( 258576 ) 2025/02/01 15:35:08 0 00 矢口雄資容疑者
“信州の玄関口”として観光客でにぎわうJR長野駅前。矢口雄資(ゆうすけ・46)は無言で男女3人の胸や背中を刺し、刃物を持ったまま逃げて闇に消えた。1月22日、午後8時過ぎのことだ。
事件では会社員の丸山浩由さん(49)が命を落とし、男性会社員(37)が重傷、女性会社員(46)が軽傷を負った。世間の耳目を集めたこの通り魔事件は、長野県警が逃走した男の画像を2度公開したのもあり、
「発生から4日後 、 急転直下の逮捕劇となりました」
と、社会部デスクが言う。
「1月26日の朝に県警が逮捕した矢口は、現場から3キロほど離れたマンションで一人暮らしをしていました。容疑は女性会社員に対する殺人未遂。矢口の特定には、一帯にある複数の防犯カメラ映像をつなげて足どりを追う“リレー捜査”が重要な役割を果たしました」
リレー捜査で分かったのは、
「いわゆる“前足”です。自宅方面から長野駅へ歩いて向かう矢口の姿が確認されました。リレー捜査は近年の事件捜査の主流ですし、いまや街中に防カメがあるのは半ば常識。それを矢口が知らなかったとは考えにくい。ですが矢口は取調べに黙秘を貫いているので、防カメに映るのを承知の上で犯行に及んだかどうかは定かではありません」
なにより、人を殺める行為に一片の迷いもなかったのか。そしてそもそも、どんな人生を歩んできたのか。
矢口容疑者の知人が語る。
「彼は長野市出身で3人兄弟の末っ子です。お父さんは長野駅近くで約90年続く老舗の時計店を営んでいて、お母さんは二十数年前に亡くなっています」
実家は逮捕時のマンションから約1キロ、車で5〜6分ほどの場所にある。
「地元の小中学校を出て進学校とされる長野吉田高校へと進み、東京電機大学に入った。中学ではバスケットボール部に所属し、明るくて優しいとの評判。高校では学級委員を務めるなどクラスの中心人物でした。大学で地元を離れ、疎遠になったのですが」
ただし、25年ほど前、20歳前後の時期に、
「高校時代の仲間と日帰りでスキー旅行に行ったことがあります。みんなスキーをやっていたのに、矢口一人だけがスノボをしていたのを妙に覚えています。それと、矢口が大学を卒業したあとに1度だけ、仲間数名と食事しました。そのとき矢口は“千葉にあるIT関連の会社に勤めている”と言っていましたね」
取材にあたる地元記者によると、いまから十数年前、実家に戻ったという。
「たまにアルバイトをしていたものの、基本的に引きこもり状態でした。で、5年前にいまのマンションに入居しています。経緯は不明ながら生活保護を受けており、現在は水も電気も使えなくなっていた。マンションの近くで意味不明な言葉を喚いては近隣住民ともめるなど、精神的に不安定とみられるトラブルがありました」
不安定といえば、
「逮捕後の家宅捜索で、逃走時の服や包丁などと一緒に、空になった焼酎の紙パックが大量に押収されている。“到底、犯行後に消費できる量ではなく、日頃から飲んでいたのだろう。アル中だったのではないか”とささやく捜査関係者もいます」
別の捜査関係者の話として、こんな情報も。
「矢口にはかなりの額の借金があったといいます。複数のサラ金や債権回収会社から長期間にわたって督促されていて、80歳をとうに過ぎた父親にも連絡がいっていた。借金を借金で返す自転車操業すら破綻していたかもしれません」
卑劣極まる通り魔が、借金苦で自暴自棄になっていたのだとしたら――。
「週刊新潮」2025年2月6日号 掲載
新潮社
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