( 251964 )  2025/01/19 17:25:44  
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2024年度上期決算で大幅な営業利益減少を発表した日産は、経営再建を検討している。

自動車ジャーナリスト吉川賢一は、フラッグシップモデル「シーマ」の復活を提案し、1991年まで大ヒットしたシーマの成功を取り上げている。

もし再生計画が実現すれば、日産は復活するだろう。

(要約)

( 251966 )  2025/01/19 17:25:44  
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 2024年度上期決算発表において、大幅な営業利益の減少を発表した日産は、経営再建にむけたさまざまな施策を検討しています。 

  

 そんな大ピンチのいまこそ、フラッグシップモデル「シーマ」を復活させるべきだと、筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)は思うのです。 

 

大ヒットした日産の初代「シーマ」 

 

 2024年度上期決算発表において、連結営業利益が前年同期から約90%もの大幅な減少となったことを発表した日産。 

 

 これをうけ、グローバルで20%の生産能力削減や9000人の人員削減、三菱株の一部売却などを発表したほか、役員体制についても再編するなど、事業構造の改革に取り組んでいます。 

 

 しかしユーザーとしては、やはり現状の寂しすぎる国内ラインナップが気になるところ。 

 

 現状で足りていないSUVラインナップの拡充やコンパクトミニバンの追加、ラージサイズミニバンの強化なども求めたいところですが、筆者は、まずはフラッグシップのシーマを復活させるところから始めるべきではと考えます。 

 

 シーマは、同社の高級セダン「セドリック」/「グロリア」の上級仕様として、1988年に登場したモデル。 

 

 初代モデルは高額車にもかかわらず「シーマ現象」といわれるほど、まさに売れまくりました。 

 

 1991年に2代目に移行しましたが、景気の減退もあって販売は徐々に縮小、2022年、5代目モデルをもって販売終了となりました。 

 

 現在の国内日産のフラッグシップモデルは、スーパースポーツカー「GT-R」がその役割を担っています。 

 

 しかしこれから再起を図る日産には、かつてのフラッグシップだったシーマの復活を宣言し、その復活を羅針盤として、日産自体も復活を目指していくというストーリーが必要なのではと筆者は考えるのです。 

 

 日産といえば、1990年代末の倒産危機の際に経営再建計画「日産リバイバルプラン」を発表していますが、筆者が考える「セカンドリバイバルプラン」は次のとおりです。 

 

 まず、3年後にシーマを復活させることを明言したうえで、その登場を待つ間に、現ラインナップに不足している量販車(日本だとガソリン小型車、北米だとハイブリッド車)を追加して、ピラミッドをつくりあげるのです。 

 

 ちなみに高級車ブランドのインフィニティがある北米では、この次期“シーマ”をベースにした最高級モデルを同時に投入するのは言うまでもありません。 

 

 

 復活させるシーマは、最終型シーマ(HGY51)をベースに、2014年のパリモーターショーでインフィニティが世界初公開した「Q80インスピレーション」のようなエレガントなデザインを与えるというのが良いと思います。 

 

 Q80インスピレーションは、独立した4シーターのパッケージングで、サイドドアは観音開きタイプを採用するなど、フラッグシップとしてのオーラにあふれていました。 

 

 使い勝手よりもインパクトを重視した構造ですが、頂点のモデルならば許されるでしょう。 

 

日産再生の象徴となるフラッグシップ! 「シーマ」の復活には大いに期待したい![画像はインフィニティのコンセプトカー「Q80インスピレーション」] 

 

 また、日産が2005年の北米国際オートショーに出展した「KURAZAコンセプト」のような姿も良いと思います。 

 

 KURAZAコンセプトは、3列シート・6人乗りのSUVタイプで、ミニバン&セダン&SUVをトリプル融合させたコンセプトカーでした。 

 

 昨今は、ベントレー「ベンテイガ」やロールスロイス「カリナン」、トヨタ「センチュリー」など、フラッグシップにSUVタイプも数多く登場していることから、こうしたモデルを投入するのも大いにアリだと思います。 

 

 セダンにこだわる必要はないと思いますが、「シーマ」の名にはこだわってほしいです。フラッグシップにシーマの名称を与えることで、過去と未来を繋げ、日産復活を演出するのです。 

 

※ ※ ※ 

 

 セダンにこだわることなく、再起を図る日産の最高級車をシーマとして登場させることには、大きな意義があると筆者は思います。 

 

 晩年はフルモデルチェンジもマイナーチェンジも行われず、寂しい姿となってしまっていましたが、シーマは開発に携わっていた日産社員も憧れるほどの良いクルマでした。 

 

 フラッグシップの復活は、日産の復活とも重なるはずです。 

 

 1990年代末のリバイバルプランの際には、1年前倒しで目標を達成するなど、著しい業績向上をみせてくれました。 

 

 生まれ変わった日産の今後の活躍を楽しみにしています。 

 

吉川 賢一 

 

 

 
 

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