( 252216 )  2025/01/20 05:23:59  
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石破総理大臣 

 

 令和7年(2025年)1月8日、NHK「首相動静」の表記によれば、<16:29 ネットメディア「みんかぶマガジン」のインタビュー(~17:02)>に、石破茂首相へのインタビューを行った。インタビューは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策など国政の主要課題について行われた。なお、掲載にあたって読みやすさや話題のまとまりを重視して、順序を入れ替えた部分がある。今回は「メガネ」「鉄道」「読書」について。(聞き手は、鈴木聖也みんかぶ編集長、小倉健一)全5回の第5回。 

 

 石破首相のフィロソフィーは、総裁選を境に変わったように見える。かつては安倍政権を同じ自民党内から批判し、雑誌企画ではマルクス主義者と対談しながら共感を示す発言をしていた。しかし現在は、自民党内の意見をまとめることに重きを置いている印象が強い。国民に対しては「できない理由」を語る姿が目立ち、永田町の論理に縛られているようにも映る。 

 

 その変化を象徴するのがメガネだろう。総理就任後に出演した民放番組で、石破首相は「総理の大変さはなってみないとわからない」と語り、総理就任前にはかけていなかったメガネをしていることを「イメチェンですか」と指摘されると「メガネをかけないと顔が怖いと言われる。度数は入っていない伊達だ」と明かした。 

 

 その後、石破首相は会見や会議でメガネをかけたり外したりしている。国民にどう見られたいのか、自分のイメージを模索しているようにも見える。かつての直言や「飾らない姿」を惜しむ声もある中、石破首相の現在の素顔に迫った。 

 

――新年明けましておめでとうございます。 

 

石破茂総理大臣 

 

 新年、おめでとうございます。めでたいね。 

 

――今日はいつもより穏やかな表情に見える。何か特別に良いことでもありましたか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 うーん。そうでもない。年末年始は、忙しい日々だった。仕事柄、外出して遊ぶことも当然できない。この仕事は、本当にやることがいっぱいありますから。 

 

ーー「みんかぶマガジン」はネットメディアですが、石破総理がネットメディアの取材を受けることはあるのですか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 いや、意外と断らないですよ。ネットメディアもね。あと私、ラジオって意外と好きです。ラジオは音だけに集中できるから。テレビだと画面と音だけど、ラジオだと音だけみたいなところがあるのでね。で、ネットメディアもなんとなくパーソナル感がある。 

 

 

――今日はメガネはかけていない? 

 

石破茂総理大臣 

 

 する余裕がない。いいでしょしなくても。 

 

ーー総裁選での決選投票前の演説は、力がこもっていて、心を突き動かされました。そういった言葉の力がどこからくるのか知りたいと思っていました。 

 

石破茂総理大臣 

 

 政治家はね、言葉が命だからね。 

 

――読書家でいらっしゃると思いますが、総理就任後は、本を読む時間を取ることはできていますか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 読書の時間はほとんどない。忙しい日々の中で、自分のために本をじっくり読む余裕はないのが実情だ。 

 

――映像コンテンツを観たり、あるいは他の方法で心を休める時間はあるのか。どのように気持ちをリセットしているのか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 仕事の合間に、5分でも10分でも時間を見つけて読むことはある。ただし、それは趣味や気晴らしの読書ではなく、仕事のための資料だ。例えば、1月は海外出張があり、インドネシアやマレーシアに行く機会がある。そうした出張に備えて資料を読む必要がある。短時間で10ページ程度読むことはあるが、これはあくまで業務の一環だ。そうした読書では心が休まるとは言えない。 

 

 心を休めるためには、昔読んだ小説を部分的に読み返すことが多い。特に川端康成や三島由紀夫の作品の中で、印象に残っている部分を拾い読みする。これは自分にとって気持ちを落ち着かせる良い方法だ。 

 

――具体的にどのような本を読み返しているのか。座右の書のようなものがあれば教えてほしい。 

 

石破茂総理大臣 

 

 特定の座右の書というものはない。ただし、三島由紀夫の『豊饒の海』シリーズは非常に面白いと思う。他にも『午後の曳航』や『美徳のよろめき』は名作だと感じる。川端康成では『眠れる美女』が素晴らしい小説だと思う。これらの作品の中で、自分が特に好きな部分を読み返すことで、少し気持ちが収まることがある。短い時間でも、こうした文学作品に触れることで心が癒されると感じる。 

 

 

――私は首相動静を読むのが趣味なのですが…。 

 

石破茂総理大臣 

 

 やめなよ、そんなこと(笑)。 

 

――……はい。石破首相は、歴代の首相の中でこれだけ鉄道好きな方であるにもかかわらず、鉄道移動が増えていないと感じています。首相就任後もあまり鉄道に乗れていないように見えますが、実際はいかがですか(石破首相は、インタビューなどで寝台列車への思い入れを語ることが多い。選挙区の鳥取県と東京の往復で寝台列車を1000回は利用してきたと明かしている)。 

 

石破茂総理大臣 

 

 その通りだ。鉄道が好きだから本当はもっと乗りたい。鉄道を楽しむ「乗り鉄」をやりたいと常々思っている。 

 

――その立場上、乗りたくても乗れるわけではないのですね。 

 

石破茂総理大臣 

 

 そうだ。乗りたい気持ちはあるが、実際に自由に乗れるわけではない。なぜこうなのかと感じることもある。 

 

――もし自由に1つの路線や列車に乗れるとしたら、どの列車を選びますか。観光列車でも構わない。 

 

石破茂総理大臣 

 

 観光列車で言えば、九州の「ななつ星」のような列車に乗りたいという思いはある。ただし、それは、120%実現不可能に近い夢だ。もっと現実的な選択肢を考えると、在来線のディーゼル特急に乗りたい。最近はディーゼル特急がほとんどなくなっているが、地元の鳥取に向かう際の「スーパーはくと」や「スーパーいなば」などもいいと思う。ほかには、ハイブリッド車両を使った「南紀」など和歌山方面の路線にも興味がある。また、名古屋から岐阜を抜けて富山に向かう「ひだ」も乗ってみたい。 

 

みんかぶ編集部 

 

 

 
 

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