( 253459 )  2025/01/22 15:36:55  
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去年の衆院選で与党の自民党と公明党が過半数に達せず、石破内閣が少数与党で舵取りをする状況となっている。

内閣支持率は低迷し、若い世代では特に低い。

国民は石破首相にリーダーシップが欠如していると感じ、イメージも悪いと指摘している。

都議会選挙と参議院選挙が今年の夏に行われるが、裏金問題や新政党の立ち上げなどが政治に影響を与えそうである。

石破首相にとっては、衆参同日選挙も選択肢の一つとなっており、今年は日本の政治が大きな転換点を迎えそうだ。

(要約)

( 253461 )  2025/01/22 15:36:55  
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昨年10月27日に行われた衆議院選挙で、与党の自民党と公明党は過半数に達しなかった。石破首相は、少数与党という状況で日本の舵取りをすることになった。一部の野党の協力がなければ、法案を通すことができないという苦しい状況が続いている。 

 

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2025年になっても、石破内閣の支持率は低迷を続けている。 

 

マスコミの世論調査によると、内閣支持率・不支持率は、41.4(-0.7)%・55.2(+2.8)%(JNN〈1月4、5日〉)、28.2(+1.4)%・40.3(-1.0)%(時事通信〈10~13日〉)、39(+1)%・40(+2)%(NHK〈11~13日〉)、28(−2)%・53(±0)%(毎日新聞〈18、19日〉)、40(+1)%・46(−2)%(読売新聞〈17~19日〉)、33(−6)%・51(+8)%(朝日新聞〈18、19日〉)である。いずれも不支持率のほうが支持率よりも高い。 

 

最後の朝日新聞の調査では、支持率は若い世代でとくに低く、18〜29歳と30代では20%以下である。 

 

さらに、石破首相の「よいところ」と「よくないところ」の選択では、前者では、政治理念10%、リーダーシップ2%、対話の姿勢15%、イメージ7%、特にない64%である。後者では、政治理念11%、リーダーシップ23%、対話の姿勢17%、イメージ19%、特にない27%である。 

 

国民は、石破にリーダーシップが欠如し、イメージが良くないと感じており、それが低支持率となっているのである。とくにイメージについては、海外での振る舞いなど、一国の代表としては失格な場面が何度もテレビ画面で見せつけられている。 

 

この点について、安倍元首相との落差は余りにも大きく、そもそも総理大臣の座に就くことをきちんと準備してきていたのかどうか疑わしくなる。服装やマナーについて注意する側近もいないのであろうか。 

 

読売新聞世論調査は「石破首相は、政権運営で指導力を発揮できると思いますか、思いませんか」と設問しているが、「思う」は24%に過ぎず、「思わない」が64%にのぼっている。与党支持層でも、「思う」40%、「思わない」45%で、野党支持層では、それぞれ14%・83%、無党派層では、それぞれ18%・70%となっている。 

 

この点は、上記の朝日新聞の調査と一致するところであり、リーダーシップの欠如を国民は感じている。少数与党だからこそ、首相のリーダーシップが不可欠なのであるが、そうでないことに国民は苛立っているとも言えよう。 

 

その点では、国民民主党との協力が必要だが、「103万円の壁」の問題が焦点だが、与党は2025年度の税制改正大綱に123万円に引き上げると明記した。しかし、国民民主党は178万円への引き上げを求めている。 

 

調査では、123万円が妥当28%、さらに引き上げるべき54%、103万円のままでよい11%となっている。与党支持者でも、123万円が妥当40%、さらに引き上げるべき39%となっている。 

 

さらに、「政治とカネ」の問題について、自民党のこれまでの対応を十分だと思うかどうかを尋ねたところ、「思う」は9%にとどまり、「思わない」が86%にのぼっている。 

 

以上のように、世論調査の結果を詳細に検討すると、石破政権の支持率が大幅に向上することはあまり期待できないようである。 

 

 

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今年の夏には、都議会選挙と参議院選挙が行われる。両選挙が同じ年に行われるのは、12年に一度である。4年ごとの都議選を振り返ってみよう。 

 

2009年、私は麻生内閣の閣僚であったが、7月の都議選で民主党が20議席を増やし、第一党になった。そして、その直後の8月の衆議院選挙では民主党が308議席を獲得するという地滑り的勝利で政権交代となった。都議会選挙と衆議院選挙が連動している感じであった。 

 

2013年は、6月の都議選も7月の参議院選も自民党が勝利した。2017年は、7月の都議選で小池百合子の率いる都民ファーストの会が躍進して自民党は過去最低の23議席に転落した。10月の衆議院選では小池の希望の党が失速したため、自公は3分の2を維持できた。 

 

2017年7月の都議選では、自民党は第一党になり、10月の衆院選では自民党が単独過半数を維持した。 

 

では、今年の6~7月に予想される今年の都議会選挙はどうなるか。 

 

都議会自民党では、パーティー券収入を政治資金報告書に記載していなかったことが明らかになり、会計責任者が略式起訴された。国会議員について同じ問題が焦点になり、大きな政治問題となったことは周知の通りである。この問題で、安倍派が壊滅的な打撃を受けたために、今の石破政権が誕生したと言ってもよい。 

 

今から半年足らずの間に都議会選挙が行われる。この裏金問題が大きな影響を及ぼすことは必定である。都議会自民党は、政治団体としては解散するということを決め、幕引きを図ろうとしているが、世論はそれでは許さないであろう。国会の自民党派閥の裏金問題で、昨年7月の都議補選では2勝6敗と惨敗を喫している。 

 

不記載が分かった都議会議員26人のうち、幹事長経験者が8人にのぼるという。補選の惨敗を挽回するどころか、さらに議席を失うことが予想される。 

 

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しかも、1月15日には、前安芸高田市長で、昨年の都知事選で蓮舫候補を抑えて第2位に躍進した石丸伸二が、「再生の道」という新党を立ち上げた。自らは立候補しないものの、候補者を立てて都議会選挙に参戦するという。 

 

政策については「候補それぞれの判断」とか、「議員任期は2期8年」とか、「既成政党との兼任も可能」とか、首をかしげたくなるような新党の方針であるが、SNSによる発信力など侮れない力を持っている。 

 

都議会の現有勢力は、自民30議席、都民ファースト27議席、公明23、共産19、立民14、ミライ会議4、自由を守る会2、無所属5、欠員3である。今は議席のない国民民主党や維新も参戦し、大激戦となる。石丸新党が何議席獲得するかは予測できないが、大きな台風の目となることは確実であろう。 

 

都議会選挙以外にも、今年は重要な地方選挙が目白押しである。1月26日には、山形県知事選、岐阜県知事選、沖縄市長選、北九州市議選、3月16日には千葉県知事選、3月23日には秋田県知事選が控えている。これらの地方選挙の結果も国政に影響を与える。 

 

 

都議会選挙で惨敗すると、直後に行われる参院選挙にも波及する。 

 

参議院の定数は250であり、3年ごとに半数が改選される。与党は、今年は66人が改選、75人が非改選である。つまり、50議席以上とれば、過半数を維持できる。このハードルはさほど高くないので、50議席を割ることはないだろうという観察が大半である。しかし、選挙は何が起こるか分からない。 

 

1人区が32あり、ここでの勝敗が雌雄を決することになる。野党が一本化すれば、与党を敗北させ、参議院でも少数与党に転落させることは可能である。 

 

しかし、今のところ、野党は小党分立状況で、一つにまとまる可能性は少ない。これからの野党の選挙協力協議などで、夏には状況が変わっているかもしれない。自公が安泰だとはまだ断言できない。 

 

石破首相にとっては、衆議院での少数与党状況を変えるために、衆参同日選挙という選択肢もある。 

 

いずれにしても、今年は日本の政治が大きな転換点を迎えそうである。 

 

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舛添 要一(国際政治学者) 

 

 

 
 

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