( 256416 )  2025/01/28 05:29:40  
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 街を走っているクルマのなかには、窓やドアの上部に「庇(ひさし)」のようなパーツを装着した車両が存在します。 

  

 これは「ドアバイザー」というパーツですが、一部では「ダサい」「スタイルが壊れる」などと不評を買うことも多いものの、実はさまざまなメリットがあります。 

  

 一体どのような役割があるのでしょうか。 

 

クルマに装着されるドアバイザーの役割は? 

 

 ドアバイザーは60年以上前に日本で生まれたもので、雨宿りしたときの「軒先」からヒントを得て開発。ただし、当時は現在のような流麗なデザインではなく、本当の軒先のように横方向に垂直に伸びる形状をしていました。 

 

 それが、クルマのデザインが空力を意識したものに進化する過程でドアバイザーもボディ形状に沿う形状となり、風切り音の低減やスタイリングの邪魔にならないように工夫されてきました。 

 

 また、開発当時は、クルマにカーエアコンがない時代であり、夏の暑さ対策の一環として雨でも窓を開けられるドアバイザーはもてはやされましたが、エアコンが標準装備となってからは「付けるとダサい」というイメージを持つ人もいるかもしれません。 

 

 そんなドアバイザーの現状ですが、過去に自動車パーツメーカーが実施したアンケート調査によると、装着率は48%。2台に1台は装着されている定番アイテムとも言えます。 

 

 ある自動車整備士に話を聞いたところ、最近はドアバイザーの後付け依頼が減っているといい、その理由としては、現代人の健康志向による「タバコ離れ」と、スタイリングを崩したくない「見た目重視」などの気持ちが現れているようです。 

 

 ドアバイザーは喫煙者のものというイメージがあり、タバコを吸わない人は必要とは感じないかもしれませんし、ドアバイザーがないほうがクルマの見た目もシュッとして、装着するのを嫌がる気持ちも分かります。 

 

 それでもドアバイザーの装着をお勧めしたい理由がいくつかあるのです。 

 

 ドアバイザー最大の魅力は「雨天時に雨が吹き込むことなく車内の換気ができること」に尽きます。 

 

 実際に中古車を購入後、わざわざドアバイザーを後付けしたHさん(40代男性)は、換気ができることのメリットは大きいと言います。 

 

「私も昔は喫煙者でしたが、現在では吸っていません。それでも車内を閉め切った状態のまま走り続けていると、息苦しく感じることもあります。天候に左右されずに換気ができるのは非常にありがたいです」 

 

 最近のクルマは空気抵抗を考慮し、Aピラーを寝かした流麗なデザインが増えており、そのため雨が降った時に少し窓を開けただけでも雨水が車内に入り込んでしまいます。その点、雨天でも窓を開けられるドアバイザーは非常に優秀なアイテムだと言えるでしょう。 

 

 Hさんは、車内の二酸化炭素濃度が高まると集中力が低下したり、眠気が出やすくなるとのことから、常に換気を意識しているのだそうです。 

 

 最近のクルマは密閉性が高くなっており、カーエアコンを「内気循環」モードにすると車内の二酸化濃度が高まりやすく、集中力の低下によってうっかり運転ミスを起こしかねません。 

 

 冬はクルマの窓を開けるとせっかくの暖かい空気が逃げてしまいますが、そのぶんフレッシュな空気で気分転換することができます。 

 

 雪が降っていても、ドアバイザーがあれば吹き込むことなく換気ができ、安全運転につながるというわけです。 

 

 また、夏場に車内温度が高くなった時に少し窓を開けることで、熱い空気を外部に排出する役目もあり、効率的に車内を冷やすことができます。 

 

 喫煙者でなくてもドアバイザーを装着したほうが、場合によっては非常に便利になるかもしれません。 

 

※ ※ ※ 

 

 ドアバイザーは後付けすることが可能で、装着時のコツとしては、そのクルマ専用のものを選ぶこと。高くて1万円程度で購入することができます。 

 

 よほどレアな車種でない限り、車種専用品が見つかるので、できるだけスタイリングを壊さない専用品を選びましょう。 

 

くるまのニュースライター 金田ケイスケ 

 

 

 
 

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