( 252771 ) 2025/01/21 05:34:43 0 00 (ブルームバーグ): フジ・メディア・ホールディングス株は20日の取引で、大幅続伸した。著名芸能人が起こしたトラブル報道に揺れる子会社のフジテレビでCMを見合わせる企業が相次ぐ一方で、株主からの圧力が強まることで構造改革への期待が強まった。
スポンサー離れに反してフジメHD株は続伸し、終値は前営業日比5.6%となった。一時は8.2%高まで買われる場面があった。第三者委員会の設置を求めている米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが、具体的な対応がなければフジメHDの株主総会で議案を提案する方針だと日本経済新聞が17日に報じて人気化した流れが続く。
フジテレビを巡っては、一部週刊誌が元SMAPメンバーで現在はテレビ司会者として活躍する中居正広氏の女性とのトラブルやフジテレビ社員の関与を報道。その後の同社の対応を巡って批判が相次いでいた。
週末にかけてトヨタ自動車、NTT東日本、第一生命保険、日本生命保険、明治安田生命保険などがフジテレビ向けCMを見合わせる対応を明らかにした。17日には港浩一社長が記者会見でトラブル把握後の対応に問題がなかったかなどを検証する方針を示したが、読売新聞によると報道の真偽についての言及はなかった。
週が明けてもセブン&アイ・ホールディングス、日産自動車、東京電力HD、キリンHD、日本マクドナルドHD、花王などが相次ぎ見合わせを決めたことが分かった。花王は期間については今後の調査や検証結果などに基づき判断するという。一方、住友生命保険は現在フジテレビでCMを放映していないが、当面の間、同局でのCMを見合わせるなどの対応をとる方針を示した。
日経新聞の午後の報道によると、少なくとも20社超が差し止めを決めた。
織り込む期待
みずほ証券の岸本晃知シニアアナリストは電話取材で、今後国内外の物言う株主(アクティビスト)からのより強い要求が経営陣に対して行われるだろうと話した。その上で、「今回のインシデントが低収益事業を切り離すきっかけになることに期待する」とした。
フジメHD株の株価純資産倍率(PBR)が0.4倍程度しかなく、割安感が強い点を指摘する声も上がる。フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、企業統治(コーポレートガバナンス)の観点から経営陣が変わって抜本的に立て直せる可能性が高まるとして「投資としてはチャンスとにらんでいる人が多い」と話す。
きょうの株式市場では、メディアセクターの株が全般に買われた。TBSHD株の終値は前営業日比6.2%高、 日本テレビHD株は5.6%高、テレビ朝日HD株は2.6%高となった。
TBSHD子会社のTBSテレビは20日、芸能関係者とテレビ局員の関係をめぐる一連の報道を踏まえ、実態把握のために社内調査に着手したと発表した。問題が把握された場合には、適切に対処するという。
SMBC日興証券アナリストの前田栄二氏らはメディアセクターについて、10-12月期の広告需要は堅調に推移したとみられ、日本テレビHDやTBSHDなどで好調な決算が予想できると17日付のリポートで述べた。
(更新前の記事は社名を訂正済みです)
--取材協力:稲島剛史、吉田昂、長谷部結衣、佐野七緒.
(c)2025 Bloomberg L.P.
Haruka Iwai, Momoka Yokoyama, Aya Wagatsuma
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