( 251981 )  2025/01/19 17:40:50  
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【映像】どこが儲かる?デリバリーサービス4社の「配達単価」比較 

 

 コロナ禍をきっかけに、日本国内でも事業を拡大したフードデリバリー「Uber Eats」だが、昨年末あたりから、利用者から配達員が決まらない、たとえ決まっても配達の遅れやキャンセルが増えていると、不満の声が出ている。さらに注文を受けた店舗からも、料理を作っても取りに来るのが遅く、冷めてしまうという嘆きの声も出た。 

 

 ネット上では、配達員を名乗るアカウントから「Uber Eats側が配達員に払う単価を引き下げ、それに納得しない配達員が溢れている」という発信があった。配達員は、配達のリクエストがあると、商品を受け取る店と届け先、所要時間、報酬の金額などを確認し、依頼を受けるか否か判断するが、この報酬単価が下がったことで、配達員不足を招いたという。Uber Eats側は「ABEMA Prime」の取材に「プラットフォーム全体での報酬は下がっていない」としている。番組では配達員として働く当事者、専門家と現状を分析した。 

 

2年前との変化 

 

 Uber Eatsほか、他のデリバリーサービスの配達員もしているとみ壱さんは、年末年始の繁忙期にもかかわらず、報酬の下降を実感したという。「去年の12月ぐらいから。年末年始は繁忙期で販売員的には稼ぎ時で、こういう時期は販売単価が上がるのに、今回は上がらず閑散期よりも低いぐらいの単価がずっと続いた。だから配達員がオファーを拒否して、注文者に(商品が)届かない状況になっている」と述べた。 

 

 Uber Eatsの配達員は、配送料(基本金額・配達調整金額)、インセンティブ(クエスト・ピーク料金)、チップで報酬を得る。基本金額はUber Eats独自のアルゴリズムで決定され、商品の受け取りにかかる時間や距離、天候、稼働中の配達員の数、料理の値段など、基本金額が決まる要素はさまざまだ。とみ壱さんは「雨の日とか、需要がめちゃくちゃ上がっているタイミングは、今でも稼げる。ただ徐々に単価が削られていて、基本的な報酬以外でもクエストやチップなんかも、ちょっとずつ減っている」と実態を伝えた。Uber Eats1件あたりの平均報酬は598円(おいしいデリバリー調べ)とされている。飲料・軽食の割合も高いUber Eatsは、食事の割合が高い競合社(出前館・716円、Wolt・667円、menu・602円)と比較しても低く、さらにじわじわと単価が下がることで“配達員離れ”が進んでいる。「クエストも昔は選択制で、自分に一番適したクエストを選べたが、今はクエストもUber Eats側が勝手に決めている。去年と今ぐらいだったら、時給換算したら2000円ぐらい稼げていたものが、今は1800円前後。もうちょっと低いかもしれない」と、10%も減っている実感がある。 

 

 番組がUber Eatsに取材したところ、「プラットフォーム全体で配達員への報酬水準は下がっていない」「直近では去年12月2日から段階的に配送料の算出システムの一部変更を行っている」「この変更により地域ごとに行われていた配送料の算出システムの設定の一部が全国で統一される」などと回答。また配送の遅延が起きていることには「一部の地域・時間帯で注文需要が配達供給を大きく上回り、配達の大幅な遅延やキャンセルが発生」「この事態を真摯に受け止めバランスを最適化すべくサービスの改善に努めていく」とした。 

 

 

フードデリバリーサービスが抱える課題 

 

 Uber Eats Japan合同会社という日本企業はあれど、配達員の報酬などのアルゴリズムは全て米国本社で決められるという。出前・宅配コンサルタントの牧泰嗣氏は「報酬の計算方法は完全なブラックボックス。忙しい時間帯や雨の時は報酬が高く、配達員が余っている時は安い。日本からはリクエストを出すくらいしかできない」と語った。その上で、国内では出前館、Wolt、menuという同業他社もいるが、フードデリバリーの国内市場規模(サカーナ・ジャパン調べ)は2023年度が過去最高の8622億円だったが、2024年度の見込みはここから7.8%減の7967億円。頭打ち感があるという指摘に「フードデリバリー事態は、もうこのあたりが山かなと見ている。コロナも終わり、なかなかここから伸ばすのは難しい」と分析した。 

 

 Uber Eatsは利用者確保の策として定額利用、月額498円の「Uber One」も導入したが、これには懐疑的な意見も多い。ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「あれで客単価が結果的に下がってしまい、配達員の報酬減額に繋がっているという指摘もある。どう考えても失敗ではないか。月500円ぐらいで、安いものでも頼めるとなると、利用者側から見ればお得なのでどんどん入るし、プラットフォームとしてはその市場を独占できる。一気に客を増やしてから値上げするということはあり、その方向性はAmazonと同じ。ただ、そこに行く途中で配達員の脱落が起きるというのは、予測しきれなかったのではないか」。また、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も「Amazonで注文するものは毎日買うものではないが、食べ物は毎日。だから定額使い放題みたいにしてしまうと、結局使い倒す人がとんでもない量を使う。Uber Eatsの計算ミスだったのではないか」と語った。 

 

 今後、フードデリバリーサービスが頭打ち感から抜け出すにはどうすればいいか。ひろゆき氏は「フードデリバリーに需要があって配達員がいないのなら、フードデリバリー代を高くしても頼む人がいて、配達員にも高く出せばうまく回る感じがする」と指摘すると、牧氏も同調。「1998年からデリバリーに関わっているが、デリバリーで注文する人は、値上げしてもあまり影響がない。急に30%、40%の値上げはダメだが、10%ぐらいであれば利便性を優先する。あまり価格を見ていない客もたくさんいるので、私の経験からして、全体的にもう少しデリバリーの値段を上げてもいいのにと思っている」。なお、Uber Eatsの場合は、飲食店から配送代として商品単価の35%、客からは12%のサービス手数料を得る。仮に2000円のものを注文する場合、客は2240円を払い、飲食店に1300円、Uber Eatsには940円が入る仕組みになっているが、サービス手数料を15%、20%と上げても事業が成立するか注目だ。 

(『ABEMA Prime』より) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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