記者会見でトランプ政権について話す前財務官で内閣官房参与の神田真人氏＝東京都千代田区の日本記者クラブで2025年1月22日午後2時45分、山下貴史撮影 

　前財務官で内閣官房参与の神田真人氏は22日、東京都内で記者会見し、米国のトランプ政権の関税政策について「どういう目的、タイミングで、どういう関税率でやるのか。何も決まっていないところがある」と述べ、動向を注視する考えを示した。 

　神田氏はトランプ政権が国内向けに減税をしながら輸入品の関税を上げ、さらに不法移民の国外退去を進めた場合、「当然インフレ（物価上昇）になる」との見通しを示した。 

　その一方で、トランプ氏は「バイデン前大統領よりももっとしっかりインフレを抑えると言っている」とも指摘。「諸外国の選挙を見るとインフレにより普通の人たちの生活が困難になったことが与党の敗北につながっている。2年後の米中間選挙を控えインフレを放置するわけがない」と述べ、トランプ政権の政策の優先順位に注目した。 

　神田氏は2月24日にアジア開発銀行（ADB）総裁に就任する。既に多くの首脳や中央銀行総裁と意見交換しているという。会見では「インフレになり米連邦準備制度理事会（FRB）が金利を上げた時に過去はかなりの確率で金融危機になった。また上がるのかと不安を持つ人たちは少なくない」とし、ADBとして各国経済の支援を「しっかりやる」と述べた。【山下貴史】