( 254226 )  2025/01/24 03:04:38  
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立花孝志氏と、大揺れの兵庫県(兵庫県庁) 

 

 1月18日、元兵庫県議会議員の竹内英明氏(50)が亡くなった。「NHKから国民を守る党」の党首・立花孝志氏(57)はその経緯を「彼は逮捕されるのが怖くて自ら命を絶った」などとSNS等で発信していたが、20日夜、自身のYouTubeチャンネルで発言内容を訂正したうえで謝罪。立花氏の発言を兵庫県警のトップが「全くの事実無根であり明白な虚偽」と全面否定した直後のことだった。ところが、その舌の根も乾かぬうちに、彼は新たな動画で都合の良い主張を拡散させている。 

 

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 1月20日に配信された「立花孝志」チャンネルでの発言から一部を抜粋する。 

 

立花:竹内元県議がお亡くなりになったことで、一部公開していたもの(動画)を非公開にしたりしてですね、「逃げてる」という指摘もいただいておりますが、(中略)僕はおかしいと思ったらこれからも指摘するし、間違った時にはごめんなさい――。いっぱいやっているから間違うこともあるんですよ。今回も竹内さんに関しては、僕の認識ではお亡くなりになる1月18日までに、僕はそんなに何か批判や誹謗中傷したっていう記憶はないんですよ。もちろんね、お亡くなりになった後に「逮捕されそうだ」とか「任意の事情聴取を受けている」とか言っていたけれど、個々については別にそんなに命を絶つようなことではないと思っているんですよ。 

 

「いっぱいやっているから間違うこともある」というレベルの間違いではなかったはずだ。しかも、竹内氏が亡くなる前に「批判や誹謗中傷した記憶はない」と言う。 

 

 立花氏はパワハラ疑惑などを追及された斎藤元彦兵庫県知事(47)の失職を受け昨年10月31日に告示された出直し知事選に立候補した。ところが、本人に当選する意思はなく、再選を目指す斉藤氏の支援に回った。選挙運動では、百条委員会で斉藤氏を追及した県議らを追い詰めた。その中の一人が竹内氏だった。 

 

 立花氏は「竹内の事務所にも行く」「皆さん、竹内を見かけたとか、Twitterとかでダーッと書いてください。僕、追いかけに行きますから」と街頭演説で呼びかけていた。彼が聴衆を煽ったことは間違いない。竹内氏と同じ「ひょうご県民連合」に所属する上野英一県議は言う。 

 

「YouTubeをはじめとするSNSの誹謗中傷、これがあまりにも酷かった。私のところにまで無言電話がかかってきたほどですから、竹内くんの家にはもっとかかっていたと思います。ですから、彼の奥さんも『政治の道から退いてほしい』と言っていたそうです」 

 

 竹内氏と古くからの知人も口を揃える。 

 

「嫌がらせの電話をお子さんが取ってしまったこともあったそうです。『そういうことがあるから、電話線は抜いてしまった』とも言っていました。ピンポンダッシュもあったそうですし、彼よりも先に家族が参ってしまったんです。それで彼は県議を辞職したんです」 

 

 もちろん立花氏は、自分以外の者が行った誹謗中傷やイタ電、ピンポンダッシュなどは無関係と言うに違いない。立花氏の弁明は続く。 

 

 

立花:今回、(自殺の原因が)竹内さんに対する誹謗中傷なのか批判なのかわかりません。もちろん誹謗中傷もあったんでしょうけど、自ら命を絶つようなことだったんですかね。これで亡くなられちゃうと、批判できなくなるじゃないですか。人が亡くなったからといって、感情論に流されてほしくないんですよ。(中略)僕は竹内さんとはお会いしたことも話したこともありませんが、同じ政治家として、どうして何も言わなかったんですか。もちろん、言えないぐらい急に心が蝕まれていった、病んでいったことは否定できません。その可能性、むしろ高いんでしょう。そうなってくると、本当に注意喚起をしないと、これくらいのことで自ら命を絶つような人は政治家しちゃいかんと思います。 

 

 立花氏の推測通り、議員バッジを外すころの竹内氏は病んでいたと指摘するのは前出の上野県議だ。 

 

「知事選の明くる日、竹内くんは辞職するということで『上野さん、ちょっとよろしいですか。別室で話をしたいんです』と声をかけてきました。話し方こそ変わりませんでしたが、これまで鬱病の人を見る機会があったので、かなり病んでいるように感じました。『子供が学校に行けない』とも言っていました」 

 

 前出の知人も言う。 

 

「知事選中に竹内さんのお母さんが亡くなられたんです。ずっと入院されていたのですが、息子に対する誹謗中傷の話が耳に入ってしまい、『自分のせいで早く死なせてしまった』と落ち込んでいました。また、議員バッジを外した直後に連絡したときには『立花が家に押しかけるみたいなことを言っていて、家族が恐怖を感じている。家族に危害を加えられる恐れがあって、一歩も家から出られなくなった。苦渋の決断だけど、辞めたから収まると思う。あとは収まるのを待つだけ』とも言っていたのですが……」 

 

 だが、知事選後も誹謗中傷が止むことはなかった。政治家としての批判であれば、竹内氏のみに届けばいいことだ。だが、それが家族に及んだことで、竹内氏は病んでしまった。知人が続ける。 

 

「竹内さんは県議として、斎藤知事のおかしいところを議会で追及しました。そのきっかけとなった、告発文書を書いた県民局長が亡くなったことが『悔しい』と。彼は県議として5期目でしたから、以前から県民局長が人望のある人物であることを知っていたようです。不倫の噂もあったけど、竹内さんは『そんな噂話は告発文とは無関係だから触れちゃいけない』と気を遣っていたんです。しかし、立花は『県民局長は10人と不倫』などのデマを流布した。県民局長が亡くなったことはもちろん、そういうことにも竹内さんは心を痛めていたんです」 

 

 事実を批判するのとデマで冒涜するのとは次元の異なる話だ。デマで聴衆を煽って誹謗中傷に走らせるような人は、政治家などすべきではない。 

 

デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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