( 257651 ) 2025/01/30 17:28:28 0 00 ともに1957年生まれ、知らぬ仲ではない石破茂・首相(左)と野田佳彦・代表(時事通信フォト)
国民生活を直撃する物価高は続いており、コメや野菜の高騰で家計は逼迫している。にもかかわらず、石破政権は“103万円の壁”引き上げをはじめとする減税策に後ろ向きだ。その陰に見え隠れするのが、新川浩嗣・事務次官率いる財務省の思惑である。生活苦に直面する国民の声を聞くどころか、永田町を「増税大連立」へと動かそうとしているのだ──。
今国会は石破茂・首相にとって綱渡りだ。少数与党の石破政権は自公だけでは予算案を通せない。だが、協力をアテにしていた国民民主党とは103万円の壁の引き上げをめぐる協議が事実上決裂状態。国民民主側が「取り過ぎた税金を国民に戻すべきだ」とさらなる減税を主張していることに、首相の側近中の側近で「陰の官房長官」と呼ばれる赤沢亮正・経済再生担当相は「税収が増えたらすぐ還元という単純なものではない」(1月14日の会見)と真っ向から否定した。
“これ以上の譲歩はできない”と国民民主との連携を見切ったことを示唆している。
いま石破首相が視線を向けているのは国民民主ではなく、立憲民主党の野田佳彦・代表だ。
年頭のラジオ番組では、「中道政治を目指し、相通じるものがある。長い友人で信頼でき、裏切られたことが一度もない」とべた褒めし、立憲など野党との大連立について「選択肢としてはある」と思わず本音を漏らした。あまりの反響の大きさに、その後、「少数与党なので多くの賛成を得なければいけないということを申し上げた」と発言を修正したが、野田氏を「望ましい提携相手」と見ていることは間違いない。
その大連立に向けて裏で動いているのが財務省だ。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授が語る。
「石破さんが総理を続けるためには野党と手を組むしかない。いきなり大連立というより、まずは“大連携”でしょうが、それには大義名分がいる。そこに財務省から『社会保障改革をやりましょう』という囁きが入る。与野党とも社会保障改革が必要だという点では異論がないから、連携に向けた大義名分になる。野田政権時代に民主、自民、公明は3党合意で社会保障と税の一体改革を決めた。あれをもう一度やろうというわけです。
財務省としては社会保障をキーワードに自公と立憲に手を組ませ、それをテコに社会保障財源を名目にさらなる消費増税を行なおうというシナリオです。次は消費税率15%が目標でしょう」
今年は5年に一度の年金制度改正の年。石破首相は社会保障費支出の伸び抑制を指示し、1月6日の伊勢神宮参拝後の会見で「野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる」と建設的な協議を呼びかけたが、増大する医療費や年金の財源は「歳出改革では限界」(厚労省関係者)というのが実情だ。さらに2026年度には子ども・子育て支援金もスタートする。
財務省にとって社会保障改革の議論で増税に導くには絶好のタイミングでもある。
関連記事《【自民立憲大連立となるのか】財務省が狙う「与野党連携で消費税15%シナリオ」の裏工作 “増税請負人”新川浩嗣・財務次官が官邸中枢に送り込んだ官僚たちの動き》では、選択的夫婦別姓問題の与野党連携が増税シナリオにつながる構図や、官邸中枢に深く及んでいる財務省の工作について詳報している。
※週刊ポスト2025年2月7日号
|
![]() |