( 258626 ) 2025/02/01 16:34:22 0 00 ウーバーの「値段が高過ぎ」は本当なのだろうか?(写真:eizan/PIXTA)
■ウーバーは割高? 配達員と店の目線では…
便利ではあるけれど値段が高過ぎるイメージのある、ウーバーイーツ。「使ってみたいけど、値段に躊躇してしまう」「自分で店に行ったほうが安上がりだ」と考えて、利用したことがない人も少なくないのではと思う(私自身も、あまり使わない人間のひとりだ)。
とはいえ繁忙期における配達遅延が話題になった通り、ウーバーを頼んでいる人の数は少なくない。また私はこれまでに7000件以上の配達をこなしてきたが、高級マンションや一軒家への配送より、一人暮らし用マンションやアパートに配送する機会が多いと感じている。
それだけ使う人がいるということは、もしかしてウーバーの値段は、実はそれほど高くないのではないか……?
そんな疑問を胸に、私は直近2カ月間に配送した、計200件の配送情報を抽出。注文数の多い人気飲食店ベスト5を選出し、価格設定について調査を行った。
■ウーバーの手数料はまさかの…
結果をお伝えする前に、ウーバーを利用する際に発生する「諸費用」についてご紹介したい。
ウーバーでの注文には食事代と別に「配達手数料」と「サービス料」が請求される。配達手数料は0円〜500円前後で、距離や混雑状況によって変動する。サービス料はウーバーでの料理代金の12%で、上限は450円となっている。
なお加盟店(飲食店)がウーバーに支払っている「手数料」は、一般的な配送方法であるUberデリバリーオプション(配達員による配達)の場合はウーバー価格(店舗価格ではなく)の35%だ。
例えば、店舗では1000円で販売されている商品が、ウーバーでは1600円で販売されているケースを例に考えてみよう。この場合、消費者がウーバーに支払う総額は約1940円になる。
計算式は以下のようなイメージだ。
店舗価格:1000円 ウーバー価格:1600円
配達料:150円 サービス料:192円 合計:1942円
※店がウーバーに支払う手数料:560円(1600円×0.35×1.1) ※店に残る金額:1040円(1600円-560円) ※配達料は距離によって変わるが、近場の店として計算した 消費者としては随分割高に感じられるだろうが、35%もの手数料をウーバーに支払う飲食店側からすると、むしろ6割増しの金額設定で、ようやく店舗価格とトントンになる計算だ。
35%という数字を高いと思うかは人それぞれだが、飲食店の立場からすると、店舗料金より60%ほど「金額の上乗せ」をするのは当然と言えるのだ(なお、あくまでも単純計算であり、店内飲食の際に発生する飲食スペース代や、接客時のサービス費用などは考慮していないことはご了承いただきたい)。
なおユーザー側が支払う配達手数料だけでは、配達員の報酬は(ほぼ間違いなく)足りていないことも補足でお伝えしたい。加えて、今回の調査結果はあくまで神戸・芦屋エリアを中心に活動する、自転車配達員の筆者が独自に調べたものだ。
配送地域等によってランキングや価格設定など、結果が変わることをご了承いただきたい……ということで、さっそくランキング5位から順に発表しよう。
■4位と5位は同率。3位はドミノ・ピザ
ウーバーの注文で人気飲食店ランキング5位と4位は、同率で『ガスト』と『ケンタッキー』という結果になった。私が配送した計200件(計42飲食店)の内、ガストとケンタッキーの配送はそれぞれ9件ずつあった。
気になる価格設定(以降、すべて税込み)だが、ガストの名物料理であるチーズインハンバーグは、ウーバー価格890円。ガスト公式サイトによると、店舗価格は700円からになっている(つまり店舗価格より27%増)。
なおライス付きのチーズインハンバーグ弁当は、ウーバー価格1070円。配達手数料やサービス料を加えても、筆者の住居からは1300円以内で注文することができた。
これに対してカーネルサンダースがほほ笑むケンタッキーは、オリジナルチキンのウーバー価格が370円(店舗価格310円・19%増)。チキンフィレバーガー520円(店舗価格440円・18%増)。ビスケット350円(店舗価格290円・20%増)……どうやらケンタも良心的な価格設定が行われているようだ。
3位にランクインしたのは『ドミノ・ピザ』だ。私が配送した計200件の内、同店の配送は計11回あった。ただしこの集計期間にはクリスマスシーズンを挟んでおり、24日と25日の2日間だけで計5回の配送をこなしている。
よって通常時のランキングはもう少し落ちる。そのうえで、同店ではウーバー価格と店舗のデリバリー価格が変わらない点に注目したい。具体的にはクワトロ・ハッピーSサイズ2380円。チキンナゲット540円……。
もちろんウーバーを利用すれば諸費用が発生するわけだが、ドミノ・ピザはウーバー利用時のキャンペーンを積極的に行っており、例えば私の地域では「ピザ1枚注文でもう1枚無料」になる時期があった。
配達員に対する特別キャンペーンも行っており、例えば2024年のクリスマス2日間(18時〜21時まで)は、ドミノ・ピザを1件配達ごとに200円の追加報酬が支給されると発表。配達員の間で話題になった(ドミノ・ピザありがとう! )。
■注目の2位は青色。1位は赤色の飲食店
2位にランクインしたのは『ローソン』だ。私が配送した計200件の内、同店の配送は計24回。
ローソンの強みは、深夜の時間帯でも注文できることだ。特に年明けシーズンは各店が閉まっているせいか、かなり需要が高かった。気になる価格設定は、からあげくんレギュラー味318円(店舗価格248円・28%増)。アサヒスーパードライ350mlは318円(店舗価格224円・41%増)。マチカフェホットブレンドコーヒーMサイズ280円(店舗価格200円・40%増)となっている。
ウーバーでの注文数が多い飲食店、堂々の第1位に輝いたのは『マクドナルド』だ。私が配送した計200件の内、同店の配送は計57回。つまり私のウーバーでの報酬の約30%が、マクドナルドに支えられていた。価格設定はハンバーガー240円(店舗価格170円から。41%増)。ビックマック650円(店舗価格480円から。35%増)。フィレオフィッシュセット880円(670円から。31%増)……。
これは余談だが、私は昨年末にイタリア・ローマにあるマックの店舗で、1つあたり約340円もする普通のハンバーガーを食べた。昨今、何度も値上げされているマクドナルドだが、それでも海外と比較するとまだまだ安いと言えそうだ。
以上、ご覧の通り注文数上位トップ5に入っている飲食店はすべて、かなり良心的な価格設定が行われていた。
チェーン店ならではの効率化によって、ウーバー側に35%もの手数料を支払っても利益が出る仕組みになっているのだろう。だからこそ、ユーザー側の人気も獲得しているのかもしれない。
最終的に配達手数料とサービス料が加算されたとしても、店舗価格より50%増ほどでデリバリーしてくれるのなら、急な体調不良に襲われた人や、共働きで忙しい子育て世代には、サービスとして魅力を感じるのではないだろうか。
おそらく私を含め、ウーバーの価格が高過ぎるイメージが拭えないのは、店舗価格より60〜70%増以上で価格設定している飲食店が少なくないからだ。個人店だと致し方ないだろうが、ここに配達手数料等が加われば、店舗価格の2倍近くになってしまう。
飲食店側の事情はお伝えした通りだが、ユーザー側からするとやや納得感に欠ける価格設定に感じても、何ら不思議ではない。
■価格ではなく「質」で勝負するスターバックス
最後に『スターバックス』についてご紹介したい。
ここ最近のウーバーイーツでは、2件同時配送や3件同時配送など、1人の配達員が複数の配送先に伺うのがデフォルトになっている。しかし私の配送エリアのスターバックスでは「1店1顧客」が徹底されている。つまり配達員はスタバで商品を受け取り、そのままダイレクトでお客様のところへ向かっている。
スタバとウーバーの間で、どのような理由で、どのような取り決めをしているかはわからないが、お客様の立場からすると「1店1顧客」の配送方法はより早く、より丁寧な配送につながる。
気になる価格設定だが、ドリップコーヒートールサイズ536円(店舗価格420円・28%増)。抹茶クリームフラペチーノ759円(店舗価格595円・28%増)。シナモンロール473円(店舗価格370円・28%増)……どうやらデリバリーの質だけでなく価格帯においても、スターバックスは優等生のようだ。
【もっと読む】ウーバーの「遅延急増」現役配達員が語る“実情” 報酬減額で超高額案件が生まれる歪な背景とは では、デリバリーで増える“配達遅延”の実態とその要因を、現役ウーバー配達員ライターの佐藤大輝氏が詳細に解説する。
佐藤 大輝 :ライター・ウーバー配達員
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