( 258911 )  2025/02/02 05:35:52  
00

「貯金がない」という割にNISAに「月5万円」積み立てる兄。正直、投資より貯金を優先すべきではないの? 注意点を解説 

 

「貯金が全然ない」と言いながらも、NISAで毎月5万円を積み立てている家族や知人の話を聞いたとき、「投資をするのもいいけれど、貯金を優先すべきでは?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。 

 

NISAの積立自体には多くのメリットがあるとは聞くものの、果たして貯金なしで投資を始めるのは適切なのか気になるところです。本記事では、NISAのメリットや貯金との優先順位、投資を行う際の注意点を解説します。 

 

NISA(少額投資非課税制度)は、個人が少額から投資を始められる制度で、税金面での優遇がある点が特徴です。つみたて投資枠として年間120万円、成長投資枠として年間240万円の非課税枠が用意されています。生涯の非課税保有限度額は1800万円(うち成長投資枠は最大1200万円)です。 

 

NISAを使った長期積立投資には多くのメリットがあります。特に、長期投資による複利効果が期待できるのが大きな魅力です。例えば、毎月5万円を30歳から60歳まで年利3%で運用した場合、元本1800万円が2914万円まで増加します。このうち収益1114万円にかかる約223万円(利益の20%)の税金が非課税になるのは、NISAならではのメリットです。 

 

また、投資期間が長いほどリスクが分散され、収益が安定する傾向にあります。金融庁のデータでは、1989年以降に毎月一定額を国内外の株式と債券に積み立てた場合、5年後の利益率はマイナス8%からプラス14%とばらつきがある一方、20年後にはプラス2%からプラス8%に収まり、うち7割は4%を超えると示されています。 

 

NISAで積立長期投資を行うことで、老後に向けた安定的な資産形成を期待できます。 

 

NISA、特に成長投資枠は多種多様な金融商品の運用に使えますが、NISAだからといってどんな商品を選んでも良いわけではありません。 

 

まず、投資先を分散することが大切です。例えば、トヨタ自動車の株式だけを購入するといったように、1つの銘柄や資産に集中するとリスクが高まります。国内外の株式や債券など複数の資産に分散して投資することが重要です。 

 

とはいえ、どうやって分散投資すればいいか分からないという人もいるでしょう。分散投資に有用な手段として、投資信託があります。投資信託とは、運用会社が投資家から集めた資金を、さまざまな金融商品に投資する仕組みの金融商品です。 

 

例えば、全世界の株価の値動きに連動するものや、日本の株式と債券に半分ずつ投資するものなど、テーマが決まっています。一般的に「債券よりも株式」「日本国内よりも海外」のほうがリスク(値動きの幅)は大きい、といった具合にそれぞれ特徴があるので、自分の収益目標やリスク許容度に合った投資信託を選ぶことが重要です。 

 

なお、生活防衛資金として、独身や夫婦2人暮らしの場合は手取り収入の6ヶ月分程度、子どもがいる世帯の場合は1年分程度を貯金しておくことが推奨されます。投資信託を現金化するには、一般的に4営業日から7営業日かかる(これ以上にかかることもある)のに加え、相場が暴落しているときに売却すると損失が発生する可能性があるからです。 

 

NISAによる積立投資を始める前に、病気やけが、一時的な失業など、急な出費に対応できる現金を確保しておきましょう。 

 

さらに、数年以内に使う予定の資金をNISAに投資するのは避けたいところです。前記した通り、短期間の投資では元本割れのリスクが高くなります。例えば、5年後に必要な大学の学費や住宅購入用資金は、NISAではなく貯金で準備するのが適切です。 

 

NISAは資産形成に有用な制度です。特にNISAを使って、投資信託を長期間積立投資することで、安定した老後に向けた資産形成が期待できます。 

 

とはいえ、投資を始める際には慎重な計画が必要です。貯金は生活の安定を支える土台であり、投資を始める前に収入の6ヶ月分から1年分程度の生活防衛資金を確保しましょう。 

 

NISAに限らず、投資を使った資産運用は余裕資金で長期投資に活用するのが賢明です。そのうえで、NISAのメリットを生かし、計画的に資産形成を進めていきましょう。 

 

出典 

金融庁 NISAを知る 

 

執筆者:浜崎遥翔 

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

IMAGE