( 256096 ) 2025/01/27 16:34:00 0 00 中国は28日、春節(旧正月)の大型連休に入る。前後を含めた40日間で延べ90億人が、近隣を含めて国内外を移動すると見込まれる。海外渡航先として日本は高い人気を集めるが、中国の景気低迷で、かつての「爆買い」のような訪日消費の勢いはない。日本の観光関連業界は受け入れに工夫を凝らしている。(鈴木瑠偉、岡田実優、北京 山下福太郎)
春節を祝うパネルが掲げられた北京首都国際空港(26日、北京市で)
26日午前、北京首都国際空港は出国ラッシュが始まっていた。妻や子どもと東京や大阪を8日間訪れる男性弁護士(48)は「予算は5万元(約108万円)。東京ディズニーランドが一番の楽しみで、妻は買い物です」と話した。
今年の春節休暇は2月4日までの8日間だが、前後を含めた1月14日~2月22日の移動人数は昨年より7%多い過去最多の90億人と想定される。インタセクト・コミュニケーションズ(東京)が昨年12月に中国人に行った調査では、春節休暇の希望渡航先は日本が24%で最多、東南アジアの22%、韓国の17%を上回った。
中国はコロナ禍に伴い、2020年1月から海外団体旅行を制限したが、23年2月に20か国に限って解禁し、同8月には日本を含む78か国・地域への団体旅行を解禁した。日本のビザ取得時の条件が比較的厳しくなくなるため、訪日客の増加が見込まれていた。
ただ、19年と比べて24年の全訪日客数が16%増える中、中国人は27%減と出遅れが際立つ。1人当たりの旅行支出総額も全世界の43%増に対し、中国人は30%増だった。SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人・上級研究員は「中国は不動産不況による経済低迷が続き、旅行消費に向かう余力が小さい。『爆買い』が流行した時の中国の姿はない」と指摘する。
今年の春節に向けた各社の対応
こうした傾向を踏まえ、日本企業は中国人の集客を強化している。
ANAホールディングスは中国人訪日客向けに、地方への国内線の乗り継ぎ運賃が無料になるキャンペーンを始めた。春節の訪日客を国内線でも取り込み、就航先の地方都市に恩恵を広げる狙いがある。
阪神電気鉄道子会社の阪神コンテンツリンク(大阪)は、大阪府内で運営する相撲体験施設で今月下旬、中国語での公演を実施。相撲の歴史を中国語で解説したり、相撲を体験してもらったりする。英語以外での公演は初めてという。
松屋銀座(東京)は、中国人客の利用が多い「銀聯(ぎんれん)カード」で1回15万円以上買い物をした場合、割引を行う。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが展開するディスカウント店「ドン・キホーテ」では、中国人客の爆買いがここ数年は見られなくなり、現在は訪日客を国・地域別に好みを分析して開発した菓子などのオリジナル商品に力を入れている。
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