 

 

を象徴するアイテムとされることが多い。しかし、一方で、その目立つ特性が逆効果を生むこともある。特に恋愛関係においては、車の選択がふたりの関係や周囲からの評価に影響を与えるため、女性にとっては 

 

「目立ちすぎる」 

 

特性が負担に感じられることがある。 

 

オープンカー(画像:写真AC) 

 

 オープンカーに対する20代~30代の独身女性からの反対意見には、いくつかの理由があると考えられる。筆者は主に 

 

●注目されることへの抵抗感 

 オープンカーはその目立つデザインが特徴であり、道路を走る際に周囲の視線を集めやすい。恋人とのプライベートな時間を大切にしたいと考える女性にとって、他人の視線が集中することはストレスの原因となる。特にオープンカーに乗ることで、周囲に自分たちの関係を公開するような印象を与えるため、恥ずかしさを感じることがある。 

 

●高級感が生むプレッシャー 

 オープンカーは高価格帯の車が多く、その選択が「金銭的な余裕」や「成功」を象徴するように見えることがある。しかし、この高級感や見せつけ感がプレッシャーとなり、物質的な価値に依存した選択に感じられることがある。恋愛においては感情的なつながりが重視されるため、オープンカーを選ぶことで物質主義を強調されると感じる女性も少なくない。 

 

●自己主張の強さと共感の欠如 

 オープンカーはそのデザインから「自己主張が強い」と捉えられがちである。恋愛関係においては共感や調和が重要視されるため、パートナーの車が「自己中心的」に映ることがある。この車選びが、感情的なつながりを求める女性にとって共感を欠いた選択として受け入れられないことが、反発を引き起こす要因となっている。 

 

という三つの要因を挙げる。 

 

 

オープンカー(画像:写真AC) 

 

 車選びは、個人の価値観や社会的な立場を反映する要素であり、同時に社会的なシンボルとしても機能する。オープンカーはそのデザインが目立つため、所有者が「自由」や「冒険心」を重視する人物であることを示す一方で、その目立つ特性が社会的な期待や価値観と対立することがある。 

 

 恋愛関係においては、物質的な成功や目立つ行動よりも、感情的なつながりや相手との調和が重視されるため、オープンカーがその期待に応えられないと感じることがある。 

 

 オープンカーに対する反発は、ジェンダーに起因する価値観の違いとも関連している。男性にとってオープンカーは、自己表現や冒険心の象徴として選ばれることが多いが、女性にとっては恋愛において共感や調和が重視されるため、オープンカーがその期待に反する場合がある。 

 

 特に、オープンカーの選択が自己主張を強調するものと受け取られることが、恋愛関係においては不安を生じさせる要因となる。 

 

 恋愛関係において車選びは、単なる物理的な選択ではなく、ふたりの関係性や価値観を反映する重要な要素となる。オープンカーはそのデザインや性格から、自己表現や冒険心を強調する車だが、その選択が必ずしも恋愛において好まれるわけではない。重要なのは、相手との価値観やライフスタイルを尊重し、共感を深めることだ。 

 

 車選びは、パートナーシップにおける感情的なつながりや調和を築くための手段として捉えられるべきだ。 

 

オープンカー(画像:写真AC) 

 

 オープンカーに対する女性の反発は、その目立つデザインや自己主張の強さに起因している。恋愛においては、共感や調和が重視されるため、オープンカーの選択がその期待に応えないと感じる女性が多い。 

 

 しかし、車選びは恋愛における価値観や関係性を反映する重要な要素であり、オープンカーが悪い選択であるわけではない。重要なのは、相手との感情的なつながりを深めるために、車選びが共感を生むものであることだ。 

 

 車を通じて自己表現と共感をうまく調和させることが、より良い関係を築くためのカギとなる。車はオープンでも、恋愛がクローズすれば本末転倒なのだ。 

 

作田秋介(フリーライター) 

 

 

 
 

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