( 258766 )  2025/02/02 03:11:42  
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中居正広さんと女性のトラブルをめぐるフジテレビの問題。 

問われたのは女性からの訴えに適切に対応していたのかということです。 

テレビ局などメディア業界は、女性や性の問題をどう扱ってきたのか?現場を取材しました。 

 

■フジテレビ 10時間を超えた会見も…「週刊文春」が訂正 元BPO副委員長「根拠を説明する必要がある」 

 

1月27日、フジテレビが行った会見は10時間を超えた。 

 

フジテレビ 港浩一前社長 

「今回、人権コンプライアンスについての対応を誤り、女性への会社としての対応が至らず、放送業界の信用失墜にも繋がりかねない事態を招いてしまったことについて、深くお詫び申し上げます」 

 

2024年12月発売の「週刊文春」の報道。 

 

別の週刊誌報道を引用し、女性と中居氏とフジテレビ編成幹部A氏の3人で会食する予定だったが、A氏がドタキャンし、トラブルが発生したと報じ「女性を食事会に誘ったのはA氏」だと記している。 

 

女性の知人(2024年12月発売の「週刊文春」より) 

「『Aさんに言われたからには断れないよね』と、参加することにしたのです」 

 

しかし、2025年1月発売の記事には・・・ 

 

「あの日、X子は中居さんからA氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていました」 

 

女性を食事会に誘ったのは、「A氏」ではなく「中居氏」と変えられていた。 

 

週刊文春が訂正を発表したのは、フジテレビの会見翌日だった。 

 

女性を誘った人物が変わったことをどう考えるのか? 

 

「週刊文春」編集部に回答を求めると… 

 

「週刊文春」編集部の回答(報道特集の取材に対し) 

「取材により『X子さんはA氏がセッティングしている会の“延長”と認識していた』ことが判明しました」 

「A氏が件のトラブルに関与していた事実は変わらないと考えています」 

 

1月30日、フジテレビの清水賢治社長は… 

 

フジテレビ 清水賢治社長  

「私は『なぜあのタイミングで(訂正を)出したのかな』というのが一番疑問に思ったところです」 

「1月6日に実は分かっていたということで(会見は)一連の週刊誌報道がベースとなるような質疑応答に終始してしまうものですから、その基盤となっているベースがどういうファクトだったのか。ベースが崩れる、ベースにほころびがあると上に乗っかってくるものが崩れてしまう」 

 

 

BPO青少年委員会にもいた加藤理氏は、文春には訂正の根拠を説明する必要があると話す。 

 

元BPO青少年委員会副委員長・文教大学教授 加藤理氏 

「(文春の)訂正した内容をもう1回ちゃんと、どうしてそう言えるのか、その検証もちゃんとしなくてはいけない。(A氏が)誘わなかったとしたら、その前提が崩れることがいくつかあるので、ここが大きいと思います」 

 

「あたかも、それ(記事の内容)は真実のように1人歩きをしていくわけで、そこからさらにまた新たな世論がどんどん拡散される。裏付けを取る報道側の責任は非常に大きいと思います」 

 

一方で、文春の訂正に注目が集まり、フジテレビの抱える問題が見えづらくなることを危惧する。 

 

元BPO青少年委員会副委員長・文教大学教授 加藤理氏 

「『文春が間違っていたからフジは問題がなかった』ではなくて、フジの人権意識の問題とか、その後の対応の問題というのは、この文春のことと少し切り離して考えなくてはいけない」 

 

■民放アナウンサー、営業、制作スタッフに聞いた テレビ局の接待の実態  

 

フジテレビの会見では、会食をめぐる企業風土も注目を浴びた。 

 

フジテレビ 港浩一前社長 

「(社長の誕生日会に)参加した女性が果たして喜んで参加していたのか、そんなに気が進まないけれども参加していたのか、そのときは思いが至らなかったので、わかりません。そういう会を催すときは、参加者本人の意思を大事にしなければ、企業風土は刷新されていかないと感じている」 

 

SNS上には、接待文化への批判や被害の経験を訴える声が次々と上がった。 

 

SNSの声 

「私もそのお酌係を普通にさせられてた」 

「部署の飲み会でわざわざ女性社員を部長や課長の隣に座らせた」 

「これを機に若い女性社員を接待に連れてってお酌させる的ダメ文化ごと滅ぶといいよね」 

 

テレビ局の接待の場で何が起きているのか。 

東京のテレビ局の女性社員やスタッフに聞いた。 

 

制作会社のスタッフ 

「居酒屋やカラオケで男性上司や先輩に肩を抱かれたり、手を握られたり、卑猥なことを耳打ちされることがあった。一瞬の不快感や腹立ちはあっても、思い悩むほど深刻にとらえてなかった。訴える、抗議するという考えがなかった」 

 

 

民放社員(営業部) 

「スポンサーとの会食で『俺と不倫してくれたら次もCMを続けるよ』と言われた。ショックだったので男性の先輩社員に相談すると『お前の腕の見せどころだな』と笑われ、真剣にとりあってくれなかった」 

 

民放社員(アナウンサー) 

「10年以上前になるけど、プロデューサーに『一流アスリートを囲む飲み会があるからアナウンサーで囲んでほしい』とお願いされ、局アナ3人で参加した。キャバ嬢並みの接待を期待され、それに応えられない自分はみじめになり、途中退席したが、翌日プロデューサーに怒鳴られショックを受けた」 

 

テレビ局はそもそも女性をコンテンツの一つとして扱ってきた側面がある。 

 

1970年・80年代には、民放各局が大勢の女性を集めた水泳大会など女性の身体を露出する番組を企画し、放送してきた。 

 

そうした番組に対する批判もあった。 

 

PTAが青少年への影響を危惧する声を上げ、政界は取り締まりへの動きを見せた。 

 

そうした流れに乗じて、2000年。 

テレビ番組が青少年にとって有害かどうかを政府などが判断できる法案が浮上。 

 

メディアへの公権力の介入を許すことになるとジャーナリストらが反発した。 

 

安藤優子氏 

「情報そのものを規制するというのは、本末転倒。テレビ、その他メディアの表現を悪者にするのは大変安易なこと」 

 

筑紫哲也氏 

「週刊誌がひどい、テレビがひどいというような、そういう空気が背景にある」 

 

■元TBSアナウンサーが指摘「これは仕事なんだ、と痛めつけられながら働いてきた人たちがたくさんいる」テレビ業界の構造的な問題 

 

女性の見た目や若さが重視されるテレビ業界の価値観を問題視する人もいる。 

2010年までTBSに務めていたエッセイストの小島慶子さん。 

 

NHKや民放キー局のテレビ出演者の男女の比率を調べた2022年の調査報告を引用し、こう話す。 

 

元TBSアナウンサー小島慶子さん 

「年代別で見ると10代・20代は圧倒的に女性が多いんですね、男性よりも。10代・20代の女性たちはどんな仕事をしているかを見てみると、アナウンサー、キャスター、モデル、タレント。30代を見てみると急に女性が減って、男性が増えてきます。若くて見た目の整った女性しか画面に映す価値はないという、非常に強固なこの業界の思い込みをすぐに捨ててほしい」 

 

 

こうした価値観の背景に、男性が多いテレビ業界の構造的な問題があるという。 

 

元TBSアナウンサー小島慶子さん 

「どんな無茶なこと非常識なことも平気でやってのける男だけが良き働き手とされて、女性がそういう現場で働かざるを得ない状況が長く続いてきた。この業界における女性の扱い、様々な被害を生む温床になっている。その中でハラスメントの被害に遭っても声を上げられずにきたとか、この仕事はこういうものなんだって自分に言い聞かせて、心身を本当に痛めつけられながら働いてきた人が沢山いると思う」 

 

日下部正樹キャスター 

「人権意識とか、そういうものは報道機関として、逆にどんどん啓発していく立場にあると思いますが、まさに逆というか、報道機関としての役割を果たしていなかったんだということになってしまいますよね」 

 

元TBSアナウンサー小島慶子さん 

「そこで働いている人たちの人権が本当に守られているのか。それをないがしろにした人たちが世の中で起きていることについて、ここで人権問題が起きてるということは(追及)できない。その足元から本気で取り組むということが足りてない」 

 

女性の社会進出が進むにつれ、テレビ業界の男女の比率も変化したが、十分ではないという指摘もある。 

 

村瀬健介キャスター 

「テレビ業界の中で働く女性が置かれている立場というのが、やはり時代の流れについていってないのではないかという面があるようにも思います」 

 

元BPO青少年委員会副委員長・文教大学教授 加藤理氏 

「今、かなりかわってきたなと思うこともあります。例えば、TBSでいうとnews23の小川さんがメインキャスターですよね。日曜朝の番組は膳場さんがメインキャスターになったりもしました。テレビも社会の動きと変わってきたと思う。ただ、まだまだ女性が“飾り物”というような、これに対する疑問を感じないで放送を流してしまうということが、見ている視聴者にどう受け止められているかもっと感じてほしい」 

 

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